つばめののび太 [★★★]

[初出誌] 『のび太ツバメを助けろ…』、「小学六年生」198111月号、19頁、120コマ

[単行本]  『つばめののび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第29巻」1984125日 初版第1刷発行、19頁、123コマ

[大全集] 『つばめののび太』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、19頁、123コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『のび太ツバメを助けろ…』が『つばめののび太』に変更

 「あのクジラはほんとは南氷洋にいるんだ」が「あのクジラはほんとに南氷洋にいるんだ」に変更[645(7)]

 

 「気がかりだ」コマ挿入[654(1)]

「どのへん飛んでる?」コマ挿入[654(4)]

「九州までたどりついたよ」コマ挿入[654(5)]

 

[梗概] のび太の家の前の電線に一羽の季節外れのツバメがとまっていた。そのツバメはのび太そっくりの顔をし、のんびりとし、飛び立ってもなんだか頼りない飛び方であった。そこへ、スネ夫が「いいものみせるからぼくんちへいらっしゃい」と呼びに来た。

 

  なにか買い込んで自慢する気であったので、ドラえもんは「ばかばかしいだれがいくもんか!」と拒否したが、のび太は「何を買ったかみたい気もする」ので出掛けることにした。

 

 行ってみると、特注の大きな水そうに、グッピー、ネオンテトラ、ソードテール、エンゼルフィッシュ、ディスカスといった熱帯魚が水族館のように泳いでいた。

 

  あまり自慢ばかりするので、のび太は「なんだなんだ! 熱帯魚なんか、ちっともめずらしくないぞ!」と反論すると、スネ夫は「するとおたくでは、なにかめずらしいものかってんの?」と聞き返すので、苦し紛れに、のび太は「クジラをかってるぞ!!」と叫んでしまった。

 

 しずちゃんは「いくらくやしまぎれでも、めちゃくちゃだわ」、ジャイアンも「もし、うそだったら、ただじゃすまねえぞ」と一緒についてきた。玄関に入る前に、「ひょっとしてクジラでかけてるかもしれない」と話したが、「みせろ!!」と脅されたので、ドアを開けると、目の前に巨大なクジラが水そうの中で泳いでいた。

 

  ドラえもんがうちで飼ってるクジラのスーちゃんを紹介すると、スネ夫が「ばかにちったいなあ」というので、スーちゃんに「ザザア」とあいさつをしてもらって、みんなをおどろかしている。スネ夫は「どうもおかしい。あれはあやしい。じつにくやしい」と完全に一本取られた心境になっていた。

 

 のび太が困っているところを「自家用衛星」で確認したので、ひみつ道具『動物観察ケース』を取り出した。このケースは「自然のままの動物の生態をみる道具」である。いまは南氷洋と野比家の部屋の空間をつないでおり、動物の大きさはケースのサイズに合わせて伸び縮みし、動物が動くと空間もそれにつれて移動するものである。

 

 このケースの経度緯度ダイヤルを「カチ カチ」移動して、ほしい動物のいるアフリカのケニヤのサバンナで「ウイン ウイン」と探していると、ライオンが出てきた。

 

  そのとき、スネ夫はペット屋でイグアナを買ってきて、めずらしいこの動物を見せるため、ドアを開けると、ライオンが「ウオーッ」と吠えたので、「キャア」と叫んで逃げてしまった。ライオンが子鹿を追い出したので、捕まる寸前ライオンに「桃太郎印のきびだんご」を与えて事なきを得ている。

 

 スネ夫は交番へ行って、おまわりさんに「町の中でライオンを? しかも金魚ばちでかってるんですよ!! あばれだしたらたいへん! う~んとしかってください」と頼んで、のび太の家にやってきた。

 

  おまわりさんが拳銃を抜いて、ドアから中へ入ると、コアラのかわいい親子が目に入ってきた。おまわりさんは「あれがライオンか? あれが!!」と猛烈に腹を立てて帰って行ってしまった。

 

  のび太はパンダやモグラを見たあと、自分でこのケースのダイヤルをいじくると、「ヨタ ヨタ ヨタ」と飛んでいるのび太ツバメを再び見ることができた。

 

 そのツバメは電柱に「コチン」とぶつかるような不器用なトリであった。「桃太郎印のキビダンゴ」を与えると、よほど腹ぺこであったのか、「パク パク」と食べ出した。のび太は夜になっても、このツバメのことが気になって眠ることができなかった。

 

  ドラえもんから渡り鳥は「生まれながらにわたりの季節や目的地がわかるものなんだ」と説明されたが、のび太ツバメはとても気がかりであった。

 

 次の日このケースで確認すると、雨の中を必死に飛んで、九州あたりにたどり着いていた。電線で昼寝をしていると、ドサッと落ちてしまったので、のび太は自分のことのように夢中になり、キビダンゴを与えている。

 

  しばらくすると、大きなタカに襲われ、キビダンゴもなかったので、ドラえもんは「スモールライト」を出して、ピカッと照らして危機を脱出させている。

 

  しかし、地上に落ちて、動かなくなってしまったので、「どこでもドア」で現場に行って、「お医者さんカバン」で診断すると、「ケガハナイ気絶シタダケ」と結果が出た。しばらくすると、元気になって、「チュチュ」鳴きながら、南の方へ飛んでいった。

 

 のび太は学校があるので、ドラえもんにお世話になり、あとをついていってもらうことにした。「かならずぶじ送りとどけるから、安心して!」と頼もしい友だちの言葉を信じて家に帰った。

 

  あれから十日立っても帰ってこないので、心配になってこのケースで確認すると、ドラえもんは「ツバメはフィリピンについたけど、ぼくの家はどっちの方角だったかなあ」と「ヨタ ヨタ」しながら、懸命に帰りの方角を探していた。

[S0969A2915068111]