してない貯金を使う法[★★]
[初出誌] 『現代人の生き方』、「小学六年生」1973年5月号、10頁、70コマ
[単行本] 『してない貯金を使う法』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第4巻」1975年11月1日 初版第1刷発行、10頁、73コマ
[大全集] 『してない貯金を使う法』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1」2009年7月29日 初版第1刷発行、10頁、73コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『現代人の生き方』が『してない貯金を使う法』に変更
「ン?」が「なに?」に変更[661(1)]
「タイ・ムマシンで追いかけてきたんだ」、「返してもらおう」コマ削除[215(2)]
「タイムマシンで追いかけてきたんだ。きみらよりはやくこっちへ着くように」、「貯金返せ!」にコマ挿入[667(2)]
「半年の間、毎日、毎日、肩たたき…………」、「苦ろうしたのは、このぼくだ!」コマ挿入[667(5)]
「ちょっとその部品、こっちへつくんだぞ」、「あっ、それ何やってんだ」、「C53-7」コマ挿入[668(8)]
「あ~あ、メチャクチャだ」が「あああ、めちゃくちゃだ」に変更[669(1)]
「千八百円が、むだになっちゃった……」コマ挿入[669(2)]
[梗概] のび太は千八百円の機関車セットをどうしても買いたかった。しかし、貯金箱には百二円しかなかったので、ドラえもんにお金を作る機械を出してもらおうとしたが、きっぱりと拒絶されてしまった。
パパに相談すると、パパの肩たたきをすると毎日十円ずつあげるので、月に三百円、半年で千八百円になると言われた。のび太が今ほしいんだというと、「そういう安直な気もちがいかんのだ!」と怒鳴られ、働くことの喜びを知りなさいと説教された。
そこへ、パパの弟がやって来て、最近買ったばかりの外国製の最高級品であるゴルフセットや自動車を披露した。パパはそれを見て、「安月給のくせに」と詰問すると、おじさんは月賦で買ったことを明らかにし、「品物をさきに手に入れて楽しみながら金をはらう。これが、現代人の生き方じゃないかな」といって帰っていった。
現代人の生き方に感動したのび太はパパの肩たたきを引き受けることにした。ドラえもんが見なおしたと称賛すると、のび太は「タイムマシン」を使って、半年後の貯金箱を取りに行くと言い出した。
半年後の世界へ行って、貯金箱を探したが見つからず、ママに尋ねたら「学校はどうしたのよう」と叱られてしまった。庭の木陰に隠れていたら、偶然隠してあった貯金箱を見つけることができた。貯金箱の中には十円ばかりで千八百円が貯められており、「タイムマシン」で早く帰って、機関車セットを買いに行こうと思った。
タイムマシンで家に着くと、半年後ののび太が追いかけ、先に到着して「貯金返せ!」と腹を立てていた。同じのび太じゃないかと言っても、半年後ののび太は毎日肩たたきをして、苦労したのはぼくだと言い張った。
のび太とドラえもんは強引に買い物に出かけ、ドタドタと廊下を走る時、バケツを蹴飛ばしてしまった。あとから追いかけてきた半年後ののび太がママにつかまり、後始末をすることになった。
買い物から帰ってきたのび太を見て、半年後ののび太は「やはり、こうなったか…。みてろ、きっと後悔するから」と言って、「タイムマシン」に乗って未来の世界へ帰っていった。機関車セットを作りだすと、意外に難しく、めちゃめちゃになってしまい、結局、千八百円が無駄になってしまった。
次の日、パパから「毎日肩をたたくんじゃなかったか?」と問われたが、「あれはもうやめた」と答えると、「計画をとちゅうでなげだすのはいちばん悪い」と厳しく説教された。
そこへ、おじさんが「にいさん、月ぷに追われてくるしんだ。少しかしてよ」と頼む姿を見て、のび太はパパの肩をたたきながら、「現代人の生き方ってくるしいなあ」とつくづく思った。
[S0147・A0408・067305]