赤いくつの女の子[★★★]
[初出誌] 『ノンちゃんのクツ』、「小学六年生」1974年9月号、10頁、63コマ
[単行本] 『赤いくつの女の子』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第6巻」1975年1月1日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
[大全集] 『赤いくつの女の子』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 2」2009年8月30日 初版第1刷発行、10頁、66コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『ノンちゃんのクツ』が『赤いくつの女の子』に変更
「ポカーンと」が「ぽかあんと」に変更[561(6)]
「いってきまーす」が「いってきまあす」に変更[563(2)]
「ヤーイ」が「やあい」に変更[563(3)]
「女の子とままごとばっか」、「ヤーイヤーイ」が「ままごとしかできないのび太!」、「やあいやあい」に変更[563(4)]
「のび太は、ノン子が大すきだもんなー」、「なー」が「のび太はノン子が大すきだもんなあ」、「なあ」に変更[563(5)]
「ヤーヤー赤くなった」が「やあやあ赤くなった」に変更[563(6)]
「よーし、それがほんとなら」が「ようし、それがほんとなら」に変更[563(7)]
「ノンちゃんの家は、ガラーンとして、もうだれもいなかった………」が「ノンちゃんの家は、がらあんとして、もうだれもいなかった……」に変更[565(5)]
「のびちゃんに」、「おわかれのあいさつ」コマ挿入[567(1)]
「さよなら!」コマ挿入[569(1)]
「ブブウ」コマ挿入[569(2)]
「いっちゃった……」が「いっちゃったあ……」に変更[569(3)]
[梗概] 部屋を整理していたとき、ドラえもんは「はやいとこ、いらないものすてて、すっきりさせないと、ママのごきげんがわるくなるばかりだ」と思っていたが、当ののび太はぽかんとして、目の前にある箱の中を相変わらす見つめているばかりであった。
のび太にとって、箱の中のくつには、今思い出しても心が痛む思い出が秘められていた。のび太が幼稚園のころ、おとなりにおかあさんと二人っきりで住んでいた、ノリちゃんというクリ色の髪をした、外人みたいな女の子と毎日遊んでいた。
ある日、ノンちゃんとままごとをしていたら、ジャイアンとスネ夫から「ままごとしかできないのび太! のび太は、ノン子が大すきだもんな」とからかわれた。顔を真っ赤にして、「うそだぁ。あんなの大きらいだ」と叫んでしまった。すると、「ようし、それがほんとなら、ノン子をいじめてみせろ」と言われてしまった。
家に帰って、ノンちゃんとおままごとをしているとき、テーブルの上のコップや皿などを「ガチャ ガチャ」にし、くつを持って、「ワアン」と泣き叫ぶノンちゃんと別れた。
そのあとは、一日なにをして遊んだかよくおぼえていない状態であった。夕食時にも、いじめたことをママに言いつけたのではないかと、ビクビクしていたが、ノンちゃんはだれにも言わなかった。
あくる日からノンちゃんが外へ出なくなったので、病気にでもなったのではないかと思っていた。すると、一週間後、幼稚園から帰ってみると、ノンちゃんは「アメリカからおじいさんがむかえにきて、横浜のはとばから船にのって、アメリカへいっちゃった」とママから知らされた。
のび太は「今思えば、なぜあんなばかなことをしたんだろうと…。このくつをかえしてあやまりたかったのに」としんみり語るので、ドラえもんは今すぐノンちゃんの家に、タイムマシンで行こうと提案した。
ノンちゃんがおじいさんの車でそろそろ出かけようとしていた。のび太が飛び込んで「ノンちゃん。ごめんね、ごめんね」と話しても、「おにいちゃんだあれ」と言われ、ママからも「どなた?」と言われてしまった。
弱ったとうろついているのび太を見て、ドラえもんは「タイムフロシキ」を裏返しに使って、幼稚園のころののび太にしている。
服はだぶだぶであったが、ノンちゃんはひと目見るなり、「のびちゃん!」とむかえてくれたので、くつをかえしたり、船の中で食べてもらうお菓子などを手渡した。ノンちゃんからもおままごとに使う、道具をみんなもらうことになった。
ほどなく、ノンちゃんはのび太のママやおばあちゃんにも別れを告げ、「さようなら!」と言ってくるまで行ってしまった。長い間の心のしこりも消え、おままごとの道具をノンちゃんだと思って、大事にしようと考えながらタイムマシンで帰ることになった。
家に帰ると、部屋の整理もまだ終わっていなかったので、ママから「また、がらくたがふえたじゃないの!」と叱られたが、のび太は「がらくたとはなんですか!」と猛烈に反発していた。
[S0257・A0610・067409]