宇宙ターザン [★★★]
[初出誌] 『無題』、「小学五年生」1978年8月号、21頁、108コマ
[単行本] 『宇宙ターザン』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第16巻」1979年1月25日 初版第1刷発行、23頁、119コマ
[大全集] 『宇宙ターザン』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 7」2010年4月28日 初版第1刷発行、23頁、119コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『宇宙ターザン』に変更
「ようし」が「よおし」に変更[369(3)]
「生きてるように動く巨大な恐竜ぬいぐるみ!」が「生きてるような動く巨大な恐竜ぬいぐるみ!」に変更[372(1)]
「一億五千万年前白亜紀の真ん中へんだな」が「一億年前白亜紀のまんなかへんだな」に変更[373(1)]
「おーい、いいのがいたか」が「おおい、いいのがいたか」に変更[373(3)]
「ドサ」コマ挿入[376(3)]
「バーッ」コマ挿入[376(4)]
「ガサ」、「バサ バサ」コマ挿入[376(5)]
「やれやれ…」、「もうだめかと思ったよ」コマ挿入[377(2)]
「ヘリトンボがない!」が「タケコプターがない!」に変更[377(4)]
「バシャ」[Y1] コマ挿入[377(7)]
「文字なし」コマ挿入[377(8)]
「文字なし」コマ挿入[381(1)]
「文字なし」コマ挿入[381(2)]
「さあみんな食べたらこっちへ集まれ!」コマ挿入[381(3)]
「ザバ ザバ」コマ挿入[381(4)]
「宇宙ターザンは人気をもり返し視聴率40パーセントをこえた!」が「やっぱりなあ迫力がだんちがいだよ」に変更[386(1)]
「ア~ア ア~ア~」、「人気をもりかえして、視聴率も四十パーセントをこえたってね」コマ挿入[386(2)]
[梗概] のび太は大好きなテレビ番組『宇宙ターザン』を、今日も「まけるな。宇宙ターザン! そこで、やれやれえ。わあい、ターザンが勝った!」と一喜一憂しながら、熱烈に応援して視聴していた。
ドラえもんは番組もマンネリ化し、セットもチャチで、縫いぐるみもひどいので、来週からほかの番組を見ようと提案すると、のび太は「宇宙ターザンの悪口はゆるさないぞ!」と、ドラえもんに食ってかかっている。
広場で、のび太が「宇宙ターザンごっこするものこのユビとまれ」と誘いかけても、誰ひとり賛同する者はいなかった。ジャイアンは「もうあきちゃったよ」、しずちゃんまでも「近ごろつまんないわよ」と言い出す始末であった。
のび太はみんな不人情だと思い、ファンなら落ち目の時こそ応援しなくちゃと思いながら、ベンチに座って、「ぼくはぜったいに宇宙ターザンを見すてないぞ!」と宣言していた。
目の前のベンチに本物の宇宙ターザンがいたのでサインをもらうと、宇宙ターザンは視聴率も悪く、スポンサーもあまり制作費を出してくれないので、だんだん番組も安っぽくなっていると教えてくれた。
さらに、番組もうち切られ、もうすぐお別れだよと言われてしまった。宇宙ターザンは「さびしいけどしかたがないさ。今までおうえんしてくれてありがとう」と、寂しく去って行ってしまった。
ドラえもんに頼んでもいい案がなかったが、のび太は宇宙ターザンを続けさせる方法を、晩ご飯も食べないでひとりで考え続けた。夜遅くなって、お腹がすくと、人間が食べてもかまわない、ドラえもんはひみつ道具『桃太郎印のキビダンゴ』を出してくれた。このダンゴを食べながら、のび太にはすごいアイディアが閃いた。
OKERA-PROでは、番組の正式な打ち切りがプロデューサーから発表されていたが、のび太が「一億年前の世界そっくりの広い広いセット! 生きているようにうごく巨大な恐竜のぬいぐるみ!」という案を出して、もう一日だけ中止を待ってもらうことにした。
のび太とドラえもんは一億五千万年前の白亜紀にタイムマシンでやってきて、撮影に使えそうな恐竜を探していた。のび太が「タケコプター」を装着して、恐竜を探していると、突然、「プテラノドン」に襲われ、大地に墜落して、タケコプターをなくし、さらに、手に持っていた「キビダンゴ」を全部落としてしまった。
のび太が「ここへ恐竜がでたらおしまいだ!」と思案にくれていたら、頭に「バシャ」と何かがふってきたので、仰ぎ見ると、「ティラノサウルス」であった。「ゴガー」と追い掛けられたので、懸命に逃げると、「ピタ」と止まって、追い掛けてこなくなった。
そこで、思いきって「あっちむいてホイ!」と命令すると、「クル」と向きを変えたので、前に落としたキビダンゴを食べたことに気づいた。
ドラえもんもアパトサウルスに乗ってやってきたので、大群の恐竜がいるところへ、ありったけのダンゴをばらまいて食べてもらうことにした。そして、恐竜の群がいっせいにラインダンスするほどならしてタイムマシンで帰ってきた。
タイムマシンを使わずにどうやって撮影隊を、白亜紀に連れて行くかという難問は、「どこでもドア」の出口をタイムマシンの出口につなぐ、というアイディアで解決することができた。
プロデューサーは「のび太スタジオ」と小さく書かれた看板を見て、帰ると言い出した。しかし、ドアを開けると広大な原野が目の前に広がり、のび太が「ア~ ア~ ア~」と叫ぶと、多種多様な恐竜が「ピギャー ゴガー ピギャー」と咆哮しながら、「ドドドドド ドドドドド」と集まってきた。
こうしたセットや恐竜を縦横に駆使して「宇宙ターザン」が撮影されたので、人気を盛り返し、視聴率も40パーセント台を回復することができた。
広場で、のび太が「宇宙ターザンだぞ。ア~ ア~ ア~ ア~ ア~」と叫ぶと、ジャイアンもスネ夫もみんな自分こそターザンだと主張し出した。のび太は「いいんだ。みんながターザンを好きになってくれてうれしいよ」と、ジャイアンに馬乗りにされながら。
[S0743・A1620・057808]