モアよドードーよ、永遠に [★★★]

[初出誌] 『絶滅した動物の楽園を作ろう…』、「小学六年生」197811月号、21頁、132コマ

[単行本]  『モアよドードーよ、永遠に』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第17巻」1979725日 初版第1刷発行、22頁、142コマ

[大全集] 『モアよドードーよ、永遠に』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 62010330日 初版第1刷発行、22頁、142コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『絶滅した動物の楽園を作ろう…』が『モアよドードーよ、永遠に』に変更

 「じつにふしぎな事件だった」、「手に持ったこづかいが煙のようにパツと消えうせたのだ!」コマ挿入[511(5)]

 

「わあ、けむりのように消えた!」、「じつにふしぎだ」コマ挿入[511(9)]

「文字なし」コマ挿入[514(5)]

「文字なし」コマ挿入[514(8)]

「もっとタイムホールを近づけて」、「もっともっと」コマ挿入[515(2)]

 

「部屋の中を見せなさい」、「いや……」コマ挿入[518(1)]

「へやの中みせなさい」が「見させない!」に変更[518(2)]

「どうも……」、「こまったことになったなあ」コマ挿入[521(6)]

「早くなんとかしなくちゃいけないのに」挿入[522(2)]

 

「ダッ」コマ挿入[522(4)]

「どうもあやしいわ」が「やっぱりあやしいわ」に変更[525(2)]

「ダン ダン」コマ挿入[525(7)]

「さ、ここで自由にのびのびとくらしな」コマ挿入[526(2)]

 

[梗概] のび太としずちゃんがある日、テレビ番組を見ていた。テレビのナレーターは「伝説の巨鳥モアが何百年か前絶滅した原因についてはさまざまな説がありますが、人間に狩りつくされたとの見方が有力です。

 

  ほかにも人間による捕かくや、自然破壊のために絶滅した動物や、絶滅寸前の動物はたくさんあります。大自然を守ることは二十世紀に生きる私たちの大きな責任となっているのです」と警告しながら番組を終えていた。

 

 番組を見終わったのび太は「ヘー…ホー…フウン…」と感心しながら、しずちゃんに熱く「テレビって歌とまんがとスポーツばかりじゃないんだね。こんなまじめな番組をはじめて見てたいへん勉強になりました」と語りかけた。

 

  のび太は「そうなんだ! ぼくらはもっと自然を大切にしなくちゃ。けものや鳥や虫や草木も」と真剣に考えながら帰宅した。家にセットされたゴキブリポイポイには、たくさんのゴキブリが捕獲され、それを見たのび太は「おうおう、かわいそうに」と言いながら、庭に全部逃がしてやっている。

 

 のび太は突然ママに耳を引っ張れたので、「ゴキブリが絶滅したらたいへんだから」と抗弁したが、ママから「人間が絶滅してもゴキブリはのこるといわれているぐらいよ。同情することはありません」と一喝されてしまった。

 

 おやつを要求すると、ママから「ドラやきがあったんだけどゴキブリがたかったからすてたわ」と言われ、のび太は近くを徘徊していたゴキブリを「こいつめこいつめ」と罵倒しながら、バットで殴りかかった。

 

  ドラえもんはのび太の狼狽した姿を見て、「ハハ、なんだ、たかがおやつぐらいで」と戒めた。しかし、そのおやつが「ドラやき」と聞かされ、激昂したドラえもんは大きな大きなまさかりでゴキブリを追い掛ける姿に大変身した。

 

  ドラえもんは「あきらめきれない」と涙を流しながら、失われたものを取り戻すひみつ道具『タイムホールとタイムトリモチ』を四次元ポケットから取り出し、なんとかゴキブリのたかる前のどら焼きを手に入れることができた。

 

  のび太がとても便利なひみつ道具を見て、「海賊キッドが盗んだ宝を島に埋める前にコッソリいただいちゃう」といった不真面目な目的で使おうとしたので、ドラえもんはそのひみつ道具を貸してくれませんでした。

 

  しかし、のび太が「絶滅した動物たちを昔の世界からつれてきてさ、こんどこそ大事に育ててふやしてさ」といった提案をすると、ドラえもんは「それはきみらしくないすばらしい思いつきだぞ」と絶賛して、二人でその計画を実行することになった。

 

 まず最初の計画で、最大なものになると四メートルもあるといわれる巨鳥モアをこのひみつ道具によって、なんとかのび太の部屋に連れてくることができた。部屋の中で暴れたが、『桃太郎印のキビダンゴ』を与えて、ママにも気づかれないで事なきを得た。

 

  その後、リョコウバト、ドードー鳥、オジロヌーなど絶滅した動物を捕獲することに成功した。

 

  のび太はもう地球上にいないはずの動物を友だちに見せたくなった。リョコウバトをもって外に出かけると、ジャイアンとスネ夫に会い、そのハトを見せると、スネ夫から「へえ、ハトをかったの。いかにものび太にピッタリだよ」とバカにされてしまった。

 

  のび太は「かわいそうなもんだ。このハトの値うちがわからないなんて」と思い、ハトにしばらく遊んできてもいいよ、と言い聞かせながら空に向けた放した。

 

  この光景を見ていた動物学者がのび太に「きみ! 世紀の大発見なんだぞ! おねがいだ、どこにいたのか教えてくれ!」と詰問した。のび太は苦し紛れに、「あ、あのね…、学校の裏山」と答えてしまった。家では、キビダンゴの効き目が薄れてきたのか、それぞれの動物たちが騒ぎ出し、今にもママに気づかれそうな状況になってきた。

 

テレビでも、「絶滅したはずの珍しい鳥が東京で発見されました。…、なお、発見した少年をさがしております」といったニュースが流れ、そして、のび太の家の近辺でも、学校の裏山をめがけて、多くの人たちがリョコウバトの捕獲に殺到していた。

 

 のび太の計画に感動し、積極的なバックアップを決意していたドラえもんは『マグマ探知機』と『強力岩トカシ』といったひみつ道具で無人島の造成に取り掛かっていた。

 

  騒然とした状況の中で、のび太たちはかろうじて「どこでもドア」より捕獲した動物を無人島に送り込むことに成功した。無人島は「船や飛行機の航路とはううんとはなれてるから」人にも気づかれず、動物たちも自由に「ノビ ノビ」と暮らすことができた。

 

 のび太やドラえもんの計画は、この無人島に『速成ライト』を駆使して、ジャングルや草原を作り、一種類当たり百匹くらいを連れてきて、何十年か何百年後に、動物たちの楽園にしようとする素晴らしいものであった。

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