王かんコレクション[★★]

[初出誌] 『のび太コレクション』、「小学六年生」197510月号、10頁、66コマ

[単行本]  『王かんコレクション』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第9巻」19751125日 初版第1刷発行、11頁、76コマ

[大全集] 『王かんコレクション』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 320091028日 初版第1刷発行、11頁、76コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『のび太コレクション』が『王かんコレクション』に変更

 「いやあ、たいしたことないよ」、「ちょっとばかりしょくんと目のつけどころがちがってただけさ」コマ挿入[573(1)]

「文字なし」コマ挿入[573(4)]

 

「ママ、一生のおねがい!」コマ挿入[573(5)]

「こ、こんどは……、ゲップ」、「サイダーの王かんを」、「ザブン ザブン」コマ挿入[573(9)]

 

「思ったよりビールスは広くちらばったらしい」、「ほんのかるいいたずらのつもりだったのに」コマ挿入[575(3)]

「早くビールスのききめが消えないかな」コマ挿入[575(4)]

「はあ、のび太はうちにおりますけど」コマ挿入[575(5)]

 

「わたくし、王かんのコレクションをやってる者です」コマ挿入[575(6)]

「うわさに聞いてまいりました」、「すばらしい王かんを、お持ちとか…」コマ挿入[575(7)]

 

「二百万円!」挿入[575(8)]

「おねがい! おねがい!」コマ挿入[576(2)]

 

[梗概] スネ夫は一万八千円もする有名な『月に雁』という切手を、ピンセットではさんで、みんなに見せびらかし、「切手マニアなら、この程度の物を一つくらいもちたいもんだねえ」と自慢していた。

 

  さらに、パパは骨董品のコレクション、ママは宝石と、うちの家族に共通しているのは、一級品しかあてにしないとまで、エスカレートしている。それに呼応して、しずちゃんはシールのコレクション、ジャイアンもコインのコレクションを自慢していた。

 

 自慢する物がなかったのび太は家に帰って、ママにお金をもらって、切手のコレクションを始めようとした。

 

  結果は、「どうせすぐまたあきるから、むだなことするなと、こういうわけのわからないことをいうんだよ」と、ドラえもんに訴えることになった。肩身が狭いと言っていると、ドラえもんが押し入れの中から、以前のび太の集めた王冠を「ザラ ザラ」と出してきた。のび太はからかわれたと思った。

 

 ドラえもんが物のねうちはみんながほしがるかどうかで決まると言いながら、ひみつ道具『流行性ネコシャクシビールス』を取り出した。ドラえもんはこっそりこのビールスに、「王冠のコレクションがはやる…はやる…」と語りかけてふやしていた。ドラえもんは屋根の上から、この育ったビールスを風にのせて町内にばらまいた。

 

 のび太が町内に出かけると、ジャイアンやしずちゃんが王冠を集めたといって喜んでいた。さらに、スネ夫はみんながうらやましがるような、値うちのある王冠をたくさん集めていた。

 

  のび太がさわろうとすると、「さわるな!」と怒鳴られ、「サビがついたらどうする。ピンセットであつかうもんだぞ」と注意された。切手やコインの収集は時代遅れとなり、王冠コレクションがすぐに世界的ブームになるだろうとみんなは思っていた。

 

 のび太がみんなを誘い、押し入れにしまっておいた王冠を見せると、みんなはアッと驚いた。のび太はウインクしながら、「いやあ、たいしたことないよ。ちょっとばかりしょくんと目のつけどころがちがってただけさ」とサラッと答えている。スネ夫も「ま、まけた」と降参した表情である。

 

 しずちゃんはママに「きょうから、おやつもごはんも、コーラにしてちょうだい」と頼んでいる。ジャイアンは「グビ グビ ガブ ガブ」とサイダーを十本飲み干し、お腹を「タブン タブン ザブン ザブン」とさせながら、王冠集めを頑張っている。スネ夫は食卓で、一度に六本のビールの栓を抜いている。

 

みんなが王冠の個数を自慢していると、ドラえもんがやってきて、数ばかり集めても意味がなく、少ししかないものが、値うちがあるんだと言い出した。

 

そして、三河屋で八月十二日に買ったコラコーラは、この日この店で売れた唯一のものであり、世界中さがしてもこれ一個しかなく、十万円だしても百万円だしても、手に入らないんだと力説した。

 

 家に帰ると、ママが「駅前の切手屋さんが、王冠屋になったわよ」、パパも「スーパーで、五月七日に売れたスポライト。二千円もしたんだぞ」と報告しあっていた。

 

  立派な紳士が名刺を出しながら、「ぜひ、八月十二日の三河屋のコーラを、二百万円でおゆずりください」と交渉にやってきた。ドラえもんたちは「あんなもの、売るわけには…」と断ると、紳士は現金を差し出し、両手をタタミについて、何度も頭を下げるので、売ることにした。

 

 紳士はピンセットで王冠をつかんで、ご満悦の様子であった。すると、突然、紳士は「!?」となり、王冠をポイとすて、現金を回収して、「なんでこんなもの、ほしがったんだろう」といって帰っていってしまった。ドラえもんには、ビールスのききめが完全に消えたことがわかった。

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