ペコペコバッタ[★★]
【道具解説】 ひみつ道具である『ペコペコバッタ』が、鼻に「スポッ」と入ると、その人は「じぶんの悪かったことを反省して、ペコペコあやまる」ことになる。なお、スポッと鼻に入ったバッタはコショウを振りかけると追い出すことができる。
【使用目的】 「ペコペコバッタ」は本来責任のある者が他に責任を転嫁して、全然謝罪する意志を見せないために取り出された。
【使用結果】 スネ夫は謝る気が全くないので、「ペコペコバッタ」を使うと、「ウワ~ア」と大声で泣き出し、「つくづく考えると、ああ、ぼくはなんという悪者だろう」と大反省をし、のび太に「ボカ ボカ」と殴ってもらっても、まだ罪は消えないと謝っている。
ジャイアンも最初はまったく謝る気がなかったけれども、バッタがスウと鼻の中に入ると、自ら頭を「ドカ ドカ」殴り、電柱に頭を「ドス ドス」ぶつけたりしたが、まだ気がすまない様子だった。
どでかい木のトンカチを出して、のび太に強引に殴らせようとした。「ヨロ ヨロ」とバランスを崩したのび太はドラえもんの持っていたバッタの入った虫カゴを壊してしまった。バッタが町中に散らばり、あちらでもこちらでも、謝るシーンを見ることができた。
バッタを取り出すためにはコショウが必要であったけれども、ドラえもんはどこかで落としてしまった。
コショウを家に取りに帰る途中、おとなしくてまじめで優等生であるタダシくんが塀の上に乗って首をつろうとしていた。理由をただすと、テストのたびにカンニングをし、ほら穴にスネ夫を落としたり、しずちゃんのスカートを釣りバリでつり上げたりしていた。
タダシくんが通りかかったジャイアンにも謝ろうとすると、ジャイアンは「おれのやった悪事にくらべりゃ…」といって走り去り、スネ夫からは「そんなつまらないことで、呼びとめるなっ」と怒鳴られる始末であった。さらに、スネ夫は「あと百八十三人に謝らなくちゃ」と大忙しであった。
ドラえもんの代わりにのび太が「タケコプター」でコショウを取りに帰ると、屋根の上では強盗が出刃包丁で腹を切ろうとしていた。ひとまず交番まで連れて行って、お巡りさんに捕まえてもらおうとした。
すると、お巡りさんは檻の中に入って、「ぼくの正体は石川五右衛門。またの名が、怪人二十面相」と名乗り、「ベトナム戦争も、光化学スモッグも、物価の値上がりも、みんなぼくの責任ですと」強盗に宣言していた。
事態はますますひどくなってきたので、早く家に帰ってコショウを見つける必要があった。家では、パパは「毎晩仕事でおそくなるといってたが、じつは、マージャンで…」と、ママも「わたしこそないしょで真珠の首飾りを買っちゃって」とお互いに涙を流して謝っていた。
のび太が二人にコショウを振りかけると、元にすっかり戻ることができた。すると、ママは「よくもウソついていたわねっ」と、パパも「きみこそ、こんな高いものを」と一触即発の状態になってしまった。困惑した顔のドラえもんのかたわらで、のび太は両手を広げて「みんなをなおすのが、心配になってきた」と憂えるのであった。
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