ぼくよりダメなやつがきた [★★★]

[初出誌] 『「配役いれかえビデオ」で反省!…』、「小学六年生」19808月号、10頁、67コマ

[単行本]  『ぼくよりダメなやつがきた』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第23巻」1982125日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

[大全集] 『ぼくよりダメなやつがきた』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 82010630日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『「配役いれかえビデオ」で反省!…』が『ぼくよりダメなやつがきた』に変更

 「おーい、あがれあがれ」が「おうい、あがれあがれ」に変更[558(6)]

 「あ、宿題やってる場面か」、「この配役をかえてみよう」コマ削除[91(1)]

 

 「文字なし」コマ挿入[563(1)]

「あ、ぼくが親切に宿題教えてやってる場面だ」、「配役を入れかえてみよう」、「カチ」コマ挿入[563(2)]

「あれれ、多目くんがぼくになって、ぼくがスネ夫になった」コマ挿入[563(3)]

「あれれ!?」削除[563(4)]

 

「同じ配役で、もっといろいろ見せよう」コマ挿入[563(5)]

「どんなゲームになるやら、想像するだけで笑っちゃうよ」コマ挿入[563(8)]

「そーかそーか」が「そうかそうか」に変更[565(4)]

「あげてくれー!!」が「あげてくれえ!!」に変更[565(5)]

 

[梗概] のび太はめずらしくとても楽しそうに学校から帰ってきた。のび太よりもダメな男の子が転校生で、のび太のクラスにやってきた。その子はのび太の五回に一回よりも多い、三回に一回の割合でテストで0点を取り、かけっこも遅く、逆上がりも懸垂もできない子であった。

 

  のび太は「ああなんてすばらしいことだろう。この世にぼくよりダメな子がいたなんて!!」と両手を挙げて、喜びを享受していた。

 

 その多目くんがのび太との約束で、宿題をいっしょにやりにきた。のび太が「パッパッとかたづけて、遊びにいこうな」と呼び掛けると、多目くんは「パッパッなんてできないよ。ぼく、おそいんだ」となった。

 

 「答えをてらしあわせよう」と声を掛けても、「ええっ、まだできないのお!?」となり、「こまるな、こんなかんたんな問題をまちがえちゃ」といった状態が続いた。

 

 のび太は宿題をしていて、「ファア~ア」とねむくなり、多目くんが「モク モク コツ コツ」と努力し、質問すると、のび太は「自分で考えなきゃだめだよ。人にたよっていては、力が付かないよ!!」と叱りつけたので、くたびれてしまい、鉛筆をくわえて、仰向けに寝てしまった。

 

 まだ半分も終わっていないのに、「夜やればいいよ。遊びにいこうよ」と強引に誘い出し、しずちゃんのところへ行って、かけっこをしたり、ゲームをしたりした。学校へいっても、ふたりとも教科書を忘れ、廊下で立たされることになった。

 

 のび太は多目くんに、「そろって0点を取ったり、忘れ物したりする」という協定を結ぼうとした。それに対して、多目くんは「ボクできれば百点取りたいし、忘れ物もしたくない」と答えるので、のび太はぼくに逆らうなんて、生意気だと腹を立てている。

 

 のび太は学校帰り、ジャイアンたちに野球をさそわれたが、ママの用事で参加できないと断り、かわりに多目くんを誘ってもらっている。家に帰ると、「どんなゲームになるやら。想像するだけで笑っちゃうよ。アハハハ」と楽しそうに笑うので、ドラえもんはのび太にひみつ道具『配役いれかえビデオ』を取り出している。

 

 ビデオが写り出すと、のび太が多目くんに親切に宿題を教えているシーンが出てきた。ドラえもんは「多目くんがぼくになって、ぼくがスネ夫になる」ように、配役を入れ替えた。その後、同じ配役でもっといろいろな場面が展開された。

 

 のび太は「もういい。見たくない。やめてくれ!!」と叫んでいると、あることに気づいて広場に出掛けた。ジャイアンが顔を真っ赤にして、「おまえがへまをやったおかげでまけたんだ」と、今にも多目くんを殴りかかろうとしていた。

 

 ドラえもんに助けを求めるため、戻ろうとすると、「ポカ ゆるしてえっ」という悲鳴が聞こえたので、「やめろっ!!」と絶叫して、「多目くんをすいせんしたぼくの責任だ」と語ってジャイアンの前に立ちはだかった。満身創痍で家に帰ると、ドラえもんから「よくなぐられた!!」と絶賛された。 

 

 多目くんが「せっかく友だちになれたのに、また転校することになったんだよ。いままで、きみほどなかよくしてくれた友だちはなかった。勉強やスポーツをいっしょにやってくれたり、ときにはいじめられっ子から、かばってくれたり…。きみのこと忘れない」という、言葉を残して走り去った。

 

のび太はほほを赤らめて、「あんなふうにいわれると、はずかしい。穴があったら入りたいよ」というので、ドラえもんは「そうかそうか」と言いながら、野比家の玄関前に穴を掘っている。

 

のび太はその穴から「物のたとえを本気にするやつがあるかっ。あげてくれえ!!」と叫んでいるので、遊びにきたしずちゃんは何事かと心配そうに穴を覗き込んでいる。

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