正義のみかたセルフ仮面[★★]
[初出誌] 『セルフ仮面』、「小学六年生」1976年7月号、10頁、72コマ
[単行本] 『正義のみかたセルフ仮面』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第12巻」1976年12月25日 初版第1刷発行、10頁、75コマ
[大全集] 『正義のみかたセルフ仮面』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 4」2009年12月30日 初版第1刷発行、10頁、75コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『セルフ仮面』が『正義のみかたセルフ仮面』に変更
「めんどうみてもらうぞ」コマ挿入[509(5)]
「めんどうみてもらうぞ」削除[509(6)]
「こんな時のための正義のみかたなのに……」コマ挿入[510(2)]
「パンパカパーン」コマ挿入[510(3)]
[梗概] 悪党につかまったヒロインが怖い武器で今にも処刑されそうになったとき、正義の味方、あらわし仮面が登場して、その危機を救ってくれた。テレビを見ていたのび太は、「まってました! そうこなくちゃ。やれやれ」と大興奮していたので、ドラえもんは「よくあんなものにむちゅうになれるな」と感心していた。
のび太は年中ピンチなので、ドラえもんに正義の味方を出してと頼んだけれども、一言「アホか」と言われて、拒絶されてしまった。
正義の味方に関するすばらしいアイディアを考えていて、「グウ」と寝てしまい、翌朝になって、忘れていた宿題を思い出した。ドラえもんに手分けしてやってもらっていたが、もうあとひとりいないと追っつかないほどの量が残っていた。
突然、机の上に、ドラえもんも知らない「正義のみかたセルフ仮面!」が名乗り出て、手伝ってくれたので、朝食前になんとか終えることができた。のび太が「あなたはどこのどなたですか」と尋ねると、「そんなことより、はやく学校へ行きなさい」とやさしく言ってくれた。
ドラえもんには、なぜ、のび太のピンチがわかったのか、よくわからなかったが、セルフ仮面のあの声、あの姿。どこかで聞いたような気がした。
のび太は有頂天になり、もっともっとピンチにあってみたくなったので、わざと、ママに「これから宿題もせず遊びにいくね」と告げた。ママが烈火のごとく怒ったので、「セルフ仮面きてくれえ」と応援を頼むと、「火事だ」と叫んでくれたので、こっそり遊びに出かけることができた。
のび太がジャイアンの後をニコニコしながら歩いていると、突然、セルフ仮面が出てきたので、のび太は「スリルがないよ。ジャイアンがおこりだしてからでてきてよ」と頼むと、セルフ仮面は「わざとピンチをつくるのやめてくれないか。めんどうみきれないからな!」とどこかへ消えてしまった。
のび太がジャイアンのしりをわざと蹴ると、顔を真っ赤にしたジャイアンに殴られそうになった。懸命になって逃げていると、「パンパカパーン」の合図で、ジャイアンのかあちゃんを連れたセルフ仮面が現れた。かあちゃんが「タケシ! またらんぼうしてるね」と言いながら窮地を救ってくれた。
あまりパッとしない正義の味方であったが、相変わらず、ドラえもんものび太もその正体がわからなかった。二人が考えているところへ、ママが「去年、劇に使った衣装しまっとく? すてちゃう?」と言いながら、風呂敷包みをもってきた。中をひと目見て、ドラえもんはセルフ仮面の正体がのび太自身であることがわかった。
ドラえもんの解釈は、「現在のきみには、きょう一日のどこでピンチにあったか、すべてわかってる。だから、タイムマシンで過去のきみをピンチから救いにでかける」というものであった。のび太も「セルフサービスの正義のみかた!」とわかったようで、わからないという奇妙な結末になってしまった。
[S0464・A1208・067607]