のび太の息子が家出した [★★★]

[初出誌] 『わからずやのパパは、のび太…!?』、「小学六年生」19843月号、10頁、68コマ

[単行本]  『のび太の息子が家出した』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第36巻」1986425日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

[大全集] 『のび太の息子が家出した』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『わからずやのパパは、のび太…!?』が『のび太の息子が家出した』に変更

 

[梗概] のび太はパパから「なるべくなら、こんなこといいたくない。ぼくはこんなこというのは大きらいなのだ。だが、いわずにはいられない!! おまえのだらけきった毎日をみているとだ! いったい、自分の将来をどう考えているのか! そんなことで、社会人としてやっていけると思うのか。おまえのゆく手には、暗くみじめなどん底の未来が…」とえんえん厳しい説教を受けることになった。

 

 のび太は「あんまりだ。い、いくら親でも、あ、あ、あんなひどいことを…。ぼくの両親はぼくがきらいなんだ。ぼくをにくんでるんだ。だから、あんなざんこくな…、人の心をズタズタにするようなことがいえるんだ。ぐれてやる!! 家出するぞ!!」と家出の準備を始めた。

 

 そこへ「パパ」といって息子のノビスケが家出してきた。理由を尋ねると、「とにかくうちの両親ときたら、わからずやでうるさくて古くて…」というものであった。のび太は「ええっ、そんなわけないと思うがなあ。

 

  ぼくは心にかたくちかったんだ。やさしくて理解ある親になり、こづかいもたっぷりと…」と言い掛けると、ノビスケは「よくいうよ。アハハアハハ」と豪快に笑い飛ばした。

 

 のび太が「帰りなさい」と命令しても、聞こうともしないので、「親のいうことがきけないか!」とノビスケの胸ぐらをつかむと、「お、暴力!?」かとなり、「家庭内暴力だ!!」と叫んだのはのび太の方であった。

 

のび太があきらめて横になっていると、ノビスケは「パパがいうには…、つまり大人になったパパがいうんだけど…。少年時代にはわき目もふらず勉強したんだってね。いつもトップクラスの成績だってね」と言い出すので、おちおち横になっていることもできず、机に向かうことになった。

 

 のび太が用事といって外に出かけると、ノビスケも古代社会を見学したいと言いながらついてきた。しずちゃんに会うと、ノビスケが「かわいいなあ。パパがこの人をえらんだ気持ちわかるよ。しかし…、この美少女もやがては口うるさい鬼ババに…」と言い出したので、しずちゃんは腹を立てて行ってしまった。

 

 ジャイアンが「のび太、野球だぞ! メンバーがたりないから入れてやる。へましたらただじゃおかねえぞ」と言うので、ノビスケは「パパにそんな口をきくなんて、ゆるせない。ダダッ」とジャイアンに飛びかかっていった。「おまえいい度胸だな。気にいったぜ」となって、野球に連れて行ってもらうことになった。

 

 のび太はタイムマシンに乗って、親に家出の件を知らせに行くことになった。のび太が「こっちはひどくめいわくだよ。ノビスケにきびしすぎるんじゃないの?」と注意した。

 

 すると、パパは「そうかな、ぼくだってなるべく小言なんかいいたくないんだが…。わがままでねえ…。勉強が大きらいで…。ぼく自身なまけ者で、その分あとで苦労したからね。同じ失敗をくり返させたくないと…。だから、たまにはガーンとやっちゃうんだよ。昔、オヤジにこっぴどく叱られて、うらんだこともあったが…。今になって、オヤジの気持ちがわかるような気がするんだ」との意見であった。

 

 「親をやってくのも、たいへんなんだね」と考えながら、「タイムマシン」で帰ると、ノビスケが「やあおかえり!! ぼくの大活躍で野球は大勝利。こっちの世界は楽しいね。とうぶんいよう」と言い出した。

 

 ドラえもんはタイムマシンでノビスケの子どもを連れてきた。すると、その子はノビスケに対して、「パパったら、頭が古くておこりんぼで勉強しろ、勉強しろと…」と強く訴え出したのであった。

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