化石大発見!![★★★]

[初出誌] 『インスタント化石』、「小学六年生」19764月号、10頁、63コマ

[単行本]  『化石大発見』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第11巻」1976725日 初版第1刷発行、12頁、80コマ

[大全集] 『化石大発見!!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、12頁、80コマ 

 

 

[梗概]  のび太が宝の地図にしたがって、大きな崖に穴を掘ったが、宝が出てこなかった。掘り終わって、今日が四月一日であるので、スネ夫にすっかりだまされたことに気づいた。

 

 近くでひとりのおじいさんが泥岩層であるこの崖で、化石を掘っていた。のび太やドラえもんが宝さがしよりおもしろいと言いながら掘り出すと、そのおじいさんから「貴重な化石をもしこわしたらどうする!」と怒鳴られてしまった。

 

 家に帰って食事をしているとき、のび太はドラえもんに、「あああ、ばかな目にあっちゃった。ぼくらもだれかだましてやりたいな」と話を持ちかけた。食べていたアジの骨や貝殻を土に埋め、ひみつ道具の『タイムふろしき』をかぶせて、何億年前の化石を作ることに成功した。

 

 その化石をおじいさんに見せると、「大発見だ!」と飛び上がり、この化石は何億年の昔の生物の姿であり、魚も貝もまだ進化していない原始的な種類であると鑑定した。おじいさんは「わしも見つけるぞお!」と叫んで、前より熱心に、「ガツーン ガツーン」と崖を発掘し出した。

 

 ごみすて場に落ちていたものを何でも化石にして、こっそりと崖に埋めることにした。すると、おじいさんが娘さんを連れて再びやってきた。娘さんがのび太の手を「ギュ」と握り、「ありがとう」を繰り返した。

 

 そして、「父はね、子どものころから古生物学者になることがゆめだったの。…、年取ってからやっと好きな研究にうちこむことができるようになったの。それだけにきょうの発見がうれしいのよ」と言われた。

 

 のび太とドラえもんは「まずい! はやくうちあけてあやまれよ。ばかいえ! きみがうちあけろ」と言い争っていた。一、二の三でいっしょに謝ろうとしたとき、おじいさんが「大発見! おうい、はやくはやく」と娘さんを大声で呼び寄せた。

 

 リンゴの芯の化石を見せながら、「リンゴは外国から近代になって入ってきた植物なんだ。ところがこの化石を見ると、古代の日本にリンゴがあったことになる!」と喜々として、娘さんに説明しだした。

 

 ごみすて場のこうもりガサが、コウモリそっくりで始祖鳥以前のもの、カンジュースの空き缶がオーム貝の一種、ただのほうきが巨大な海ユリと解説し、「この発見を発表したら、世界の古生物学界はひっくりかえるような大さわぎになろぞ!」といった喜びようであった。

 

 涙を流して正座しているおじいさんの肩に手を置いて、娘さんは「よかったわね、パパ。ほんとによかったわね」と感激していた。聞いてくれないので、ドラえもんとのび太は「きいてよっ。四月バカ!」と叫んで、「タイムふろしき」で化石をもとに戻すと、おじいさんは「ヘタ ヘタ」と座り込んでしまった。

 

 二人は「ソロリ ソロリ」と立ち去ろうとした。おじいさんが「ゴソ ゴソ ゴソ」と歩き出した生き物を「ヒョイ」とつかむと、それは三葉虫であった。呼び止められた二人はおじいさんから「これをどうやってつくったんでね」と尋ねられたが、二人は「そんなものつくれるわけがないでしょ」という返事であった。

 

 おじいさんの解釈では、「本物の化石がまざっててタイムふろしきで復元されたんだ!」というものであった。新種で、世界のどこからもこんな形の三葉虫は見つかっていない上、生きて動いているので、まさに世紀の大発見であった。

 

 翌日、スネ夫は喜色満面ののび太から、「宝の地図をありがとう。すてきな宝物が見つかったよ」と言われたが、ちんぷんかんぷんな心境であった。

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