ハリーのしっぽ[★★★]
[初出誌] 『ハリーのしっぽ』、「小学六年生」1984年7月号、10頁、71コマ
[単行本] 『ハリーのしっぽ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第33巻」1985年4月25日 初版第1刷発行、13頁、91コマ
[大全集] 『ハリーのしっぽ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12」2011年3月30日 初版第1刷発行、13頁、91コマ
[梗概] 家中みんなで物置を整理していたら、パパがおじいさんから代々伝わる巻物を発見した。その巻物には、明治四十三年から数えて七十六年後つまり1986年に「この年、天からたいへんな災いが降ってくる。その時わが子孫は、庭の柿の木の根元をほるべし。生きのびることができる」と書かれてあった。
ドラえもんものび太もよく考えてもわからないので、タイムマシンで埋めた日付よりも一週間ほど前に行くことにした。のび吉おじいさんである男の子がおけの前で深刻な顔をして、水に顔をつけていた。
その男の子は学校の先生から、チューブが買えなかったら、息を止める練習をしなさいと言われていた。学校では、先生がハリーのしっぽに毒が含まれているかもしれないとか、しっぽが地球をかすめる時、空気をごっそり持っていってしまうので、一時的に空気がなくなるかもしれないと子どもたちに説明していた。
ジャイアンやスネ夫やのび太のひいおじいさんが学校帰りにハリーにどうそなえるかを真剣に話し合っていた。おまわりさんから道草くっちゃいかんと注意され、さっさと帰って家の手伝いをしなさいと言われた。
そのときおまわりさんが自転車に乗っていたので、のび吉は空気をためといてハリーがきた時、すえばよいというすばらしいアイディアを思いついた。
のび吉はお母さんに「野比家がほろびるかどうかのせとぎわなんだよ」と説得して、自転車のチューブを買うお金を出したもらった。しかし、あいにくスネ夫とジャイアンのひいじいさんが買い占めてしまったいた。
そのことを「タイムテレビ」で確認したのび太は、再度「タイムマシン」に乗り、空気をいっぱいつめたビニールの浮き輪をもって、困りきっていたのび吉の前に「コロ コロコロ」と転がして、無事与えることに成功した。
のび太とドラえもんが夜空を見ていると、巨大な彗星が表れた。ドラえもんは明治43年と言えば、ハレー彗星が大接近した年だと気づき、ハリーとはハレー彗星であることも明らかになった。
ドラえもんによれば、「昔は天文学も進んでいなかったし、彗星の正体もわかっていなかったから、この世のおわりじゃないかと、世界中ひっくり返るような大さわぎになった」ということであった。
柿の木の根元を掘ると、「幸い、こんどは何事もなくハリーは去った。だが、七十六年後また、くるという。そのときに備え、子孫のため、これを残すものなり」と書いた文書と破れたビニールの浮き袋が出てきた。
[S1265・A3310・068407]