雪山のロマンス [★★★]
[初出誌] 『14年後、ぶじ(??)しずちゃんと結婚……』、「小学六年生」1978年10月号、10頁、64コマ
[単行本] 『雪山のロマンス』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第20巻」1981年1月25日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
[大全集] 『雪山のロマンス』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 6」2010年3月30日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『14年後、ぶじ(??)しずちゃんと結婚……』が『雪山のロマンス』に変更
「いやーよ」が「いやあよ」に変更[497(1)]
「見~つけた!!」コマ挿入[501(1)]
「フンガ~」、「よっぽどつかれたのね」コマ挿入[504(3)]
[梗概] のび太はしずちゃんから「いつもいっしょに宿題やろうといって、あたしの答えをうつすだけでしょ。たまには自分でやらなくちゃだめ!」とキッパリ断られている。
のび太は将来しずちゃんと結婚することになっているという設定に疑いを持ち始めた。のび太は今のところしずちゃんと結婚するムードでないため、ドラえもんに相談した。
すると、ドラえもんも「いや、ぼくもかねがねふしぎに思ってた。あんないい子がなんだってよりによってのび太くんなんかと。もう少しましな男が一杯いるのに…」と言い出した。
しずちゃんと十四年後の十月二十五日に婚約することになっているので、のび太とドラえもんはその直前の様子を『タイムテレビ』で見ることに決めた。鼻水を垂らしたのび太青年はしずちゃんから雪山へ行くのか行かないのか、はっきりして欲しいと詰問されていた。
のび太青年は「行きたいんだけどね…。坂道によわくてねえ。平らな山ならいいんだけど…」と全く進歩のない返事をしている。しずちゃんは友達と一緒に雪山へ、のび太青年は風邪で入院してのびていた。
その後、「タイムテレビ」でしずちゃんを追い掛けると、しずちゃんは一人で、「ビュゴオ…」と吹き荒れる雪山を登っていた。「タイムテレビ」を見ていたのび太は『タイムふろしき』で十四年後ののび太に変身し、「タイムマシン」に乗ってしずちゃんの救助に向かった。
吹雪の中でしずちゃんを発見したのび太は早速荷物を背負うことを申し出た。あまりの重さに、のび太は荷物を背負って立ち上がることができなかった。のび太は迷うといけないから、山道を地図で確認することが必要であると言いながら、出した地図は世界地図であった。しずちゃんはオートコンパスを使っており、道に迷うことは全くなかった。
近くに岩穴があったのでそこで、ひと休みすることになった。のび太は「雪山のそうなんでおそろしいのは凍死だ。たき火をして体温を上げよう。
きっとマッチがグショぬれになってるだろうけど心配しなくていい」と蘊蓄のあるところを披露しながら、「ぼくは火のおこしかたをしってるんだ。木と木とこすり合わせればいいんだよ」と火をおこし始めたがうまくいかなかった。
しずちゃんの出したライターで簡単にたき火をおこすことができた。のび太は通勤着で冬山に来たため、グショぬれになり、何度もクシャミを繰り返したが、しずちゃんの毛布を借りてなんとか寒さを防ぐことができた。
のび太はカンヅメなどの食べ物をたくさん持ってきたけれども、肝心の缶切りを忘れてきた。しずちゃんの一粒でお腹の一杯になる携帯食をわけてもらった。よっぽど疲れていたのか、のび太はしずちゃんの寝袋を借りて、「フンガ~」と高いびきをかきながらグッスリ眠ってしまった。
翌朝になると吹雪も止んで、のび太が出掛けるとすぐに「ドターッ」と転んで足を挫き、メガネをなくしてしまった。のび太青年は「もう歩けな~い」とダダを捏ねていると、しずちゃんから「トランシーバーで救援をたのんでおいたの。もうすぐ来るからがんばって」と言われていた。
のび太は「さんざんだった。もうおしまいだ」と言いながら、「タイムマシン」の出口である机の引き出しに帰ってきた。それからどうなったかが心配になったドラえもんは「タイムテレビ」でチェックした。
すると、テレビでは、しずちゃんが「のび太さんと結婚するわ。そばについててあげないとあぶなくてみてられないから」と泣きじゃくるのび太青年の手を握りながら答えていた。このシーンを見たのび太は「こんなみっともないのいやだっ、まっぴらだっ」と抗議した。すると、ドラえもんは「だったらもう少したくましい男になるんだね」と優しく諭すのであった。
[S0667・A2018・067810]