物体電送アダプター[★★]

【道具解説】 ひみつ道具の『物体電送アダプター』を、電話機の送話口にセットすると 何でも送ったり、取り寄せたりすることができる。

 

【使用目的】 パパが会社の大事な書類を家に忘れてきたので、持ってきて欲しいと電話がかかってきた。ママからのび太に頼まれたが、宿題があるといって断った。すると、ドラえもんが「物体電送アダプター」を出してくれた。

 

【使用結果】 「物体電送アダプター」を電話の送話口にセットし、パパに電話し、アダプターに書類を「スポ」と入れると、瞬時にパパの手元に送ることができた。

 

 のび太はこの便利なアダプターを使って、今晩のトンカツ用のお肉を手に入れている。さらに、しずちゃんをビックリさせようと、このアダプターを使って、しずちゃんの電話の受話口から手を出して、ジャンケンしようとした。

 

 しずちゃんが驚いて逃げようとしたので、のび太がなにかをつかむと、「キャー ドダ」となってしまった。よく見ると、手にしずちゃんのスカートを握っていることに気づいた。

 

 しばらくすると、しずちゃんが野比家にやってきたので、のび太は「ペコ ペコ」しながら、「けっしてわざとじゃなく……」と謝ると、しずちゃんは「それはもういいのよ」と言ったあと、「さっきのふしぎな電話で、出木杉さんをたすけてほしいのよ」と頼んできた。

 

 出木杉くんの家には毎晩夜中になると、「ジリリ ジリリ ジリリ」と電話がかかり、電話に出ると、「出木杉、おまえなんか死んじまえ」と怒鳴られ、その後も何回も何回も「ジリリ ジリリ」と朝まで続くという話であった。

 

 悪質であったので、「今夜出木杉くんの家へはりこんで、犯人をとらえてあげよう」と約束して別れた。ドラえもんが「しずちゃん!! スカート忘れた!!」と大声で呼び止めた。

 

 しずちゃんからは「大声でいわないで、ひとがきいたらへんに思うでしょ」、のび太からも「バカだな、じつに無神経なやつだな」と、きついお目玉をもらうことになった。

 

 ドラえもんとのび太が「タイムマシン」で出木杉の家に夜行ったが、なかなか電話がかかってこなかった。「コックリ コックリ」していると、突然、「ジリリリリン」と電話が鳴ったので、アダプターを「カチャ」とセットし、のび太が手を入れると、なにか柔らかいものに触れ、「スポ」と引き出すと、またまた、しずちゃんのスカートであった。

 

 相手をしっかり確かめなくちゃと話し合っていると、「ジリリン」と電話が鳴り、「出木杉、おまえなんか死んじまえ」と、かかってきたので、ドラえもんはまちがいないと確信して、両手で犯人を捕まえた。

 

犯人はクラスで二番のガリベンくんであった。理由を尋ねると、「出木杉くんがいるかぎり、ぼくはどうしても一番になれない。くやしくて…。学校から帰ってすぐひるねをして、夜中におきて、勉強のあいまにかけてたんだ」ということだった。

 

ガリベンくんが「どうせみんなにしゃべるんだろ。先生や友だちや両親に。ぼくはもうおしまいだ。ウワ~」と左手でタタミを叩きながら泣き崩れた。

 

 出木杉が「しゃべるつもりはないよ。もうしないと約束してくれればね」と寛大な処置をとったので、事件は無事解決した。次の朝、学校へ行く途中、しずちゃんに会ったのび太はみんなの前で「しずちゃん、ゆうべのスカート返す」と叫んでしまった。しずちゃんは顔を赤めて、「しらないっ!」と逃げるばかりであった。

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