サンタメール [★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学五年生」197912月号、21頁、142コマ

[単行本]  『サンタメール』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第21巻」1981525日 初版第1刷発行、21頁、142コマ

[大全集] 『サンタメール』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 82010630日 初版第1刷発行、21頁、142コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『サンタメール』に変更

 「手紙だしても、とどくわけないや」が「手紙をだしても、とどくわけないや」に変更[461(3)]

 「さんざんくろーするからだ」が「さんざんくろうするからだ」に変更[470(7)]

 

[梗概] クリスマスの前日、のび太はパパから、「ためになる本だ。くり返しよみなさい」と言われながら、「たのしい算数・社会・理科・国語」といったクリスマスプレゼントをもらった。

 

 のび太は「ぼくはラジコンがほしかったのに…。それにクリスマスはあすだよ」とドラえもんに愚痴っていた。パパの言い分は「今夜から友だちの家でてつ夜のマージャン大会があるんだ」という理由であった。

 

  のび太が「ゆめのない世の中になったなあ」と嘆くと、ドラえもんも頷き、のび太が「もっと小さかったころは楽しかったなあ」と言えば、ドラえもんも「そうそう、サンタのくるまでねないなんてがんばって」と相槌を打っていた。

 

 さらに、のび太は「けっきょく待ちくたびれてねむちゃって…、目がさめるとまくらもとにプレゼントがあるんだ。あんな楽しい思いは、もう二度とあじわえないのだなあ…」と過去をとても懐かしんでいた。

 

 すると、ドラえもんが「いや、そうでもないよ」と言って、「住所氏名年齢と、きぼうするプレゼントをかいてポストに入れると、イブの夜サンタがとどけにきてくれる」というひみつ道具『サンタメール』を手渡してくれた。

 

 のび太は「またまた。いくらぼくでも、そんなうまい話信じるほど子どもじゃない」と言いながら、受け取ったメールを「ヒラ」と投げ捨ててしまっていた。ドラえもんは、「ああそう! べつにむりに信じてもらわなくてもいいんだよ」と言いながら、部屋を出て行ってしまった。

 

  しばらくして、のび太は「だめでもともとだもんな」と考え、捨てたメールに「ラジコンのスーパーカー」と書いて、こっそりポストに投函。夜になってもサンタが現れないので、のび太は「やっぱりうそだったんだ。まにうけてハガキなんかだしてばかばかしい」と腹を立てて寝ようとした。

 

すると、窓の外で「シャン シャン シャン」と鈴の音が聞こえたので、窓を開けると、トナカイに乗ったサンタさんが「のび太くんだね。注文は、ラジコンだったね」と言いながらクリスマスプレゼントを手渡してくれた。のび太は「ワー。ゆめじゃないか!?」と大喜びであった。

 

 翌日、スネ夫は「今年のプレゼントは期待はずれだったな」、しずちゃんも同意見、ジャイアンも「今年は不景気なのかな」と冴えない表情。近くの子どもも「三輪車がほしかった」と泣きわめいていた。のび太は「ぼくだけ楽しんじゃ悪いから、使い残しのサンタメールをもって。タイムマシンできのうへ逆もどり」を決意。

 

 スネ夫は「ぼく、カメラを買ってもらうんだ」、しずちゃんは「うで時計」、ジャイアンは「ローラースケート」と楽しげに語り合っていた。のび太が「あてにするとがっかりするよ」と注意すると、スネ夫は「ちゃんとパパにたのんであるんだぞ!」、ジャイアンも「いやなこというな!」と逆襲。

 

 のび太は「パパにたのんだってだめだ。サンタさんにたのまなきゃ。そのハガキにかいてポストに入れれば、今夜もってきてくれるよ」と言っても、笑って誰も信じてくれませんでした。

 

 三輪車を欲しがっていた男の子にハガキを渡すと、「わあい、サンタさんにお手紙だすんだ」と大はしゃぎ、他の小さい子どもたちも大喜び。「タイムマシン」で帰る途中、「ほんとにサンタがきたら、みんな大よろこびだろうな。ぼく、すごくいいことをしたんだな」と考えた。

 

 家に着くと、ドラえもんから「どこへ行ってきたの」と尋ねられたが、のび太は「ウフフ、ないしょ」と笑っていた。小さい子に会って、サンタがきたかどうかを尋ねたが、全く来た気配がありません。

 

 のび太は心配になって、「タイムマシン」でゆうべの北極点へ行って、サンタの家を探したが、全く見つからず、手紙を出しても届かないことが判明した。ドラえもんに抗議すると、逆に「ことわりもなくサンタメールを使ったな!」と大目玉を食らってしまった。

 

 たくさんのハガキが家へ戻ってきたのは、切手が貼ってないからであった。のび太のクリスマスプレゼントは「きみをよろこばせてやろうと、とくに一枚買ってきてやったんだぞ!!」というドラえもんの特別な配慮のおかげだった。

 

  ドラえもんによれば、「サンタメール」とは、「二十二世紀のデパートへ、おもちゃを注文するハガキなんだよ。北極にデパートの配送センターがあって、クリスマスイブにはサンタロボットが配達してまわるんだ」というものであった。

 

 たくさんの注文の中には、のび太をバカにしたスネ夫やジャイアンの注文も混じっていた。ドラえもんから「ジャイアンはおこるよ。だまされたって。それより小さな子どもたちが、どんなにがっかりするか」と指摘。のび太は「わあ~、どうしよう」とドラえもんに泣きながら抱きついた。

 

 ドラえもんは「どうしようといわれてもこまる。きみがかってなことをするから悪いんだ。自分で責任をとりなさい」と冷たく言い放った。