週刊のび太 [★★★]

[初出誌] 『自分の雑誌作っちゃおう……』、「小学六年生」19785月号、10頁、63コマ

[単行本]  『週刊のび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第17巻」1979725日 初版第1刷発行、10頁、67コマ

[大全集] 『週刊のび太』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 62010330日 初版第1刷発行、10頁、67コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『自分の雑誌作っちゃおう……』が『週刊のび太』に変更

 「なにか見本がある?」コマ挿入[451(2)]

「これでこの箱は手塚先生になったんだ」コマ挿入[451(5)]

 

「かきはじめられた!」、「おじゃましてはいけない」コマ挿入[451(7)]

「原稿料は?」、「ただ」コマ挿入[451(8)]

 

[梗概]  のび太が『週刊少年ジャブン』の新人マンガ賞に応募したが、三十二ページの『大宇宙の大怪魔』は佳作にも入選にも入らなかった。ガッカリしたのび太は「ぼくのマンガのせてくれる雑誌がないかなあ…」とつぶやくと、ドラえもんがひみつ道具『雑誌作りセット』を出してくれた。

 

 のび太はドラえもんの忠告にも耳を傾けないで、今までに描いたマンガを「週刊のび太」に載せることに決め、さらに、表紙も自分の写真を使うことにした。原稿をセットの「製版印刷製本機」に入れると、「ゴト ゴトン バタ バタ ザク ザク」と、アッという間に何冊も刷り上がげることができた。

 

  全国の書店で売り出すため、ひみつ道具『遠写カガミ』でコマーシャルを積極的に流したので、のび太の家に町内の子どもたちはもの珍しそうに集まってきた。

 

 一冊百円の「週刊のび太」をひと目見ると、だれも買わないで帰っていこうとした。のび太は「ただでもいいから!」と叫んで追い掛けたが、誰ひとり買うものが現れなかった。そのため、毎度おなじみのちり紙交換の業者に全部引き取ってもらうことになってしまった。

 

 ドラえもんの忠告にしたがって、のび太はセットの「編集ロボット」と相談しながら、まず最初に、読者が何を読みたいか、アンケートで調べることにした。次に、好きなまんが家、手塚治虫、鳥山明、松本零士、ちばてつやなどを選んだ。

 

  セットの「マンガ製造箱」に、例えば、見本として手塚治虫作品を入れると、「ウイン ウイン」と作動して、コンピューターが絵柄や作風を分析し、先生とそっくりの能力を身に付けることになった。

 

 この箱は手塚先生になったので、のび太がマイクで「SFマンガ! 迫力ある宇宙冒険物。笑いや涙も盛り込んで二百五十頁読み切り」と入力すると、「ドサ」と『スペースシンドバッド』という作品が完成して出てきた。

 

  しかも、原稿料ただで。たくさんの原稿を入力して、次から次と作品を作り、その中にのび太の作品を一本だけ入れることにした。

 

 マンガがそろったので、企画のアンケートを実施すると、「見つからないカンニング法の特集、ピンク・レディーの百のひみつ、ヌードのグラビア、フロクに毎週少年サンデーをつけろ、とじこみフロクに一万円札」など、かってな要求が多かったけれども、読者の希望をできる範囲で取り入れることにした。

 

 「編集ロボット」のアドバイスにより、表紙にはしずちゃんを起用することに決めた。フロクには、ほんとに乗れる実物大組み立てヨットをつけて発売することにした。人気絶大であったので、アッという間に全部売り切れてしまった。

 

 のび太は「あれにのせたぼくのまんがはとっておきの自信作だったよ」と、ドラえもんに楽しげに報告していた。「編集ロボット」が読者の声を持ってきてくれた。

 

  その声には、「すばらしい雑誌だ、のび太のまんががなければもっとすばらしい。これからも買いたいと思う。ただしのび太の連載をやめれば。のび太のまんがをとりはずせるようにしてくれ」と書かれてあった。それを読んだのび太は腕組みをして、「もうやめたもうださいない!」と、悔し涙を流すことになった。

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