無人境ドリンク [★★]

[初出誌] 『無人境ドリンク』、「小学六年生」198512月号、10頁、67コマ

[単行本]  無人境ドリンク』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第38巻」1987125日 初版第1刷発行、11頁、76コマ

[大全集] 『無人境ドリンク』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 132011430日 初版第1刷発行、11頁、76コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ハハ……、そんなばかな!」、「ぐうぜん留守だっただけさ」コマ挿入[648(1)]

「そこらの家へいきなりとびこめばきっとだれかいる」コマ挿入[648(2)]

「グイ グイ」コマ挿入[648(3)]

 

「……留守らしいや」コマ挿入[648(4)]

「ぐうぜんはかさなるものだなあ」コマ挿入[648(5)]

「だれか来てたみたいだったけど…」、「インターフォンなおしとかなくちゃだめね」コマ挿入[648(6)]

 

「こんちは!!」、「こんちは!!」コマ挿入[648(7)]

「ここも留守……」コマ挿入[648(8)]

「だれじゃ」、「ゆっくりトイレにも入っておれん」コマ挿入[648(9)]

 

[梗概] 学校でも、下校時でも、家に帰っても災難が続いたので、のび太は「みんなよってたかってぼくのことを…」と泣き喚いていた。

 

 ドラえもんが「でもさ、きみのほうにも反省すべき点が…」と忠告すると、「きみまでもうらぎるのか!? どうせぼくなんか。みんな大きらいだ!! 人間不信。ききたくない! 顔も見たくない。山奥か無人島で、ひとりでくらしたい!!」という始末であった。

 

 ドラえもんは「そうまでいうなら…」とひみつ道具『無人境ドリンク』を出している。このドリンクを飲むと、絶対に他人と顔を合わせることがなくなるというものである。のび太が「ゴク ゴク」と飲み終わると、ドラえもんは突然、部屋を走って出ていった。よく見ると、部屋の隅にネズミがいることがわかった。

 

 「のび太!!」と階段の下でママが呼んでいたが、「だれとも顔を合わせないのなら、ママもぼくをしかれないはずだ」と確信して、部屋に閉じ困っていると、ママが階段を「ドス ドス」と上がってきた。のび太の部屋にチラシが落ちていて、「まあっ、お肉が五割引!! 売り切れないうちに!!」と買い物に出掛けてしまった。

 

 ジャイアンから「さっきのつづきだ。あき地へこい。にげてもむだだぞ。あしたもあさっても追いかけるぞ」という電話があり、「いってやろうじゃん!! どうせ顔をあわせられないんだ」と出掛けることにした。

 

 ジャイアンは「おれの命令にさからえるはずがない」と自信満々で待っていた。しかし、安雄が窓にボールをガチャンとぶつけたので、神成さんが「きょうこそゆるさんぞ!!」と追い掛けてきたので、みんな退散してしまった。したがって、のび太が着いた時は誰ひとりいなかった。

 

 しずちゃんの家に行っても、いつもの本屋さんに行っても、誰にも会うことはなかった。のび太は「どうなってるんだ…。みんな死に絶えちゃったのかな…」と考えて歩いていたら、「そこらの家へいきなりとびこめばきっとだれかいる」と思って、インターフォンを「グイグイ」押したが、「るすらしや」となった。

 

 「だれかきてたみたいだったけど…。インターフォンなおしとかなくちゃだめね」というのが実情だった。「こんちは!! こんちは!!」と大声をかけたが留守であった。「だれじゃ。ゆっくりトイレにも入っておれん」とおじいさんが遅れて出てきた。

 

 ドラえもんはそろそろ孤独のおそろしさがわかったな。もうしばらく死の町をさまよいな。二度とばかなこと考えないように」と言いながら、タケコプターでどこかへ飛んでいった。

 

 のび太は「こんなこといつまでも続くわけがないよ。もうすぐ夕食だ。パパも帰ってくる。家へ帰ればきっといる!」と思って、帰ってみたが誰もいなく、のび太は「永久にぼくはひとりぼっち…?」と考えて眠ってしまった。

 

 「びっくりしたわ。とつぜん映画にさそうなんて」、たまには二人だけの夜もいいじゃないか」とママとパパは夜遅く帰ってきた。つぎの朝、「しまった!! 寝ぼうした!! ちこくだ、ちこくだ」と言いながら学校に出かけた。

 

 教室で、「やっぱり…、ぼくは永久に孤独地獄をぬけだせないんだ。ドラえも~ん」と泣き叫んでいた。家では、パパが「日曜なのになんでのび太は学校へいったんだ?」と不思議がっていた。

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