流行性ネコシャクシビールス[★★★]

[初出誌] 『流行性ネコシャクシビールス』、「小学六年生」197412月号、10頁、68コマ

[単行本]  流行性ネコシャクシビールス』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第6巻」197511日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

[大全集] 『流行性ネコシャクシビールス』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 22009830日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「ちーともしらなかった」が「ちいとも知らなかった」に変更[589(5)]

 「こじきルックと名づけてはやらせよう」が「古着ルックと名づけてはやらせよう」に変更[596(1)]

 

 「いーえ。おくさまこそ」、「あっかんべー」が「いいえ、おくさまこそ」、「あっかんべえ」に変更[596(6)]

 「おーいいそがないとちこくするぞう」が「おうい、いそがないとちこくするぞう」に変更[597(3)]

 

 「一日おくれでビールスにとりつかれたな。流行ににぶいんだなあ」が「一日おくれで、ビールスにとりつかれるなんて、流行ににぶいんだなあ」に変更[597(5)]

 

[梗概] このマンガは少女マンガ風にスタートしている。のび太はしゃれ子さんのおでかけスタイルを見て、「なんだい、そのぞろっとしたかっこうは」と非難すると、けんかになりそうになった。

 

  スネ夫が「こんなのにおこってもしょうがないよ」と、しゃれ子さんをなだめ、のび太に「今の流行は、スカートがどんどん長くなってんだぞ」と講釈している。そして、のび太は流行ににぶいんだと付け加えている。

 

 家ではママが同窓会に着ていく服がないと、パパにこぼしていた。ママのもっている服はみんなミニスカートで流行おくれのものであった。のび太がドラえもんに、「流行なんて、だれがきめるんだろう」と尋ねても、わからないという返事だった。

 

  しかし、流行となると、われもわれもととびついて…。みんなと同じにしてないと、安心できないという点では、意見が一致した。

 

 ドラえもんにすばらしい考えが閃いたので、ひみつ道具『流行性ネコシャクシビールス』を出して、実験に取りかかった。このビールスを育て、「スカートの流行は、もとにもどる。ミニがはやる。ミニこそ流行のトップ」と言い聞かせて、風にのせて屋根の上から町一帯にばらまいている。

 

 このビールスに感染した、しゃれ子さんはロングのドレスと着て歩いていたが、はずかしくておもてを歩けないといって、家に帰り、つくったばかりの服から、おととしのミニの服を取り出している。そして、ミニの服を着て、「流行のトップよ。また見せてくる」と言って出かけている。

 

 ミニが流行したので、悪のりしたのび太はビールスに「もっともっと、短くなる」と言い聞かせて、町にばらまいている。すると、しずちゃんもミニをはいて、友だちと話をしていた。調子に乗ったのび太は「もっともっともっと、短く…」と言い聞かせているので、ドラえもんは「きみってかなりエッチだね」とあきれている。

 

  しかし、できあがると、ドラえもんが舌を出しながら、「見にいこう」と先頭を切って、家を飛び出している。しかし、あれいじょう短くなっちゃ、寒くておもてに出られないため、全く人影を見ることができなかった。

 

 かわいそうだから、あったかい流行をはやらせるため、すそがより太くなるパンタロンを考え出した。すると、流行に敏感なしゃれ子さんとスネ夫はパンタロンをはき出した。「ズル ズル」とすそを引っ張って歩いているスネ夫が、しゃれ子さんにすそを踏まれて、スッテンと転んでいる。

 

 のび太たちはもっと奇抜な、古着ロック、シャム猫カラーのメーキャップ、くつとげたをかたっぽずつ、小脇にくずかごを抱え、人にあったら、セッセッセ、別れのあいさつ、アッカンベーといった流行をはやらせた。「みんないっせいだから、だれもへんだと思わなかった」、そのうえ、「ビールスのじゅ命はせいぜい一日」であった。

 

 翌朝、のび太は「このかっこうじゃないと、はずかしくて出られない」とぐずっていた。一日おくれのビールスに取りつかれたのび太は古着ルックで、小脇にくずかごを抱え、右足は靴、左足は下駄を履いて、鼻息を荒く、学校へ登校している。

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