な、なんと!! のび太が百点とった!![★★★]

[初出誌] 『のび太の100点ピーアール…』、「小学六年生」19815月号、10頁、71コマ

[単行本]  『な、なんと!! のび太が百点とった!!』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第25巻」1982825日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

[大全集] 『な、なんと!! のび太が百点とった!!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『のび太の100点ピーアール…』が『な、なんと!! のび太が百点とった!!』に変更

 

 「ママー!!」が「ママあ!!」に変更[573(8)]

 「あー、ついにカンニングしたか」が「ああ、ついにカンニングしたか」に変更[574(4)]

 

[梗概] 目の前の算数のテスト結果は、のび太が「ユメじゃないか…」と、目を何度「ゴシ ゴシ」こすっても、百点であった。廊下を「ドタ ドタ」と追いかけ、「先生!!」と叫ぶと、「いや、わしも目をうたがったがね。何度調べても百点なんだ。野比くん、よくやったね」と肩を叩かれた。

 

 学校帰りに、自慢するのはみっともないと思い、さりげなく知らせるため、ジャイアンとスネ夫の目の前に「パラ」と落とした。

 

 二人が気づかないで行ってしまうので、のび太は「あっ、テストの答案が落ちてる。だれのだろう。すごい、百点だ!!」と声を出すと、ジャイアンは「百点なら少なくとものび太のではないな」、「野比のび太とかいてある」、スネ夫は「じゃあ、ぜったいに百点なんてことはない」と話して帰って行ってしまった。

 

 しずちゃんに「もしぼくが百点とったといったら…。信じる?」と尋ねると、「人間のねうちは、テストの点数だけで決まるものじゃないのよ。のび太さんはやさしくてすなおのいい人だわ。テストが0点でもいいじゃない。力を落としちゃダメよ。この次、がんばってね」と手を振って行ってしまった。

 

 家に帰って、ママにテストを見せると、「朝から頭痛がするのよ。答案なんか見たくもないわ」と言われてしまった。ドラえもんに廊下で「ドシン」とぶつかって倒れた後、「見てくれよお!}とテストを差し出した。

 

 それを見たドラえもんは「ああ、ついにカンニングしたか」と叫んでしまった。すると、のび太が「どうして…、どうして…。あんまりだあんまりだ」と号泣しだした。

 

 ドラえもんは「悪かった。いそいでいたもので、つい…。もののはずみということもある。のび太くんがぐうぜん百点をとることだって、ありえないことではないのだ」と、懸命に言い訳をした。のび太は「いいんだよ。ぼくなんかが百点とるのがまちがいなんだ。ひるねして、0点とってりゃいいんだよ!!」といつも以上に強烈にすねだした。

 

 ドラえもんは深くきずつけてしまったので、なんとかしなくちゃと思って、ひみつ道具『ピーアール』を取り出した。のび太はこの「ピーアール」に、「のび太が百点とったことを、みんなに信じさせ、感心させてほしいんだ」と頼んでいる。

 

 特上のレベルで頼むと、「人間ハ、新聞ヤテレビノイウコトヲスグニ信用スルモノデス。特上放射線デアナウンサーニシャベッテモライマス」と話したあと、「ビュイ ビュイ」と放射線をテレビに向けた。

 

 テレビが野比のび太くんが百点取ったというニュースを流してくれたので、ママは思わず涙を流し、「ユメじゃないかしら」とハンカチで目頭を押さえている。外でも、ジャイアン、シスちゃん、スネ夫の間で、このニュースで持ちきりであった。

 

 「ピーアール」はさらに、「エライ人ニ、シャベラセルト、モットモット効果ガアルノダ」と、特上レベルの第二弾を展開している。

 

 テレビで「特城大学教授江来博士に今後の国際情勢の展望を…。のび太くんが百点をとった! これはじつに偉大なことであります。不可能に挑戦しこれをなしとげた!! コロンブスのアメリカ発見、アポロ11号の月着陸にくらべられる大偉業というべきでありましょう」といったインタビューが流れてきた。

 

 「サワギハアルテイデ大キクナレバ、ホットイテモサラニ大サワギニナル。特上放射線強化!!」と唱えると、テレビ関係者が特別番組を組み、のび太の友だち、両親、近所のみなさんに参加をお願いしに回り出した。

 

 のび太が昼寝から目が覚めると、テレビでは「国会はこの日を「のび太記念日」と定め、国民の祝日と…」といったニュースが流れていた。

 

 ドラえもんがどら焼きを買いに出掛けた。甘井屋」から帰ってくると、「ピーアール」がやりすぎて、事態がどんどんエスカレートし、のび太も顔を真っ赤にして、「どうなってんだ」と怒鳴っていた。

 

 今までのことはなかったことにして、なんとか取り消してもらうことができた。のび太は「やれやれ…。こんなものしまっておくよ」と引き出しに答案をしまった。

 

 ママが「また、答案をかくしてる!! みせなさい!!」と取り上げて見ると、「ジワ~」と涙がこみ上げ、「がくぶちにいれてかざりましょう」と言うので、のび太は「大げさなかとはやめて!!」と懸命にママを引き留めている。

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