狂音波発振機 [★★]
[初出誌] 『狂音波発振機』、「小学六年生」1978年4月号、10頁、63コマ
[単行本] 『驚音波発振機』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第17巻」1979年7月25日 初版第1刷発行、10頁、64コマ
[大全集] 『狂音波発振機』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 6」2010年3月30日 初版第1刷発行、10頁、64コマ
【初出誌vs.大全集】
「ガタ ガタ ガタ バタ バタ」が「ガタ ガタ バタ バタ バタ」に変更[441(1)]
「ものすごい悲鳴!この世のものとも思えない」コマ挿入[441(2)]
[梗概] ジャイアンに追い掛けられ、のび太が「ドラえも~ん」と泣きながら帰ると、ドラえもんが家の中から「のび太」と叫んで飛び出してきた。
のび太が顔を真っ赤にして、「ぼくの話を聞け!!」と怒鳴ると、ドラえもんも顔を真っ赤にして、「ジャイアンがなんだ! ネズミがいたんだぞネズミ!」と怒鳴りかえし、「四次元ポケット」から家もろとも吹っ飛ばす爆弾を取り出している。
ビックリしたのび太は冷静になり、ドラえもんに「未来のネズミ取り」など、なんかありそうだろうと問い掛けると、ドラえもんはひみつ道具『驚音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機』を取り出した。
なお、このひみつ道具の名称はドラえもんのマンガ史上、最長のものである。この機械は超音波で蚊を寄せ付けないようにする二十世紀の機械の原理を、発展して作られたものである。
しかしながら、かんじんの驚音波のテープをなくしたので使いものにならないと、ドラえもんは考えていた。のび太がジャイアンの新曲を使ったらどうと提案したので、ジャイアンの歌の音波の中でも、特に有害な部分を取り出して、うんと強めて使うことにした。
見るからに不機嫌そうなジャイアンに会ったが、是非きみの新曲を聞きたいと申し出ると、「ジーン」ときたジャイアンはふたりの肩に両手を乗せ、「心の友よ!」と涙を流して感謝している。さらに、新曲だけでなくレパートリー全部を歌ってよと追加すると、「ジ・ジーン」と感動し、「そ、そんなにもおれの歌を」と大喜びしている。
家に連れてきて,歌を吹き込むことになったが、家からどうしても出ないと言い張るママの命を守るため、「タケコプター」を装着して、外に強制的に避難させた。一方、のび太とドラえもんはかたく耳栓をし、準備体操や深呼吸をして、録音を開始した。
ジャイアンが歌い出すと、耳栓をしていてもズキンズキンと頭に響いたが、驚音波を家のすみずみまでおくるためがまんにがまんを重ねた。まず、最初に、ゴキブリが「ヨロ ヨロ コロン ヒク ヒク」と犠牲になった。
次に、窓ガラスが「ビシッ」、壁が「ポロ ポロ」、天井では、「ガタ ガタバタ バタ バタ」とものすごい悲鳴となり、ネズミが大挙して家から逃げ去った。ドラえもんとのび太は涙を流して、喜び合った。ジャイアンも、ハンカチで汗を拭きながら、「よろこんでくれておれもうれしい」と感想を述べている。
何日かたって、のび太消毒社のチラシを見たドラえもんが、電話をしているのび太のところへ飛んで行くと、しずちゃんから白アリ駆除申し込みの電話を受けていた。のび太はジャイアンに、「またきみの芸術にひたりたくなったんだけど…」と電話を入れると、心よくきてくれるという返事であった。
ばれないように方法はひみつにしてあり、ジャイアンはほんとのワンマンショーのつもりでいた。のび太は「ジャイアンよろこぶ。しずちゃんもよろこぶ。ぼくはもうかる」と意気揚々と出掛けた。
さらに何日かたって、ジャイアンが「心の友よ。たのみがある」とやってきた。スネ夫の家のゴキブリを退治したというので、自分の家のも頼むという要件であった。機械の前に座ったのび太は後頭部に汗を垂らしながら、準備をしていた。
ジャイアンから「なんだ、歌の機械じゃないか。それでどうやってゴキブリとるんだい。はやくやってみせろよ」とやいのやいのと催促された。果たしてのび太の運命やいかに!?
[S0661・A1715・067804]