家元かんばん [★★]
[初出誌] 『家元かんばん』、「小学五年生」1982年6月号、8頁、53コマ
[単行本] 『家元かんばん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第28巻」1983年8月25日 初版第1刷発行、8頁、53コマ
[大全集] 『家元かんばん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 11」2010年11月30日 初版第1刷発行、8頁、53コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] のび太が「三か月も苦心してくふうを続けた新作あやとり「ギャラクシー」が完成した」ので、ドカンのある広場に行って、「教えてほしい者この指と~まれ」と呼び掛けると、三人ともアッという間にいなくなってしまった。
家に帰って、のび太は「こういうすばらしい芸術に、どうしてみんなは興味をしめさないのだろう」とドラえもんに訴えていた。その時、お花の先生から、ママの出品した生け花が家元さんの目にとまって、ほめられたという電話がかかってきた。
のび太が寝っ転がって、「あやとりが、お茶やお花みたいに人気があれば、ぼくは野比流家元になれうんだがな…」とつぶやくので、ドラえもんはひみつ道具『家元かんばん』を出している。このかんばんはきたない板であったが、「これにかきこめば、なんの家元にでもすぐなれる」ものである。
ドラえもんは「野比流あやとり家元」とかんばんに書き、野比家のブロック塀にこの看板を掲げた。そして、「ぼくがコーチして、一流の家元にしてやる。ほかになんのとりえもないきみには、これしか生きる道はない!」と説得しながら。
しずちゃんがやってきたので、のび太が舞い上がって、どうもどうも、まいどありがとう、と軽い調子で対応したので、ドラえもんに、もっと重々しく振る舞うようにと注意された。
「入門をゆるしましょう。よろしくおねがいします。ひもをさずける。ハハーッ」となった。まず「さかずき」からというと、それぐらい習わなくても知っているというので、「基礎をおろそかにしては真の芸術は生まれません!!」と厳かに諭している。
ジャイアンとスネ夫がやってきて、「おれたちも入門してやってもいいぞ」と立って言うので、「あやとりは心だ!! そんな態度では、入門の資格はない!」と叱りとばされている。
ふたりは「そうかよ!」と腹を立てて玄関を出たが、途中でハッと何かに気づき、玄関前で両手をついて、「入門させてえ!! させてくれるまで動きません!」と懇願している。
のび太は二階の窓からその姿を見て、かんばんの力の凄さにビックリしている。ママからお使いを頼まれて玄関を出ると、スネ夫が「あっ、おつかいならぼくが」と言い掛けると、ジャイアンはスネ夫をぶっとばして、のび太のかごを持って買い物にいそいそと行っている。
ジャイアンが買い物から帰ってくると、入門を許されたが、スネ夫は「だめ」と断られたので、「宿題やりましたか? まだなら、やってあげる」と提案すると、のび太から「ほんと!?」と心が大いに傾いた。
しかし、ジャイアンが強引にさえぎって、「こんなのだめだよ。おれが出木杉にやらせてきます」と頼むために家を出ている。スネ夫はジャイアンの後ろ姿を見ながら、「ごますりは、ぼくの役だぞ!!」と叫んでいる。
野比家の中では、「おさないで! ろうかへ一列にならんで! こう弟子がふえちゃ、支部でもつくらないと…」となっていた。ジャイアンはしずちゃんとともに先生の免状をあたえられ、「野比流発展のためにつくします」と大感激していた。
「あやとり会館をたてて、やがては学校の正課に…。海外支部をふやし、世界の野比流に…」と、のび太とドラえもんの夢はますますふくらんでいった。
スネ夫は古びたかんばんを見て、業者にりっぱなかんばんを取り付けてもらって、きたないほうは燃やしてしまった。すると、アッという間に、「ばかばかしい!!」、「なんで、あやとりなんか」となって、お弟子さんはいなくなってしまった。
なぜか、この作品の最後のコマには、フランケンシュタインの顔にそっくりな人の顔の一部が描かれている。
[S1152・A2812・058206]