自動販売タイムマシン[★★]

[初出誌] 『自動はん売タイムマシン』、「小学六年生」197512月号、10頁、74コマ

[単行本]  『自動販売タイムマシン』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第11巻」1976725日 初版第1刷発行、10頁、77コマ

[大全集] 『自動販売タイムマシン』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 320091028日 初版第1刷発行、10頁、77コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ほう、これはこれは」、「カメラDPE」、「カラー」コマ挿入[597(1)]

 「こんなひどいはなしってあるか」コマ挿入[597(4)]

「お金もうけ?」コマ挿入[597(8)]

 

【単行本vs.大全集】

 「あのねえ、百五十円をもって百五十円のタバコを買いにいくほど、あほらしいことないよ」が「あのねえ、百円玉を持って百円のタバコを買いに行くほど、あほらしいことないよ」に変更[501(3)]

 

[梗概] のび太はカメラを買うため、「おつかいのたびにおつりをごまかして五円十円とためてきたけど…」まだまだぜんぜん足りなかった。パパからチェリーのタバコを頼まれたとき、「百五十円もって、百五十円のタバコを買いにいくほど、あほらしいことないよ。おつりがないもの!」と口にして、きつく叱られている。

 

  「無意味とわかってて行かねばならぬこのつらさ!」と愚痴をこぼしながら、お店に行くと定休日であった。

 

 パパから店の横に自動販売機があるから、そこで買ってきなさいと命令されている。ドラえもんに行ってもらおうと思って、部屋に行くと、自動販売機みたいな物があったので、試しに「チェリーがでるとたすかる」と言いながら、百五十円を入れて、レバーを「ガタン」と引くと、「ウ~ン ル ル ル」という音がして、「ドカ ドカ」とたくさんのチェリーが出てきた。

 

  ママからインクを頼まれたので、二百五十円を入れて、「インクがほしいんだ」と頼むと、「ドカ ドカ」と一個三十銭のライトのインク瓶が大量に出てきた。

 

 年輩の人に見てもらったら、昭和の初めごろの一個十銭のチェリータバコであると判明した。この話を聞いて、のび太は昔の物価の安かった時代の品物を買うことのできる、タイムマシンタイプの自動販売機であると考えた。

 

  そして、のび太は今の貯金でカメラが買えるかもしれないと思って、安く買えそうな大昔にダイヤルをセットして、二百円も入れた。しかし、なにも出てこないので、「インチキ。金返せ!」と喚いているところへドラえもんが帰ってきた。ドラえもんがダイヤルを見ると、奈良時代に相当する741年となっていたので、出てこなくて当然であった。

 

 残りのお金が二十五円しかなかったので、1925年にしてセットして、カメラを買うと、とてもめずらしいベスト判のカメラが出てきた。カメラ店で調べてもらうと、この型のフィルムはもうどこにもないと言われてしまった。

 

  再度タイムマシンで出掛けようとしていたドラえもんから、「この販売機を使っていると、たまにはこういうこともあるさ」と言われ、さらに、「お金もうけのために使っちゃいけないよ」と命令されてしまった。

 

 「お金もうけ」の言葉をヒントに、安い値段でお菓子や文房具を売って、もうけたお金で新型のカメラを買えばいいと思った。デザインも変わっていて、値段もべらぼうに安く、飛ぶように売れたので、のび太はこれを続ければ億万長者になれると確信した。

 

自動販売機で普段食べたこともない、なにかうまいものを買って食べることにした。タイムマシンタイプであるので、百年後のお菓子を注文した。「パク パク」食べると、「うまい!! こんな味は初めてだ!! 一つぶごとジーンと心にしみる味だ」と満足していた。

 

 すると、機械の中から、人の手のようなものが「ニュウ」と出てきて、のび太の肩を「チョン チョン」と叩いた。そして、指でマルを作ってお金を催促し、二十三万円と書いた請求書を突き出した。

 

  のび太が顔を真っ赤にして、「そんなにはらえるもんか、たすけてえ」と叫んで、逃げようとしたが、その手はのび太のシャツをしっかりつかんで、離してくれませんでした。

[S0369A1116067512]