ジャイ子の恋人=のび太 [★★★]

[初出誌] 『ジャイ子の恋人=のび太…』、「小学六年生」19802月号、12頁、81コマ

[単行本]  『ジャイ子の恋人=のび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第22巻」1981825日 初版第1刷発行、12頁、84コマ

[大全集] 『ジャイ子の恋人=のび太』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 72010428日 初版第1刷発行、12頁、84コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「おれがゆるさんぞ!!」が「おれがころしてやる!!」に変更[561(1)]

 「タイムマシンで見に行ったらそうなってたのに」コマ挿入[563(2)]

「これでたしかにジャイ子にきらわれるんだろうね」コマ挿入[564(2)]

「顔見てるだけでイライラする!」コマ挿入[564(4)]

 

[梗概] のび太が女の子につけまわされているというので、ドラえもんは「ギャハハハハ」と大笑いし、「きみが女の子につけまわされるなんて…、天地がひっくり返ってもありっこない」と断言していた。

 

  しかし、塀の陰に隠れていると、「ヒタ ヒタ ヒタ」と人の足音が聞こえてきた。ジャイ子が突然現れたので、ドラえもんものび太もびっくりして、家に逃げ帰った。

 

 ジャイアンが家にやってきて、のび太に「おまえしあわせなやつだなあ。とぼけやがって。このお」に語りかけ、「ドン」とのび太を突いている。

 

  そして、ジャイアンは「おどろくのはもっともだ。おれだっておどろいた。じつはこの数日ジャイ子の様子がおかしくて…。さびしそうにタメ息ついたり、メシも五杯しか食わなかったり…。かわいい妹のことだ、おれも気になってな。聞いてもうちあけないんだ。それで、あいつの机の引き出しを調べたら…」と、のび太の写真を見せた。

 

 のび太が「そ、そんな! いままでそんなそぶりもなったのに」、ジャイアンは「それが、おまえ女心よ。おれに似て内気なやつだからな。すきだと口にだすこともできず…。ひとりで悩んでいたかと思うと、いじらしくていじらしくて…。で、おまえのほうからデートにさそってやってほしいんだ」と頼んで、のび太を連れ出している。

 

 「何度もいうが、しあわせなやつだ。おれに似て、美人でやさしくて…」と言いながら、ふたりが歩いていると、スネ夫が「よう、あいかわらす空気のぬけたみたいな顔でどこ行くんだ」と声を掛けてきたので、スネ夫はジャイアンからメリコミパンチをもらい、「のび太は将来、おれの弟になるかもしれないんだぞ」と凄まれている。のび太はただただ震えるばかりであった。

 

 ジャイアンの家に着き、ジャイアンは気を利かせて、のび太とジャイ子をふたりにして、外に出掛けている。ジャイ子が「なによ、話しって。あたし、いそがしいのよ。用がないんなら帰ってよ」と。追い出されてしまった。のび太は「ホッとしたような。バカにされたような…」心境で家に帰ろうとしたら、ジャイアンにつかまってしまった。

 

 のび太がジャイアンに「だってジャイ子が帰れというから」と訴えると、「そこでさっさと帰ってくるとは、女心のわからんやつだなあ。すきな子にはわざとツンツンするものだぞ」と説教され、「やはり男のほうからすきだとうちあけるべきだ」と言われたが、のび太は「そんな!! すきでもないのに」と口走った。

 

 すると、「きらいだってのか!? いっとくがな、妹を泣かせる男がいたら、おれが殺してやる!!」と顔を真っ赤にして、のび太の胸ぐらをつかんでいた。そのため、のび太は「すき! 大すき!!」と言わざるをえなかった。

 

 のび太はジャイアンから、土管のある広場で、女の子のハートのつかみ方をコーチされた。ジャイアンをジャイ子だと思って好きだという練習が始まった。「ジャ、ジャ、ジャージャー…。ジャイ子さん、友だちになってくれない? いやならいいけど」と語りかけると、「まるで熱がこもってない!!」と言われて、殴り飛ばされてしまった。

 

 「心の底からすきだといってみろ!!」、「す、すき!すき…。スキー」、「すきなら態度でしめせ。もっとこっちへこい。手ぐらいにぎれ」とエスカレートし、ふたりは土管の上で、「ぼ、ぼくほんとにきみのことすきなんだ」、「うれしいわ、のび太さん」と恋の特訓が続いた。

 

 泣いて家に帰ったのび太がドラえもんに、「ぼくの将来のおよめさんは、しずちゃんのはずなのに」と強く訴えると、「また運命がかわってきたのかな。そもそもはじめはジャイ子と結婚する運命だったんだよな。それを苦労してかえてきたんだが…、また元にもどったらしい」と頼りない返事だった。

 

 のび太が「わあ~。いやだあ~」と大声で喚き嘆くので、ドラえもんは人に嫌われるようになるひみつ道具『スカンタコ』を出している。ドラえもんが「スカンタコ」にスミをかけられると効き目が強すぎるので、ためらっていたら、のび太にどうしてもかけろと言われたので、「ブチュウ」とかけている。

 

 しばらくすると、ドラえもんが「顔を見てるだけでいらいらする!」と怒鳴り散らし、ママからはほうきを持って追い出されることになった。

 

 ジャイ子の家に行くと、ジャイアンが頭をかきながら出てきて、「おれのかんちがいだったよ。よくよく聞けば大わらい。ジャイ子はまんが家になりたいんだとさ。何度投稿してもボツばかり。それでガッカリして、おまえをモデルにギャグまんがをかこうとつけまわしたり、写真を見ておかしな顔考えたり…」と一気にしゃべりまくった。

 

 のび太の顔を見つめると、「スカンタコ」の影響で、「さっさと帰れ!!」と、家から蹴り出されてしまった。

 

 のび太は「バカにすんな!! やっぱりぼくの相手はしずちゃんなんだ」と、しずちゃんを捜しに出掛けた。すると、のび太の顔を見たしずちゃんは嫌って逃げ回るので、涙を流しながら懸命に追いかけるのび太の姿を公園でドラえもんは目にして、「どこまで運の悪い男なんだろう」とあきれかえっていた。

[S0761A2206068002]