しかしユーレイはでた! [★★★]

[初出誌] 『記憶を消すワスレンボー』、「小学五年生」19828月号、19頁、134コマ

[単行本]  『しかしユーレイはでた!』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第37巻」1986825日 初版第1刷発行、21頁、149コマ

[大全集] 『しかしユーレイはでた!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、21頁、149コマ

 

[梗概] ジャイアンがめずらしくこの夏休み、みんなをお寺の合宿に誘ってくれた。ジャイアンのおじさんが山寺の住職なので、この計画が実現することになった。のび太はかくしておいた0点の答案を見つけられたので、合宿への参加はママから許可が出なかった。

 

 ドラえもんも参加したかったので、ひみつ道具『ワスレンボー』を取り出した。0点の答案が見つかったのは、三十分前に家を出たあとだとわかったので、ドラえもんは三十分前から現在までのできごとを忘れるようにするため、この道具を「カチ カチ」とセットした。

 

 この道具で「チョン」とママの頭をつくと、けわしい表情もなくなり、「みんなでお寺にとまるの? まあ、楽しそうね。いいわよ、行ってらっしゃい」となった。

 

 冬になるとバスも通らなくなる山奥のお寺に到着すると、「シ~ン」として人の気配すら感じられなかった。部屋を調べていると、「たけ坊やとなり村のそう式にでかけます。今夜は帰れないから、よろしく。フロわかしてめしくってねなさい」というおじさんの置き手紙が見つかった。

 

 しずちゃんはごはんをつくるかかり、ドラえもんとのび太は風呂に水をはり、まきを割って、フロをたくかかりになった。

 

 のび太がフロをいっぱいにするのはたいへんだと思いながら、水を運んでいると、ドラえもんはトンボを楽しげに追いかけていた。ドラえもんは「変身ロボット」に命令してまきを割らせていた。のび太は「ワスレンボー」を借り、ドラえもんの頭を「チョン」とついた。

 

 ドラえもんは「ぼくはなにしてたんだ」とのび太に尋ねるので、「まきをわってたじゃないか」と答え、「パカ パカ」とまきを割ってもらった。その間、のび太は変身ロボットに化け、そのロボットに水をくませていた。

 

 夜になり、「ザワ ザワ」といやな風の音がし出した。のび太がフロを沸かしたので、最初フロに入ることになった。フロに入っていると、外で、「う…ら…めしや…」の声が聞こえたので、のび太はスッポンポンの状態で、「キャー」と叫んで、部屋に飛び込んできた。

 

 スネ夫からは「ユーレイなんて、信じるの?」、しずちゃんからも「風の音のききちがえたんでしょ」、ジャイアンからは「おれのしんせきを化物寺だというのか!!」とすごまれてしまった。

 

 トイレに行きたくなったので、「あ、あ、あのさあ、トイレにいきたい人! このゆびと~まれ」と告げると、「ひとりでいってこい!!」となった。

 

 ジャイアンがトイレのドアの前で「う~ら~め~」とささやくと、「バアン デ・デ・デ… デ、デタ デタ デタ デタ」と小便を振りまきながら、部屋へ駆け込んできた。ドラえもん、スネ夫、しずちゃんは大急ぎにテーブルを小便のかからないところに移動している。

 

 ジャイアンからは「いいかげんにしろよ」、しずちゃんからも「のび太さんて、ほんとにおくびょうね」と言われる始末であった。

 

 「みんなにばかにされた…。しずちゃんにまでも…」とフトンの中で考えていると、ドラえもんがトイレにいくというので、のび太もいっしょについていった。ドラえもんがトイレが終わるとさっさともどってしまった。

 

のび太が薄情なヤツだなと思いながら廊下を歩いていると、ジャイアンとスネ夫の部屋から「今度は、シーツをかぶってのび太のまくらもとへ…。いってらっしゃい。つぎは、ぼくがおどかしにいくから」という声が聞こえてきた。

 

二人のいたずらだと知ったのび太は仕返しを考えたが、「ふしぎなことに…ここで、のび太の記憶はしばらくとぎれ」てしまった。「どのくらいの時間? どこで? なにをしていたのか」思い出せないで、部屋に戻ると、ドラえもんから「おそかったじゃないか。なにをしてたんだい!!」と叱られることになった。

 

 しばらくすると、停電になり、「ギャー」という悲鳴が聞こえた。早速非常灯を出して、ろうかに出たがなんにもなく、しずちゃんもスネ夫も何かあったのという程度で終わってしまった。

 

 スネ夫は「アハハアハハ。ジャイアンはうまいなあ」と感心していたが、いつまでたっても戻ってこないので、「ムヒヒヒ…」と言いながら出掛けることにした。

 

 前方に「ボーッ」と白いものが見えたので、スネ夫は「ジャイアンだろ。おどかさないでよ。ねえ、しゃべってよ。ねえったら。仲間をこわがらせるなんてきらい!! ギャーッ」となった。

 

 あれはぜったいにネコじゃないと騒いでいると、しずちゃんが「スネ夫さんたちのへやが、からっぽなの」とやってきたので、二人で探しに出掛けた。

 

 探していると、前方にユーレイなような姿が見えたので、「そ、そんなものでおどかそうなんて、そうはいかないぞ。アハハ ワハハ。だ、だれかしらないが正体をみせろ!! ギャーッ」となって、ドラえもんとしずちゃんは気絶してしまった。

 

 のび太がフトンの中で「ドラえも~ん帰ってきてよ~。ど、どうなってるんだろ」と心配していると、「ギシ……ギシ…ミシ…ギシ…」と「足音が…、ひやあ、だんだん近づいてくる」、障子の前で立ち止まって、「ス・ス… ス~ ギャア」とろうそくをともしたユーレイが現れた。

 

 のび太が「たすけてえ!」と悲鳴を上げて逃げようとすると、ユーレイは「今度ハ、ナニヲシタライイデスカ? ヤダナア、忘レタンデスカ? サッキ物置ニカクシテアッタボクノトコロヘキテ…」、のび太は「スネ夫とジャイアンめ、しかえししてやる!! ユーレイに化けておどかしてやってよ」頼みにきていた。

 

変身ロボットは「ユーレイトイイマスト…ムク ムク コンナモノデヨロシイデスカ?」と変身すると、「こわい!!ぼくをおどかすんじゃないよ」と「ワスレンボー」を振り回して逃げる途中、廊下で「ツルリ」と滑り、そのワスレンボーがのび太の頭に「チョン」と触れてしまった。

 

 記憶が戻ったので、ドラえもんたちがどうしたかを尋ねると、気絶したため物置に寝かしてあるという返事だった。「ぼくのしわざとわかったら、おこるだろうな。みんながみてる前で、ぼくにおわれて、逃げだしていってよ」となった。

 

 「たちされ、ユーレイ!!」、「キャーノビ太サマニハトテモカナワナイ」とのデモを見て、ドラえもんは「なんだか八百長くさいなあ」と思ってしまった。

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