恋するドラえもん [★★★]

[初出誌] 『失恋しちゃった……』、「小学六年生」19824月号、8頁、50コマ

[単行本]  『恋するドラえもん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第27巻」1983425日 初版第1刷発行、8頁、50コマ

[大全集] 『恋するドラえもん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1020101030日 初版第1刷発行、8頁、50コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『失恋しちゃった……』が『恋するドラえもん』に変更

 「ペルシャネコの窓をじーっとみてるよ」が「ペルシャネコの窓をじいっと見てるよ」に変更[615(4)]

 

[梗概] ドラえもんに好きな女の子ができたため、大好きなどら焼きものどを通らなくなり、なんだかグンニャリして、元気もなくなってしまった。ひとまず、好きになったネコに会うため、のび太とドラえもんは「タケコプター」で出掛けることになった。

 

 すごく大きな家に住んでおり、窓から見ると、真っ白でとてもきれいなペルシャ猫であった。

 

 屋根の上で、「ぼくのおよめさんになってほしんだ」と言うので、のび太は「ロボットが結婚なんてできるの?」と尋ねると、「ばかにするな。ぼくは高級ロボットだぞ!」と猛烈に腹を立ててしまった。

 

 ドラえもんは「あっ、あっ、こっちをみた! かわいい目…。ハヒー」と叫んで、屋根から「ゴロ ゴロ」と転がって大地に落下し、目を回してしまった。屋根の上では、白黒の猫がペルシャ猫の窓をじっとみつめていた。

 

 家に帰って作戦を練ると、友だちになるきっかけには、プレゼントが大切だということになった。そこで、ドラえもんはひみつ道具『未来のネコ用品』(コタツハウス、カツオブシガム、ネズミトリゲーム&ウオッチ、マタタビ香水)を出した。

 

 めったに外に出てこないので、ドラえもんはどうやってわたそうか、「あんたなんかきらい! といわれたらどうしよう」かと、悩んでばかりいるので、のび太は「どこでもドア」から、強引にドラえもんをペルシャ猫の部屋に押し込んでいる。

 

 ドラえもんが顔を赤くして、「こ、ここ、こ、ここ、こんにちは!」としどろもどろのあいさつをすると、「まあ…、めずらしいネコさんね」と言われたので、「ネコ? ぼくをネコだとみとめてくれるの? タヌキじゃなく!? しあわせ!!」とめろめろな表情になってしまった。

 

 「こんなめずらしいもの初めてみたわ」と言われ、「そんなに気に入った? ウヒョ」、「すてきなお友だちができてうれしいわ」で、「ムヒョー」と叫んで、うれしさのあまり倒れ込んでしまった。

 

 ドラえもんが「ふうん、自分のへやをもってるの、しあわせだなあ」と問いかけると、「でもないわ、一度でいいから外へでて自由に歩きまわってみたいわ」と希望するので、ドラえもんは「どこでもドア」から外へ連れ出した。

 

 ペルシャ猫とドラえもんが屋根の上を楽しそうに駆けながら、散歩していると、白黒の猫に出会い、「一度でいいからきみとお話ししたいと思ってた」、「あたしも…。こうしてあえるなんてユメみたい」、「ぼくは子ネコのときから…」、「毎日窓の外へきてくださったのね」

 「あたし家をでるわ」、「それはいけない。ぼくはノラネコなんだ。きびしいくらしだよ。人間やイヌにおそわれうえや寒さや…」、「どんなにつらくてもがまんする」、「わかんないこというんじゃない!!」と二人の会話が延々と続いた。

 

 それを聞いていたドラえもんは顔を真っ赤にし、悔し涙を流しながら、「うぬうっ、ライバルめ。どうするかみてろ!!」と左手にピストル、右手にマシンガンを持って、猛烈にいら立っていた。

 

 ペルシャ猫が「そうだわ! すてきなお友だちがいるの、やさしくてなんでもできるの。ドラちゃんお願い」と頼まれると、ドラえもんは最初、腕を組んで歩きまわっていたが、「そうだ!! 前にぼくらが作ったイヌとネコの国」で幸せに暮らせるよう、二人を気持ちよく送りだそうと決心した。

 

 のび太に「なにしにいったんだよ」と問い詰められると、ドラえもんはしょんぼりとし、涙をこぼしながら、「いいんだ、あの子がしあわせになるならば」としんみりと答えていた。

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