かがみでコマーシャル [★★★]
[初出誌] 『遠写かがみ』、「小学六年生」1977年2月号、10頁、63コマ
[単行本] 『かがみでコマーシャル』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第14巻」1978年1月25日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
[大全集] 『かがみでコマーシャル』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 4」2009年12月30日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『遠写かがみ』が『かがみでコマーシャル』に変更
「おさわがせしました」コマ挿入[581(5)]
「わしゃあ、はじめから気がすすまなかったんだ!」コマ挿入[582(2)]
「お客が来なくなれば……、この店、かくじつにつぶれるよな」コマ挿入[582(4)]
[梗概] ドラえもんはひみつ道具『遠写かがみ』を使って、実験をしていた。この鏡に写った画面をほかの鏡にも写しだすことができる。ドラえもんがこの鏡にゆうれいを写していたので、のび太とママが鏡台を見ると、ゆうれいが写っていたので、「キャアー」と叫んで、「ドタ ドタ」と逃げ出すことになった。
写す範囲は家の中から町中まで調整でき、自動的にしておけば、鏡をのぞいた時だけに絞ることができ、同じ画面を繰り返すこともできた。しかし、せいぜい人を脅かすぐらいしか用途がないので、ドラえもんはトンカチで壊そうとしていた。
のび太はおもしろい使い道を考えるため、しばらく借りることにした。テレビを見ていて、のび太は「遠写かがみ」はコマーシャルに使えることに気づいた。
次の日、スポンサー探しに出掛けたが、契約してくれる店が一軒もありませんでした。のび太がションボリしていると、ドラえもんは無料サービスで一軒の店のコマーシャルを、流すことを提案している。裏通りにあって、あまりはやっていない店に的を絞り、オンボロで今にもつぶれそうなあばら屋が選ばれた。
表通りにきれいな商店街ができてから、お菓子の味に絶大な自信があっても、さらに、店はきれいでほこりひとつ落ちていなくても、客足がバッタリとだえてしまったと、店の主人は嘆いている。押すな押すなとお客が詰めかけるように、鏡のボリュームを最大にセットして、町中にCMを流した。
のび太のパパがひげを剃っていたら、突然、ドラえもんが鏡いっぱいに、「あばら屋のまんじゅうは、おかしの三かん王です!」と言いながら現れた。喫茶店の窓ガラスでは、のび太が「うまい! 大きい! 安い!」と叫んで、アベックを驚かしている。
ドラえもんは鏡台に、「あばら屋のドラヤキで、百円玉はかえません。あしからず」と登場している。のび太は水たまりにも登場し、「あばら屋 あばら屋 あばら屋」と叫んで、しずちゃんに「エッチ!」と言われている。
お客さんがとんと店に現れないので、のび太はCMの結果を調べに出掛けた。予想に反して評判が悪く、「みんなおこって、あばら屋の菓子なんか買うもんかと…」といきり立っていた。
店の主人から、ドラえもんとのび太は「はじめから気がすすまなかったんだ! たのみもしないのに、よけいなことを。どうしてくれる」と拳を振って怒られることになった。
ドラえもんとのび太が「ぼくらのせきにんだ。ごめんなさい。わ~」と泣いてお詫びすると、主人は「店をやめようと思っていたところだった。よかったら店の菓子、すきなだけ食べてってくれない」かと言われた。
ドラえもんが「いっぺんドラやきを、山のようにたべてみたかったよ」と、とてもおいしそうに「パク パク」と食べた。さらに、のび太は「こ、このきんつばのうまいこと」、ドラえもんも「このだんごだって!」と大きな口をあけて、とても楽しげに食べているシーンが窓ガラスやお風呂屋の鏡や鏡台にクローズアップされて何度も何度も写しだされた。
そのため、町の人たちもぜひ食べてみたくなり、あばら屋にお客さんが殺到し、店は大繁盛となった。
[S0471・A1403・067702]