影とりプロジェクター [★★]
[初出誌] 『影取りプロジェクター…』、「小学六年生」1980年1月号、10頁、66コマ
[単行本] 『影とりプロジェクター』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第19巻」1980年7月25日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
[大全集] 『影とりプロジェクター』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 7」2010年4月28日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
【初出誌vs.大全集】
「星野スミレは二人だけに秘密を話してくれました」が「星野スミレはぼくたちだけにひみつを話してくれました」に変更[553(5)]
[梗概] のび太が「大ニュース!!」としずちゃんたちに報告した内容は、『週間明月』に去年掲載された「星野スミレと男性歌手ナンバーワンの郷ヒデキとの結婚宣言に関するものであった。
しずちゃんから「スミレは、沢田五郎と仲がいいのよね」、しずちゃんの友だちから「ちがうのよ。ある青年実業家よ」と知らない情報ばかりを聞いて、のび太ははずかしい思いをしていた。
そこへ、芸能通のスネ夫がやってきて、「みんなちがうね。いろいろうわさがあっても、ほんとうのところ、星野スミレの恋人というのはなぞなんだ。芸能週刊誌や新聞が、全力をあげてさぐってるところさ」と語りかけ、パパの友だちに芸能リポーターがいて、みんなの知らない最新の芸能情報を話しだした。
しかし、のび太は口が軽いからといって、ちょっと人にもらしちゃいけないぐあいの悪い話を聞かせてもらうことができなかった。
ドラえもんはのび太の話を聞いても、「関係ないだろ。星野スミレが誰と結婚しようが」、と鷹揚に構えていた。
しかし、のび太が悪い噂が気になってと話すと、一変して、「悪い噂とはなんだ!! ぼくの大好きなスミレちゃんに。ゆるせない!!」と激昂し、のび太のリクエストしていた星野スミレのひみつをさぐる道具『影とりプロジェクター』を出している。
ドラえもんとのび太は公園でロケしている星野スミレを、このプロジェクターでバッチリと「カチ スウ」と吸い込むことに成功した。家でスクリーンに上映すると、シルエットで撮影後の星野スミレの動向を逐次追跡することができた。
つまり、星野スミレが新曲を発表したり、水着に着替えて週刊誌のグラビア撮影をしたり、大急ぎでラーメンをすすっているシーンを見ることができた。
あまりに忙しくて、デートするなら、仕事が終わった夜になるだろうと思って、ドラえもんとのび太はその間外に遊びに出かけた。夜中に起きて、スクリーンを見ると、星野スミレはなにかを見てびっくりするシーンが写しだされたので、ドラえもんとのび太はタケコプターでスミレさんの家に出向いた、
窓から見ると二枚目スターの落目ドジ郎が「来週の週刊誌を見てごらん。ふたりは前から結婚してたってかいてあるから」とスミレさんに嫌がらせをしていた。
スミレさんが「あなたね、かってなうわさをいいふらすのは」と抗議すると、ドジ郎は「いいかげんにぼくの気もちわかってよ。でないと、もっとひどいうわさをばらまくから」と舌を出しながら、居直っている。
その光景を見ながら、のび太は「ウオ~ツ ウ・ウ」と呻りながら、窓の外からオオカミの影絵を壁に映して、ドジ郎に「ギャーッ!!」と絶叫させて、退散させることに成功している。
スミレさんが疲れているので、ドラえもんとのび太は入るのは悪いと考えて辞退していると、スミレさんから「疲れてるから、お話ししたいのよ」と、豪華なソファーのある部屋に招かれた。
この作品の最後のコマでは、ナレーション風に「星野スミレは、ぼくたちだけにひみつを話してくれました。遠い遠い国にいる、好きな人のことを。でもそれをここにかくわけには生きません。ごめんね」で終わっている。
[S0760・A1914・068001]