ニセ宇宙人[★★★]
[初出誌] 『ニセ宇宙人』、「小学六年生」1976年2月号、10頁、58コマ
[単行本] 『ニセ宇宙人』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第10巻」1976年4月25日 初版第1刷発行、10頁、59コマ
[大全集] 『ニセ宇宙人』、「藤子・Ｆ・不二雄大全集 ドラえもん 3」2009年10月28日 初版第1刷発行、10頁、59コマ
【初出誌vs.大全集】
「だれだだれだっ」が「だれだだれだ」に変更[617(7)]
「あー、われわれが地球に来た目的は…」が「ああ、われわれが地球に来た目的は………」に変更[619(2)]
「宇宙人なんかあい手にできんというのか！」コマ挿入[619(7)]
「ここに頭のおかしな子がふたり………」が「ここにおかしな子がふたり……」に変更[620(5)]
「首相ハマダカ」が「死刑！」に変更[620(7)]
[梗概] スネ夫の写した円盤の写真をのび太に見せながら、スネ夫とジャイアンは「はじめはおれたちも冗談のつもりだったんだよ。ふざけてさ、円盤こい円盤こいなんて…、心の中で念じていたら、とつぜん目の前へ、パーッ。オレンジ色の光！ 着陸した円盤から宇宙人が」という驚くべき話をし出した。
のび太は家に帰って、二人が宇宙人に会って話をし、しかも、今晩も空き地に円盤が着陸するという、大ニュースをドラえもんに報告している。
夜中に起き出して、ドラえもんと広場に行った。ドラえもんはハクションをしながら、「ううさぶ…。ねむたいなあ。かえろうよばからしい」と話し掛けると、のび太は「うるさいんだよ。いっしょに念じろよ」と言いながら、空に向かって「円盤こい。こい…こい…」と声を出して念じていた。
ドラえもんは「あほらしい！ 池のこいじゃあるまいし。とてもじゃないけどつきあいきれない」と「ハクション ヒーックション」を繰り返しながら帰ってしまった。一方、のび太は「ああかえれ。信念のないやつはいてもじゃまになるばかりだ」と腹を立ててしまった。
次の日、土管のある広場でふたりはしずちゃんに、「あんなにかんたんにひっかかるとはね。朝までここにいて、かぜをひいたってよ」と大笑いしながら、語っていた。そして、円盤のトリック写真を撮りだした。
それを見たドラえもんは家に帰って、タタミを「ドン ドン」叩きながら、「はじめからへんだと思ってた！」とのび太に訴えていた。氷のうを頭にのせ、「ズー…、グスン…」と鼻水を垂らしながら、「ぼくがばかだった。くやしい！」と泣きじゃくっていた。
どうしてもふたりを許すことができなかったので、ひみつ道具『組み立て円盤セット』を出し、仕返しをすることにした。未来の幼稚園の子どもたちが遊ぶおもちゃであったが、ラジコン宇宙人は離れてマイクでしゃべると、まるでその宇宙人が話しているように聞こえるものであった。
ジャイアンとスネ夫はうす暗くなってきたので、いつものようにニセの円盤を写して、雑誌社に送ろうとしていた。ジャイアンがニセの円盤を「そおれ！」と空高く投げると、「シュバ」となにものかに撃ち落とされてしまった。
不気味な「ヒュ～ウ～ン ヒュ～ン」の音とともに、空に円盤が出現した。ふたりが逃げ出すと、「ジャ」と光線銃で攻撃されて、空中に吹っ飛んでしまった。
円盤が着陸すると、中から「ワタシタコ座8番星カラキタ」と名乗る宇宙人が、「オマエラミタイウソツキノタメ、宇宙人全体ノいめーじガ傷ツキ、ワレワレハタイヘンメイワクシテル」とジャイアンとスネ夫を非難した。ふたりは真っ青な顔で許しを請うていた。
宇宙人が「日本ノ首相ニアイタイ。ココヘヨンデキテホシイ」と命令すると、ふたりは「シュショウ？ 総理大臣のこと？ そ、そんなむちゃな！」と答えた。すると、宇宙人になり切って、得意満面の表情をしながら、ドラえもんは「地球人ハ平和ニ話シアウ気ガナイノカ！」、「宇宙戦争ダ！」と叫んで、再度光線銃をぶっ放している。
ふたりは公衆電話まで走り、スネ夫が鈴木首相に「宇宙人が会いたがっているんです」と電話すると、切られてしまった。交番へ行って、おまわりさんに「首相の鈴木さんの家を教えてよ。はやくいかないと宇宙戦争になるの」と頼んでいる。
おまわりさんも「ここにへんな子がふたり…。救急車を回してください」と連絡していた。
逃げるふたりを円盤に乗って追い掛け、ふたりの目の前に宇宙人が飛び降り、光線銃を出して、「死刑！」と宣告している。ふたりは、道路に座って、「ま、まってください。あしたまでにはかならず！」と平身低頭であった。「キットダゾ！」と命じて、円盤は空の彼方に消えていってしまった。
学校では、ジャイアンとスネ夫が先生に「円盤がおりてきてですね。首相にあわせろと…」といった内容の相談をしていた。「先生までからかう気かっ！ おまえたちがトリック写真でいたずらしてるって、先生はちゃんと聞いています！」と叱責しながら、ふたりの頭を「ゴッ ゴッ」となぐっていた。
[S0371・A1010・067602]