大富豪のび太 [★★]

[初出誌] 『もしもボックスでお金持ち!』、「小学五年生」19817月号、8頁、54コマ

[単行本]  『大富豪のび太』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第32巻」1985125日 初版第1刷発行、10頁、70コマ

[大全集] 『大富豪のび太』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1020101030日 初版第1刷発行、10頁、70コマ

 

[梗概] のび太はおじさんからもらった一万円のお年玉をどこかになくしてしまっていたが、偶然、マンガの中にはさんでいるのを見つけて、ユメではないかと大感激していた。

 

 のび太はラジコン、望遠鏡、プラモ、ラジカセ、カメラ…と、何に使おうか大いに迷って廊下を歩いていた。居間ではママとパパが「一万円札なんて、ちょっとお買い物したら、すぐ消えちゃうわ」、「ほんと! お金のねうちがさがったもんだねえ」と話していた。

 

 ママやパパは一銭や一厘でもものの買えた昔を懐かしがっていた。ドラえもんから一銭は一円の百分の一、一厘は一銭の十分の一と教わったので、「そんな時代に、もし一万円もってたら…」と尋ねると、ドラえもんから「そりゃもうたいへんな大金持ち」だと言われたので、もっと昔に生まれればよかったと思わずにいられなかった。

 

 そこで、のび太はドラえもんからひみつ道具『もしもボックス』を借り出し、「う~んと物価の安い世界にして。ただしぼくの一万円はそのままで」と電話している。

 

 本屋さんで十冊のマンガを思い切って買うと、三銭五厘いただきますとなった。一万円でお釣りくださいと申し出ると、本屋の主人は「ドタッ」とひっくり返り、そんな大きなお釣りはないと言われてしまった。

 

 せっかく金持ちになっても使えないので、ドラえもんは「むりするな、もとの世界にもどそうよ」と言い出した。のび太が「一万円をくずせたら、きみにも一円やるつもりだった。

 

 一円あればどら焼きが千個以上は買えると思うけど」と話題を変えると、ドラえもんは目の色を変えて、「銀行にあずけて、いるだけおろせばいいんだよ」というすばらしいアイディアを出してくれた。のび太はさしあたりこづかい二十円を下ろし、ドラえもんに一銭札で百枚、一円を与えると、ドラえもんは喜び勇んでどら焼きを買いに出掛けた。

 

 のび太はタクシーでデパートに買い物に出掛け、パパに高級ゴルフセット、ママに高級婦人服をプレゼントした。四越デパートと西部デパートで買い物した分は、家に入らないので、となりの家を千円で買って、そこをひとまず倉庫にして入れることにした。

 

 ジャイアンがスネ夫から借りたラジコン飛行機を広場で、友だちと飛ばして遊んでいた。そこへ、巨大なラジコン飛行機が「ブルル ブルル」と飛んできて、スネ夫のラジコンに「ガチャン」と衝突して墜落させている。

 

 のび太が広場にあるすごいラジコンを、好きなだけあげると言い出したので、ジャイアンはスネ夫に「安物こわされたぐらいで、ガタガタいうな」と凄んでいる。

 

 のび太が家に戻ると、「預金はぜひぜひ炭友銀行。目本生命に入ってください。小和証券ですダイヤ買って。寄付を! 恵んで!」といった声が聞こえるので、家に入ることができなかった。

 

 強盗から金をよこせと脅されていると、「ブブウ バタン」とやってきた車で誘拐され身代金を取られそうになった。車に乗ったライバルがピストルで、「バギュン バーン」と車のタイヤをパンクさせてしまった。

 

 その間に「バキュン ダダダダ バババ」といった攻撃をかわして、家に逃げ込んで、「もしもボックス」を元に戻した。その後、本屋さんへマンガを買いに行ったが、高すぎるので買わないで家に戻る途中、「この調子じゃ一万円なんてすぐなくなるなあ」と財布の中身を調べていた。

 

 その時、「チャリン」とお金をミゾに落としてしまった。のび太は「あきらめられるか! 一円という大金を落としたんだぞ」と、懸命に素手でミゾのなかを探していた。

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