夢まくらのおじいさん [★★★]

[初出誌] 『カエルの子はカエル』、「小学六年生」197612月号、10頁、66コマ

[単行本]  『夢まくらのおじいさん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第14巻」1978125日 初版第1刷発行、11頁、76コマ

[大全集] 『夢まくらのおじいさん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、12頁、87コマ

 

[梗概] のび太のパパは夢の中で、おじいちゃんから「どうもおまえはのび太をあまやかしすぎとるぞ。男の子はな、もっときびしくきたえるものじゃ」と言われ、ママからもそうすべきであると念を押された。

 

 のび太がマンガを買ってほしいとパパに頼むと、「マンガなどくだらんものよむなっ! 勉強しろ、勉強!」とめずらしく怒鳴られてしまった。きょうは冷えるのでストーブで暖まっていると、パパは子どもは風の子であると言いながら、外でキャッチボールをすることになった。

 

  「ビュウ ビュウ」と寒風の吹く庭で、のび太は「ブルブル」震えながら、キャッチボールをした。寒さで手がかじかんでしっかり投げることもできず、ボールも「バシ」と受けるとしびれるような痛さであった。パパはもっとしっかり投げろとか、どこへ投げているんだとか、きゅうに厳しくなった。

 

 受け取れなかったボールが外を歩いていたジャイアンを直撃したので、のび太が取りに行くと、殴られて帰ってきた。すると、「それでも男か! なぐられたらなぐり返せ。それまで、家に入れん」と怒鳴り、「ぼくも父に、そうやってきたえられたんだ。おかげで、こんなたくましい男になれたんだよ」と、止めにはいったママにも力説している。

 

 のび太は「じつにめいわくだ! これというのも、おじいちゃんが夢の中なんかで、よけいなこというからだ」と腹を立てていた。おじいちゃんはのび太の生まれる前に死んでいたので、どんな人か会ってみたくなり、タイムマシンで三十年前の世界へ出掛けることにした。

 

 いきなり竹刀を持ったおじいちゃんが「いくじなしめが。にげてもむだじゃ」と叫んで、「ドドド」と駆けながら、パパを探し回っていた。木陰に隠れていたパパが見つかると、庭に引き出され、「手も足もこごえちゃって…」とブルブル震えながら、竹刀を構えると、「弱音をはくな。こうして、身も心もきたえあげるんじゃ!」と厳しくしごかれていた。

 

 パパがマンガがほしいと頼むと、「いかん。ああいうものはなんのやくにもたたん」と断られていた。しかし、おばあちゃんは「ともだちでみせっこするするんですって。マンガをもっていかない子は、なかまはずれにされるらしいんですよ」とやさしく弁護している。

 

 パパがマンガを買ってもらえないので、手ぶらでみんなの待っている材木置き場である、いつもの遊び場へ行くと、三人の男の子から「また、やくそくをやぶりやがったのか」と怒鳴られ、その上、「ポカ ポカ」となぐられてしまった。

 

 パパが泣きながら帰ってくると、おじいちゃんは「なぐられたらなんでなぐり返るさん。もういっぺんいってこい! 勝つまでかえってくるな!」と厳命している。一部始終見ていたのび太は「おにじじいだ!」と猛烈に腹を立てていた。

 

家では、なかなか帰ってこないので、おじいちゃんもおばあちゃんも心配になり、「おまえいってこい。きず薬とほうたいをもってな」と頼み、「それから、マンガをかってやれ」と現金を差し出している。

 

おばあちゃんが「あなたがかってやればいいのに。よろこびますよ」、しかし、おじいちゃんは「いったんだめといったことばを、とりけせるか! わしにはないしょということにしておけよ」といって、玄関で送りだしている。

 

 「けっこうあまいよ」と見直していた二人が突然、「そこにいるのはだれじゃ」と尋ねられた。タイムマシンの話などをしても、おじいちゃんはサッパリわからんといっていたが、のび太はどうも自分の孫らしいことに気づいた。「そういえばのび助によくにておる。りこうそうな子じゃ」と普段言われたことのないことを言われてしまった。

 

 よくきたと大歓迎され、縁側で頭をなでてもらって、お菓子などをごちそうになった。ドラえもんも「孫はかわいいって、ほんとなんだね」と感心している。のび太がおじいちゃんのせいでパパからいじめられていると訴えると、おじいちゃんは「わしゃ知らんぞ。そんな夢は、のび助がかってにみたんじゃ」との返事であった。

 

タイムマシンでおじいちゃんに来てもらって、ふとんの上で正座しているパパに「こりゃ、のび助、のび太にやさしくしてやれ」と忠告してもらった。襖を開けて、のび太は「ついでに、おこづかいふやせといってよ」とこっそり頼んでいる。

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