くろうみそ[★★]
[初出誌] 『くろうみそ』、「小学六年生」1975年4月号、10頁、77コマ
[単行本] 『くろうみそ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第8巻」1975年7月25日 初版第1刷発行、10頁、80コマ
[大全集] 『くろうみそ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 3」2009年10月28日 初版第1刷発行、10頁、80コマ
【初出誌vs.大全集】
「ほう、ゴルフバックをとりに?」、「きみにもてるかなあ」コマ挿入[187(1)]
「えーっ」が「ええっ」に変更[513(2)]
「ピュウ」挿入[513(2)]
「ビュウ」コマ挿入[513(3)]
「文字なし」コマ挿入[513(8)]
「あーあ」が「あああ」に変更[514(6)]
[梗概] のび太は口に鉛筆をくわえて、机に向かって座り、時計を見、「ムグ ムグ」とはなくそをほじくり、あくびをし、時計を見、昼寝をし、時計を見、鼻歌を歌い、時計を見ると、一時間机に向かったから遊びに行こうとしていた。部屋の前で、パパに出くわし、「どうしてきみは、そう勉強に身が入らないんだ」と注意された。
のび太から「お説教なんておもしろいもんじゃないからね。ながながやると、このマンガの人気がおちる」とまで言われたが、パパは「いいや二ページほどやる!!」と宣言している。パパは知っている格言などを総動員して熱く語っている。
例えば、「人生とは、重い荷物をもって坂道をのぼるようなもの」、「人生にはいつも向かい風が吹いている」、「艱難汝を玉にす」、さらには、山中鹿之助や熊沢蕃山の格言や歌も積極的に引用している。
最後に、パパは畳を「ドン ドン」叩いて、「きみも男ならやってみろ! にげたりしないで。つらいことくるしいことに、ドンとぶつかっていけ!!」と叱咤激励している。のび太も顔を紅潮させて、「パパのことばで、目がさめたような気がするよ」と言いながら、パパの腕を握りしめ、「やるよ! ぼくは!! ドンとぶつかるよ!」と主張している。
そして、ドラえもんにひみつ道具『くろうみそ』を出してもらっている。このみそをなめると、何をするにもひどく苦労するものである。
のび太は「くろうみそ」を「ペロ ペロ」なめたあと、スックと立ち上がって、「まずおやつを食べる」と宣言した。テーブルののりを巻いたお餅を食べようとしたとき、ママから手を洗ったのと言われ、手を洗おうとしたら石けんがなかったので、ママに買ってくるように頼まれた。
パパからも、ついでに太田さんのところへゴルフバッグを取りに行ってほしいと言われた。どこの店も休業であり、町外れで開いていた薬局で、かろうじて石けんを手に入れることができた。
太田さんの家まではたっぷり一キロあり、ゴルフバッグは意外に重いことに気づいた。バッグを背負って歩いていると、向かい風が「ピュウ ビュウ」と吹いてきて、ほこりも汗も目にはいったが、「くじけないぞ!!」と頑張って、家に着いたときは「フニャラ~」となって、玄関でバッタリ倒れてしまった。
のび太はおやつを食べながら、「たかがおやつを食べるために、こんなに苦労するなんて、わりにあわないや」と思い、そのことをパパに告げた。
のび太の話を聞いて情けなくなったパパは、模範を示すため「くろうみそ」を「パク パク」と食べ、「苦労は金を出しても買え」と昔の人の言ったことを紹介している。何度もライターでタバコに火をつけようとしたが、石がなくなっていると気づき、ママにマッチを頼んだが、あいぬく、マッチが切れていた。
タバコ屋も休みであったので、駅前の喫茶店でマッチをもらおうと出かけようとすると、雨が振りだした。カサはこないだ太田さんのところに忘れてきたので、カサをさして出かけることもできなかった。
ドラえもんとのび太は「ニヤ ニヤ」し、「どうする? タバコすうのあきらめる」と尋ねると、パパは「男が、一度思いたったことをあきらめられるか!!」と答え、昔のやり方である、木と木を「ゴシ ゴシ ゴシ」とこすりあわせて、火をおこそうとした。
それを見た、のび太は「これでなくちゃいけないのかしら」、ドラえもんは「人生はきびしいなあ」といった感想を真面目に表白している。
[S0361・A0822・067504]