虹谷ユメ子さん [★★★]
[初出誌] 『文通相手はどんな子?…』、「小学六年生」1981年4月号、10頁、67コマ
[単行本] 『虹谷ユメ子さん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第24巻」1982年4月25日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
[大全集] 『虹谷ユメ子さん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 9」2010年8月30日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『文通相手はどんな子?…』が『虹谷ユメ子さん』に変更
「おーそうだ!」が「おう、そうだ」に変更[563(7)]
「〒」、「コト」挿入[567(4)]
「送ってくれたかな」が「楽しみだなあ」に変更[567(4)]
「来た!!」コマ挿入[567(5)]
「ここが、野比のび子さんの家か」コマ挿入[568(4)]
「文字なしコマ挿入[568(7)]」
「文字なし」コマ挿入[568(8)]
[梗概] 学校帰り、しずちゃんと出木杉が仲良く楽しそうに帰る姿を見て、のび太は将来、しずちゃんがおよめさんになってくれることが疑わしくなってきた。のび太はその対策としてすばらしい考えが閃いたので、しずちゃんから少女雑誌を借りることにした。
家に帰るなり、のび太は机の前に座って熱心に雑誌を読み出した。のび太は新しいガールフレンドを作ろうと考えて、少女雑誌の文通欄をいろいろ読み比べて、参考にしようとした。
「しずちゃんにふられたときにそなえて、すべり止め!?」と聞かされたドラえもんに、のび太はひみつ道具の『もはん手紙ペン』を貸してもらっている。のび太ははじめのうち、女の子になりすまして文通する計画を立てた。
のび太は「ペン」を使って、「明るくてちょっぴりお茶目のクラスの人気者よ。お友だちになってちょうだいね」といった、ドラえもんが聞いて「ゾク ゾク」身震いするような手紙を、野比のぶ子という名前で虹谷ユメ子さんに出そうとした。
投函する前に、のび太はドラえもんがひみつ道具『返事先どりポスト』を持っていたことを思い出し、そこへ「コト」と投函すると、「パサ」と返事が返ってきた。
その手紙には、「花のかおりがいっぱいのサンルームで、インコやカナリアの歌声をききながらこの手紙をかいてます」といったロマンチックな内容が書かれてあった。
早速、「日ざしがいっぱいのベランダで、この手紙をかいてるのよ。そばにはかいネコのドーラが、のどをならしています」と返事を出すと、「マミーもダディも、いい友だちができてよかったわねといってます。バーイ」と帰ってきた。
その後も、「セッセ セッセ」と書き続けたので、ドラえもんもビックリするような量になった。
しばらくすると写真を送ってくださいというこまった手紙が届いた。ドラえもんから今までのことをすなおに白状してあやまれと言われたが、そうすると、ぶちこわしになるので、ひとまず、アルバムに写っているしずちゃんの写真を送ることにした。
すると、「文通をはじめてまだ月日もたっていないのに、ずっと前から親友のような気がするの。直接おあいしてぜひお話ししたいので、これからすぐおたくにおじゃまするわ」といった驚愕の返事が帰ってきた。
のび太は困り果てて、「どうしよう どうしよう」と当てもなく、「バタ バタ」と部屋の中を駆け回っていた。文通の相手も「ウソついて、女の子と友だちになろうとしたのが悪かったんだ」と反省しながら、野比のび子さんの家を探していた。
しずちゃんがのび太の忘れていったものを返しにくると、野比家の玄関前で、顔を真っ赤にした学生服の男性から、「のび子さん!!」と声を掛けられた。「のび子? 人ちがいじゃ…」と答えていると、野球のボールがしずちゃんを直撃しそうになったので、その男性が「ズバン」とキャッチしてことなきをえた。
しずちゃんが「まあ、あざやか」と感嘆すると、その男性は「ぼく、野球部のキャプテンやってたんです」と話し出した。家の中で、のび太とドラえもんが虹谷ゆめ子んがおそいので、玄関に出てみると、塀を背にして、ふたりが「あちこちの高校の野球部からさそわれて…。まあ、やがては甲子園に?」と、とても楽しげに語り合っていた。
その光景を見て、のび太は左手でふたりを指さしながら、ドラえもんの目の前でさびしく涙に暮れるのであった。
[S0962・A2402・068104]