進化退化放射線源[★★]

[初出誌] 『進化退化放射線源』、「小学六年生」19756月号、10頁、71コマ

[単行本]  進化退化放射線源』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第8巻」1975725日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

[大全集] 『進化退化放射線源』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 320091028日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「あああ、古い親をもった子は不幸だな」が「あーあ、古い親をもった子は不幸だな」に変更[527(5)]

 「むつかしい名まえだね」が「むずかしい名前だね」に変更[528(2)]

 「ドラえも~ん」が「ドラえもおん」に変更[534(4)]

 

[梗概] のび太は腹を立てて、パパの頭の古さをなじっていた。十年前のラジオを、新しいFMやステレオやテープレーコーダーのついているラジオに、買い換えたいと頼むと、「ラジオというものは、放送さえ聞こえりゃそれでいいって」と言われてしまった。のび太は「あああ、古い親をもった子は不幸だなあ」とふて寝していた。

 

 ドラえもんはそれを聞いて、ひみつ道具『進化退化放射線源』を取り出した。このヘヤードライヤータイプの機械のダイヤルを十年進めて、「ジジジ…」と古いラジオを照射すると、最新型のものになった。逆に退化させると、古いラジオはラジオが発明されたころの物になってしまった。

 

 のび太が鉛筆を照射すると、「自動タイプえんぴつ」になり、マイクにしゃべると、カートリッジの色素が光圧で紙に吹き付けて文章を完成してくれた。電灯を照射すると、電灯がなくなって、天井と壁全体が光り出した。

 

  この機械は本来、「生物の祖先をさぐったり、進化のゆくえをさぐるためのもの」である。おくれているパパを「ジジジ…」と照射すると、退化になっていたため、どてらを着たゴリラのようなものになってしまった。

 

 生物の進化はあぶなっかしいから、動物実験をすることになった。はじめに、手頃なネズミ捕り機に捕まったネズミで初めようとしたら、ドラえもんは「キャア」と叫んでどこかへ行ってしまった。

 

  この機械でネズミをどんどん退化させると、げし歯類の先祖、ほ乳類の先祖、ほ乳類型は虫類、最後は、は虫類の中でも原始的なはい竜類に退化してしまった。巨大なはい竜類になったので、もとのネズミに戻そうとしたが、動き出して部屋を出て行ってしまった。

 

 パパやママを驚かせ、外に出ると、「大トカゲだ」、「恐竜だ」と大騒ぎになった。ドラえもんに助けを求めても、出てこないので、近くにあったネズミ捕り機を進化させた。すると、この進化した機械は「キーン キーン キーン」と音を出しながら、自分で獲物を探しに出かけ、獲物を見つけると、自分で「スポッ」と捕獲してしまった。

 

 ドラえもんから返すように催促されたが、のび太はパパを進化させてから返すことにした。進化したパパは機械にたよりすぎて手足は退化し、脳ばかりが発達して大頭になり、汚れた空気を吸わないように鼻毛が長く伸びていた。

 

  ママが「キャッ」と悲鳴をあげて逃げるので、パパは「なぜ逃げるんだね」と穏やかに、タバコを吹かしながら尋ねている。

[S0363A0814067506]