ベロ相うらない大当たり![★★★]
[初出誌] 『のび太のベロ相占い』、「小学六年生」1975年11月号、10頁、68コマ
[単行本] 『ベロ相うらない大当たり!』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第12巻」1976年12月25日 初版第1刷発行、11頁、78コマ
[大全集] 『ベロ相うらない大当たり!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 3」2009年10月28日 初版第1刷発行、11頁、78コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『のび太のベロ相占い』が『ベロ相うらない大当たり!』に変更
「そうら火難」挿入[581(5)]
「水難だ」挿入[581(7)]
「これが女難」挿入[581(9)]
「でも……いいづらいなあ」コマ挿入[584(6)]
「きみいえよ」、「やだよ。きみいえよ」、「やあどうもどうも」コマ挿入[584(7)]
「なにも文学ばかりが人生じゃなし、男子いたる所青山ありさ」、「ハハハ ハハハ ハハハハ」コマ挿入[585(3)]
「ハハハハ ハハハハ ハハハ」コマ挿入[585(4)]
「金もうけするなんていってたけど」、「もしかして大金持ちに………」コマ挿入[585(7)]
「金もうけするなんていってたけど」が「気がかりだ、もう一度見に行こう」に変更[586(1)]
「このへんに元高さんという大金持ちのおやしきは?」、「さあ」コマ挿入[586(2)]
「元高」挿入[586(3)]
「ブブウ」、「キーッ」、「バタ バタン バタン」、「なんかおもての方がさわがしいよ」コマ挿入[587(3)]
「自動車がいっぱいとまってる」、「新聞社やテレビ局の旗をたててるよ」コマ挿入[587(4)]
「先生!ぜひうちの雑誌にお書きください」、「先生、うちにも」コマ挿入[588(1)]
「おおい、うらないの名人」コマ挿入[588(3)]
[梗概] スネ夫の手相は話術が巧みなため、男の子にも女の子にも絶大な人気があった。うらやましくなったのび太はタイムマシンであらかじめ未来をチェックして、いたずら半分に、手相や人相はもう時代遅れで、「ベロ相」占いこそ新しい時代の占いであると主張している。
そして、スネ夫は火難の相、しずちゃんは水難の相、ジャイアンは女難の相が出ていると占った。
だれも信用しなかったが、ほどなく、スネ夫の背中に近くでタバコを吸っていた人の吸い殻が。ジャイアンがそれを見て、近所のおばさんの金魚鉢の水を掛けようとしたら、間違えて、しずちゃんに。ジャイアンは金魚を飼っているおばさんから、きついお目玉をもらうことになった。みんなが驚くほど、のび太の占いはみんな当たった。
それを見ていた一人のさえない男の人がベロ相占いに感心し、「おねがいだ。ぼくをまよいから、すくいだしてくれっ」と追いかけて、のび太をつかまえ、みすぼらしい家に連れてきている。
その男は元高角三という名前で、学生の頃から小説を書いているが、さっぱり売れず、才能がないから最近やめようかどうか迷っていた。しかし、どうしても、文学をあきらめきれず、のび太のベロ相占いに未来を託そうという心境になっていた。
タイムマシンで出掛けようとすると、ドラえもんから占いに使っちゃダメだと言われたが、気の毒なため、見込みがあるかどうかをチェックするためという理由でなんとか許可をもらうことができた。五年後の世界へ行くと、元高さんは書いた原稿の束をちり紙ではなく、インスタントラーメンなんかと、交換できないかと交渉していた。
帰ってそのことを報告すると、元高さんはガックリしたが、「こうなったら、商売でもはじめておうもうけするか! なにも文学ばかりが人生じゃなし、男子いたる所青山ありさ」と言い放ったあと、半ばやけっぱちになりながら、「ハハハ ハハハ ハハハ」と笑い出した。
その後のことが気になりだしたので、さらに五年後の世界へ行ってみることにした。元高さんは前よりもひどい家に住み、相変わらず小説を書き続けていた。「ぼくのいきがいは、文学いがいにないとわかったんだ。
アルバイトをしながら書いているが、最近になって、やっと自分でも満足できる作品がかけるようになった。世の中がみとめてくれなくても、ぼくはぼくの小説がすぐれていることをしっている。今はしあわせだよ」とのび太とドラえもんに、しんみり話してくれた。
おもてのほうが、「ブブウ キーッ バタン バタ バタン」と騒がしくなってきた。窓から見ると、新聞社やテレビ局の旗を立てた自動車が何台もとまっていた。殺到した記者たちから「文学賞受賞おめでとう」と告げられ、記者会見で元高さんは受賞の感想を求められ、その上、相次ぐ原稿依頼の応対でてんてこ舞いの状態になった。
タイムマシンで帰るとき、「うらないなんか気にしないで、自分の信じた道を進んだのがよかったんだね」という結論になった。その後、往来を歩いていると、ジャイアンから「おおい、うらない名人。見てくれ、おれ歌手になれるかな」と尋ねられたので、のび太は「自分の信じた道をあゆみたまえ!!」とアドバイスしたので、ジャイアンはその気になって大興奮していた。
かたわらで、ドラえもんは「おい、こればっかりはやめさせたほうが、世の中のためじゃないかなあ」と、懸命に説得していた
[S0368・A1202・067511]