石ころぼうし[★★]

[初出誌] 『だれにも気にされない』、「小学六年生」19734月号、10頁、75コマ

[単行本]  石ころぼうし』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第4巻」1975111日 初版第1刷発行、10頁、78コマ

[大全集] 『石ころぼうし』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、10頁、78コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『だれにも気にされない』が『石ころぼうし』に変更

 「ぼくのせいじゃないよっ」が「ぼくのせいじゃないよ」に変更[656(6)]

 「ベロ ベロ」、「バア」コマ挿入[656(7)]

 

「やあい やあい」、「なぜだかわからんが」、「今日はへんに、むかむかする日だ」コマ挿入[656(8)]

「なにいってんだ。うったのはぼくだい」削除[657(7)]

「われらの英雄!」、「ワア ワア」、「なにいってんだ。うったのはぼくだい」コマ挿入[657(8)]

 

【単行本vs.大全集】

 「おとうさん、ぼく勉強やめたよ」が「パパ、ぼく勉強やめたよ」に変更[654(3)]

 

[梗概] のび太が寝ころんで本を読んでいると、パパから勉強しなさい、屋根で休んでいると、ママから、「あぶないっ。おちたらどうするの!」と注意されている。「ユサ ユサ」体を動かして勉強していると、ドラえもんから「そのびんぼうゆすりのくせ、やめた方がいいよ」と指摘された。

 

 のび太がドラえもんに、「みんながぼくのこと見はってて、うるさいこという!」と抗議すると、ドラえもんの回答は「きみのことを気にかけている」証拠だというものであった。のび太はほっといてほしかったので、ドラえもんに「だれにも気にされない機械」を頼んでいる。

 

  ドラえもんは渋々ひみつ道具『石ころぼうし』を取り出した。「石ころぼうし」は道端の石ころのように、ちゃんと見えるけれども、誰にも気にされなくなるひみつ道具である。

 

 のび太にとってこのぼうしはきつかったけれども、ひとつしかないので、ドラえもんに「カポ」と叩いてもらって、何とか被ることができた。のび太がドラえもんにこのぼうしが似合うかどうかを尋ねても、全く気付かれなかった。のび太はタバコを吸っているパパのかたわらに、「ゴロン」と寝転がっても全然気づかれなかった。

 

 往来で、しずちゃんに会い、家までついて行って、しずちゃんの部屋の中に一緒に入っても、気付かれなかった。しずちゃんがお風呂に入りだしたので、のび太は家を出ることになった。

 

  往来に出ると、ジャイアンとスネ夫が「のろまでどじで、運動神経ゼロだよ」、「あいつを入れると負けるから、野球にさそわないでおこう」と、悪口を言いながら歩いていた。頭にきた、のび太は路上に座り、バットで二人をつまづかせて「ドデン」とひっくり返らせている。

 

 野球では、ジャイアンがバッターの時、のび太も反対側のバッターボックスに立って、ボールを打つ準備をしていた。投手の「ピュッ」と投げたボールを、「スコン」と打ったのはのび太であったけれども、ジャイアンが打ったことになり、チームのみんなから「われらの英ゆう!」と称えられていた。

 

  打ったのはぼくであったと訴えるために、ぼうしを脱ごうとしたがどうしても脱げなかった。そうこうしているうちに、後頭部にボールが「ズコ」と当たり、さらに、走塁しているはる夫に「ダッ」とぶつかることになった。隅っこで避難していると、ジャイアンに小便を「ジョバ」とかけられてしまった。

 

 ぼうしを脱がせてもらうため、家に帰ると、玄関前でママにバケツから水を「バシャ」と浴びせられ、階段でドラえもんに「ドン」とぶつかっても全く気付かれなかった。のび太が廊下に座って、「もしぼうしが一生ぬけなかったら…。ど、どうしよう。そんなのいやだあ。ウワァ~」と、大声で泣き崩れていた。

 

  すると、水や汗でぼうしがふやけたので、「ポロ」とぬけてしまった。ママからは「なんです。そのかっこうは!」、パパからは「勉強もしないで!」と言われてしまった。しかし、のび太は「気にかけられるって、うれしいねえ」というのが本音であった。

[S0146A0416067304]