かぐやロボット [★★]

[初出誌] 『かぐやロボット……』、「小学六年生」19836月号、10頁、74コマ

[単行本]  『かぐやロボット』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第37巻」1986825日 初版第1刷発行、11頁、81コマ

[大全集] 『かぐやロボット』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、11頁、81コマ

 

【初出誌vs.大全集】

「ムク ムク」コマ挿入[646(1)]

「ワ!」が「ワ! ワ! ワ!」に変更[646(2)]

「わたし……かぐや……」、「です…。よろしく……」コマ挿入[646(3)]

「お!……」、「おお…………」コマ挿入[649(5)]

 

「なれなれしくしないで」挿入[649(8)]

「ど、どうするって………、も、もちろんだいじに育てるさ」コマ挿入 [651(3)]

「ほ~! 育てる!?」、「ママにかくれて押し入れにとじこめてか!?」、「ごはんはどうする!?」、「おやつは!? こづかいは!?」コマ挿入[651(4)]

 

「そんなにいっぺんにいわれても…………、いじわる!!」、「無責任!!」コマ挿入[651(5)]

「やめよう」コマ挿入[651(6)]

 

「ひとりで育てて幸せにしてやる自信あるのか」が「ねえドラえもん…………、なにかいい考えないかな……」に変更[651(7)]

 

[梗概] 注文したこともないひみつ道具『かぐやロボット』が二十二世紀デパートから届いたので、ドラえもんは腹を立てていた。このロボットは子どものいない年より夫婦が寂しさを紛らわすために使うものである。あとで送り返す予定であった。

 

のび太がこのロボットの作り方の説明書を読むと、①人工細胞の増殖により、人間そっくりのロボット、②竹の幹にカプセルを埋めると一日で体が完成、③竹から取り出すと人間なみの大きさとなり、かわいい女の子に育ちますと書かれてあった。

 

 のび太は学校のうら山にある竹やぶに行き、竹にカプセルを「スル スポ」と埋め込んだ。ドラえもんにはデパートから取りにきたと、うその報告をしている。次の日、うら山に行くと、ピカと光る竹の幹が「カパ」とはずれたので、持って家に帰りカッターで「カリ カリ」切ると、かぐやロボットが現れた。

 

 「ムク ムク」とあっという間に、人間なみの大きさになったので、のび太だ「どこでもドア」でしずちゃんの家に行き、入浴中のしずちゃんに「説明しているひまはないけど」と言いながら、しばらくしずちゃんの服を借りることにした。

 

 服を着替えたあと、のび太が「き、きみ、ぼくの友だちになってくれる?」、「ハイ」と素直に答えるので、どうみても人間にしか見えなかった。「ドタドタ」階段を上ったり降りたりしていたので、ママに「のびちゃん!!」と注意されると、「すてネコなんかひろってこないよ!!」と弁解している。

 

 のび太はかぐやロボットに、「今のはママという凶暴な生物だよ。みつからないよう気をつけなさい」と注意している。

 

 しずちゃんに「さっきはごめん」と謝りながら、ロボットを紹介すると、「かぐやです。よろしく」とていねいにあいさつをした。ジャイアンとスネ夫に紹介すると、「のび太なんかもったいない! おれと遊ぼうよ。うちへいらっしゃい、オモチャいっぱいあるよ」と話しかけると、ここでも素直に「ハイ」と答えている。

 

 三人が「かってにさそうな。本人がハイといってるぞ」と言い争っていると、かぐやはチョウチョが飛んできたので、追いかけだした。

 

 ひとりのおじさんがかぐやをみて、「お!…。おお……。おじょうちゃんお名まえは? おうちはどこ? お父さんやお母さんは?」と熱心に尋ねていた。のび太はかぐやに「へんなおじさんにも気をつけるんだよ」と言いながら、家に連れ帰った。

 

 のび太はかぐやを「どこでもドア」を使って隠していたが、ドラえもんに見つかってしまった。ドラえもんから「またかってなことしたな!! かるはずみにつくっちゃって、ロボットといっても人間とかわらないぞ。この先どうする」

 

 「ど、どうするって…、も。もちろんだいじに育てるさ」、「ほ~育てる!? ままにかくれておしいれにとじこめてか!? ごはんはどうする!? おやつは!? こつかいは!?」、「そんなにいっぺんにいわれても…いじわる!!」、「無責任!!」と口げんかになってしまった。

 

 かぐやは「月をながめてる、あのさびしそうな顔…」と話していると、うちの前にピカピカの高級車が止まり、先のおじさんが「月形ともうします」と自己紹介しながら玄関から入ってきた。

 

 月形さんはのび太とドラえもんの前で、「かぐやさんをみたときのおどろき…。十五年前に亡くしました娘が生きかえったかと思いました。ロボットでもかまいません。かわいがって大事に育てますから、ぜひぜひうちの養女に…」と深く頭を下げられた。

 

 二人は高級車を見送りながら、「やっぱり月からむかえがきて、いっちゃったね」という心境になった。

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