アニメ制作なんてわけないよ [★★]
[初出誌] 『ホームアニメを作ろう…』、「小学六年生」1980年6月号、10頁、63コマ
[単行本] 『アニメ制作なんてわけないよ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第24巻」1982年4月25日 初版第1刷発行、10頁、67コマ
[大全集] 『アニメ制作なんてわけないよ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 8」2010年6月30日 初版第1刷発行、10頁、67コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『ホームアニメを作ろう…』が『アニメ制作なんてわけないよ』に変更
「だいいちぼくをマンガの主人公に使うのはやめてくれ」が「ぼくをまんがの主人公に使うのはやめてくれ」に変更[542(1)]
「背景が出た!」コマ挿入[543(3)]
「そろそろセルがではじめたぞ」が「つぎはセルが出はじめたぞ」に変更[543(4)]
「これを背景に重ねて」が「これをかさねて」に変更[543(5)]
「おやつでも食べてるあいだに現像ずみのフィルムが出てくるよ」コマ挿入[543(7)]
「どうせひどい絵でさ」、「むちゃくちゃな話で」コマ挿入[544(6)]
「ジャジャ ジャーン」、「お、お、お……」コマ挿入[544(7)]
[梗概] スネ夫は物置を改造してスタジオを作り、みんなにアニメーション映画を制作すると宣言した。そして、アニメは大変な仕事であり、資金はたっぷりあるが人手が足りないから、手伝ってもらえないかとみんなに相談を持ちかけた。
いつものように、のび太にはむりだ、絵がへたくそだからという理由で、仲間に入れてもらうことができなかった。
家に帰るなり、ドラえもんにアニメスタジオを出してと頼むので、ドラえもんはピンときて、スネ夫と張り合ってアニメ映画を作りたいんだということがわかった。アニメのことが全くわかっていないので、ドラえもんはひみつ道具『こまどりカメラ映写機』を使って、実際にアニメを作って見せた。
のび太が「そんなめんどくさいものなの」というので、「テレビカメラ」でスネ夫たちがスタジオでアニメを作っているシーンを見せた。
熱心にアニメを作っているシーンを見て、のび太もがぜんやる気が出てきた。ひみつ道具『発光マット』を使って、一枚一枚少しずつずらして描くことは大変な作業であった。十分ほどのアニメで、二千枚ほど必要だと聞き、一枚三十分かかると、千時間、一日十時間でも百日かかることがわかったので、急にやる気をなくしてしまった。
ドラえもんはひみつ道具『アニメーカー』を取り出した。この機械のキャラクターボタンを押し、のび太の作りたい話の内容をインプットすると、決定版『のび太ウォーズ』というシナリオが刷り上がってでてきた。それは「のび太がブラックホールを舞台に宇宙魔人と戦う話し」であった。
キャラクター表や絵コンテも完成したので、「メカメーカー」のボタンを「ポン ポン」押して、「のび太ウォーズ」の制作を開始した。原動画から彩色ずみのセル、背景までいっぺんに描き、撮影も機械にまかせることができた。
おやつにどら焼きを食べながら、作曲や演奏も機械にすべてやってもらった。どんな人の声も電気的に合成してくれるので、夢はドンドンふくらみ、小原乃梨子さんや大山のぶ代さんといった一流の声優さんを選択した。屋根の上でひと休みしているあいだに、映画ができるのでアニメってらくだねと話し合っていた。
のび太がスネ夫の家に行くと、主人公のキャラをどちらにするかで、ジャイアンとスネ夫のあいだで意見が対立し、取っ組み合いのけんかになっていた。のび太がアニメが完成したので、家に連れてくる途中、ジャイアンやスネ夫は「どうせひどい絵でさ。むちゃくちゃな話で」とうわさしあっていた。
「ジャジャ ジャーン」とアニメが始まると、一同声も出ないほど感動し、ジャイアンは「くやしいけどおもしろい」といった感想をもらした。のび太が「ま、ぼくなりに苦労したからね。どうだった? きみのアニメとくらべて」と余裕の質問をしていた。
終わったあと、スタッフのリストが画面に映し出されたのにスネ夫が気づいた。演出、シナリオ、…、撮影まですべてアニメーカーとなっていた。
最後のボタン押しもドラえもんになっていたので、ジャイアンから「のび太はいったいなにをやったんだ!?」と問い詰められた。のび太はただ顔を赤らめて、狼狽するばかりであり、ドラえもんも両手を肩まで上げ、お手上げの状態であった。
[S0858・A2413・068006]