10分おくれのエスパー [★★]
[初出誌] 『E・S・P訓練ボックス』、「小学五年生」1982年2月号、8頁、64コマ
[単行本] 『10分おくれのエスパー』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第27巻」1983年4月25日 初版第1刷発行、9頁、72コマ
[大全集] 『10分おくれのエスパー』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 10」2010年10月30日 初版第1刷発行、9頁、72コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトルが『E・S・P訓練ボックス』に『10分おくれのエスパー』変更
「動けと……いったら……、動け!」コマ挿入[597(3)]
「どうしてもそれだけかかるの?」コマ挿入[597(6)]
「見えろ………」、「見えろ………」コマ挿入[597(10)]
「見みた!?」、「さわりもしないのに動いたよ」、「念力だ!!」コマ挿入[598(5)]
「だって、念力はやめて透視をやってたんだろ」コマ挿入[598(6)]
「そうか! 十分前の念力がいまとどいたんだ!!」コマ挿入[598(7)]
「今、透視をしてたのに」、「さっきの念力がおくれて働いたな」コマ削除[66(1)]
「しずかちゃんにみせて感心させよう」が「しずちゃんに見せて感心させよう」に変更[600(1)]
「ちょうどよかった」、「ぼくすごい力を…」コマ挿入[600(4)]
「ザンブ」コマ挿入[600(6)]
「ゆうずうのきかない超能力だな」コマ挿入[600(7)]
「超能力は、とりけしがきかないのか」コマ削除[68(1)]
「話せば長くなるので失礼します」挿入[600(8)]
「こんにちは」、「さよなら」コマ削除[68(3)]
「どこかで見なかった? こんな丸っこい箱を……」、「ギク」コマ挿入[601(2)]
「あのさあ、どこかでこんな丸っこい箱を……」削除[601(3)]
「見えろ……」、「見えろ……」コマ挿入 [601(6)]
[梗概] はる夫が明らかに正しかったのに、のび太はジャイアンに脅されて、ジャイアンのほうが正しいと言ってしまった。「ジャイアンがこわいばっかりに心にもないことを」言ってしまったと、ドラえもんに白状したあと、机の前にすわり頭を抱えながら、「正義を守るにも力がいるんだなあ」とつぶやいていた。
ドラえもんにはひみつ道具『E・S・P訓練ボックス』があったけれども、長い訓練が必要であるため飽きっぽいきみにはとても無理だというと、のび太は「やる!! 正義のためなら」と力説するので、出すことにした。
このボックスは三つの超能力「念力」、「透視」、「瞬間移動」を訓練するもので、ただし一人前になるには、毎日三時間ずつ訓練して三年かかるというものであった。「めんどくさいなあ」と言ったが、「正義のためならがんばる」と気をとり直して挑戦することになった。
最初は念力で、心の中で「動け動け」と命令して、手を触れずにものを動かす力を獲得するものである。目の前の「E・S・P訓練ボックス」に動け、動けと何度念じても動かないので、透視の方を先にやることになった。
「ボックス」をにらみながら、「みえろ」、「みえろ」と繰り返した。しばらくすると、「ピク ピク スウ」と動いた。触りもしないで動いたが、念力をやめて透視をやっていたときであった。のび太は十分前の念力がいまとどいたと大いに喜んでいた。
瞬間移動は「物体を、または自分を、一瞬で他の場所に移す能力」である。ボックスに「うつれ…」、「うつれ…」と繰り返していると、ボックスの中が透けて見えた。十分遅れの透視であった。
「エスパーのび太だぞ、ウハウハ」と喜んでいたら、目の前のボックスが「パッ」と消えてしまった。「移動したんだ!! テレポーテーションだ!!」と喜んでいたが、ドラえもんから「どこへボックスが」と問われても、のび太はとくに考えていなかった。
ドラえもんから「無責任だ!! 探してこい!!」と命令され、「自分がまだへたくそだってこと、くれぐれも忘れずに」と注意されながら家を出た。
十分待てば超能力が働くから、「しずちゃんの家にうつれ…。うつれ…」と繰り返していると、しずちゃんがなにしているのと聞いてきたので、「ぼくすごい力を…」と言い終わらないうちに、「パッ」と消え、「ザブン」としずちゃんの浴槽に飛び込んでしまった。
しずちゃんのママから「あら、のび太さん」と驚かれたが、「話せば長くなるのでしつれいします」と家を出ている。
のび太は反省しながら、なくなった訓練機をまじめに探そうとした。すると、ジャイアンに往来であったので、こんな丸い箱見なかったかと尋ねると、「ギク」としたが、「そんなものしらんしらん」と言って通り過ぎようとした。怪しいとにらみ、ふくらんだポケットを透視で「みえろ…。みえろ…」と何度も繰り返した。
「つけてくるな!!」と脅されたので、断念すると、そこへしずちゃんがやってきた。しずちゃんを見ると、のび太が「ワッ」と驚いたのは、十分遅れの透視のためであった。
ジャイアンがスネ夫と拾った訓練機を何に使うものかと話し合っていた。のび太は塀のかげから、二人を念力でぶっ飛ばすために、念じ始めた。あと五秒、四、三、二、一と念じ終わると、しずちゃんがやってきて、しずちゃんをぶっ飛ばしてしまった。
飛んでいくしずちゃんをタケコプターで追いかけながら、ドラえもんから「だから、三年早いといったんだ!!」と強く説教されることになった。
[S1059・A2718・058202]