神さまごっこ [★★]
[初出誌] 『神さまごっこ…』、「小学六年生」1982年7月号、10頁、78コマ
[単行本] 『神さまごっこ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第36巻」1986年4月25日 初版第1刷発行、10頁、78コマ
[大全集] 『神さまごっこ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 10」2010年10月30日 初版第1刷発行、10頁、78コマ
【初出誌vs.大全集】
「まあ、よく見つかったねえ」が「まあ、よく見つけたねえ」に変更[654(10)]
[梗概] ドラえもんは部屋の中で「アウ~ ウオ~ ジタ バタ」とのたうち回っていた。のび太が尋ねると、三日もどら焼きを食べていないということであり、「ドラやきがないとぼくはもうダメだ~」と「ドタ バタ」苦しんでいた。
ドラえもんは突然ひらめいてひみつ道具『神さまごっこ』を取り出し、のび太に神さまになってもらった。この道具に「コト」とおさい銭を入れ、「どうかドラやきが食べられますように」と祈ると、神さまの輪が光ったので、のび太に「かなえて使わす」と言ってもらった。
すると、見知らぬ奥さんが「うちじゃ、あまいもの食べませんので…」といっていただいたどら焼きをたくさん持ってきてくれた。「神さまごっこ」だから、このように個人的なささやかな望みを叶えてくれるものである。したがって、のび太が十円入れて、「こづかい百万円与えたまえ」と祈っても、神さまの輪は全く光らなかった。
のび太が十万円、一万円、千円と祈ってもまだ光らなかった。最後に、百円と言ったらかろうじて光り、ママに百円と言っても断られてしまった。のび太が「インチキだ!! 十円返せ!!」と叫んでいると、廊下で「ツル ドテ」と滑ると、目の前に百円玉が落ちていた。
しずちゃんの家に行って、神さまになり、「なんなりと望みをかなえてつかわすぞ」と申し立てると、しずちゃんは「トンちゃんとあって、サインもらって、握手できますように」と祈った。無理かなと思っていると、輪が光り出したので「かなえてつかわす」と告げた。
すると、トンちゃんが「トイレかして。おなかこわしちゃって、もうがまんが…」と駆け込んできた。しずちゃんは「もう少しロマンチックにであいたかったわ」と感想をもらしていた。
スネ夫が玄関前で元気がなかったので、尋ねると、「きょうのテスト九十点だったんだ。ママは、今度こそ百点とってこなくちゃ家にいれませんよって」という話であった。
のび太は「さいせんをあげて祈りなさい」、「しかし…、もう九十点とっちゃったから今さら…」、「神は信ずるものを救いたもうものです」、「ほんとなら金に糸目はつけないよ。何千円いれたらいい?」、「そんなにいらないよ!!」、「なにとぞこの答案を百点に…」と祈った。
先生が「きょうのテストね、答えを一つかんちがいしてね。全員の採点をやりなおしだよ。きみは百点だ」となった。のび太が「じゃあ先生、ぼくは二十点ですね」、「きみのただ一つあってた答えが、じつはまちがいだったんだ。したがってきみは0点です」、「神が不幸になるとは…。なっとくできない!」という心境なった。
ジャイアンが「かあちゃんにおわれてるんだ。このピンチを救え!!」とやってきた。「なんという口のききかた…。とにかくさいせんをいれて、祈りなさい」、「ほれ、五円」、「五円ポッチでずうずうしい」、「なんだと!! 金額で差別するのかよ!! 神さまのくせに」と暴力をふるうので、のび太が「わあ、かなえてつかわす」と叫ぶと、ジャイアンはミゾに「ドブン」と落っこちてしまった。
ジャイアンがなんか落ちていると思って拾い上げると、それは去年かあちゃんが落とした財布であった。かあちゃんから「まあ、よくみつかったねえ」、ジャイアンも「よかったな、かあちゃん。な!」となった。しかし、神さまのび太は天罰を与えたやりたいと思った。
のび太もたまには親孝行がしたくなったので、おさい銭もセルフサービスで入れ、ママに願いごとを言ってもらった。すると、「のび太がせめて人なみの成績をとってくれますように」と祈ったので、のび太は「こまるなあ、あんなきびしい願いは。つくえから離れないよ」となってしまった。
かたわらでドラえもんはどら焼きをぱくつきながら、「いわないことじゃない」ときわめて冷淡なまなざしをのび太に投げかけていた。
[S1064・A3612・068207]