腹話ロボット[★★]

【道具解説】 ひみつ道具の『腹話ロボット』は、「人形が人間の口を動かして、その人の声でうまいことしゃべる」ものである。

 

【使用目的】 のび太はスネ夫と異なって口べたのため、ジャイアンに殴られ、真っ赤に怒ったママから説教を受けることになった。そのため、のび太はドラえもんに口べたを直すため、「腹話ロボット」を出してもらっている。

 

【使用結果】 のび太がママに草むしりを頼まれると、肩に乗った「腹話ロボット」がのび太の口を「パカ」と開かせ、「ワーイ草むしりうれしいな。あれをすると、すっきり美人になるんだよね。腰をかがめるでしょ。ウエストをひきしめる運動になるんだよな。草の葉緑素が、指から吸収されて肌がきれいになるしね」と蕩々としゃべったので、ママも「いいわ、ママがやります」となった。

 

 この調子でおこづかいをもらえるようにこのロボットに頼むと、「お年玉が年一回というのはだれがきめたのでしょうか。現代人は古い習わしにとらわれることなく、毎月お年玉を」と訴えて、ママからおこづかいをせしめている。

 

 ドラえもんから「いいかげんなことばかりいって、ロボットをとめると、ごまかしがばれるんだぞ」と注意された。

 

 外に出ると、先生から「今回のテストをみなさい。宿題もせずにフラフラと遊びまわれる身分かね」と注意された。

 

 「ぼくには、自分さえ成績があがればという考え方がどうしてもできないんです。…。クラス全員が必死に勉強したとしてもテストをすれば…、かならず順番がついてだれかがビリになる!! だから…だからぼくがぎせいになって0点を…。世の中にこんなバカが一人ぐらいいてもいいんじゃないでしょうか」と訴えた。

 

 すると、先生は「野比!! きみがそんなやさしい子だったとは…。先生は誤解していたよ。これからもがんばって、0点を取りなさい」と激励させた。これを聞いて、ドラえもんはお手上げの状態であった。

 

 ドカンのある広場でジャイアンの新曲発表会が開かれた。みんなは「ウッ。オエ~。ゲ~」と必死にこらえていた。すると、「ひどい歌だなあ」という声が聞こえたので、場内は「シ~ン」となり、みんなは真っ青になってしまった。

 

 ジャイアンがいまなんていったと凄むと、「はっきりいって、がっかりしたなあ。ジャイアンの歌は、こんなもんじゃないはずだよ。おかしい! ひょっとして、のどをいためてるんじゃない?」と問い掛けてきたので、ジャイアンも思わず、「ゆうべめざしをくった時、小骨をのどに…」と弁解しだした。

 

 たたみかけるように、「やっぱり!! むりしちゃだめじゃないか。将来の大歌手が、もっとのどをだいじにしてくれなくちゃ」と注意すると、ジャイアンはのび太の手を「ガッシ」と握り、「心の友よ!! きみだけだ。こんなにも気づかってくれるのは。きみのいうとおり、のどがなおるまでリサイタルをのばそう」となった。

 

 しずちゃんがリサイタルに来ていなかったので、のび太は「どこでもドア」で出かけると、しずちゃんはお風呂に入っていた。

 

 しずちゃんが腹を立てたので、ロボットは「もともと人間ははだかだったんだよ。アダムとイブをごらんなさい。それがなぜ服をきるようになったか。神のいいつけにそむいて禁断の木の実を食べたからだ。神さまのいうとおりにしてれば、人間はいまも楽園で楽しくくらしてたはずなんだ。はだかのままで」

 

 しずちゃんも「じゃあ…はだかでいるほうが正しいの」となり、「そ~なんだよ!!」となった。

 

 さらに、「腹話ロボット」が「せかいのびじゅつかんをみたまえ。はだかのえやちょうこくでいっぱいじゃないか。なぜか? それは美しいからだ。はだかこそ永遠の美のテーマであります!!」と力説した。

 

 しずちゃんは「そうか! じゃあ、はずかしがるのがまちがいなのね。服なんてきなくていいのね! あそびにいきましょ」と「ザバ」とフロから出て、「どこでもドア」から外に出ようとすると、ロボットは「そうとも、そのまま町じゅうをかけまわろう!!」とけしかけた。

 

 さすがののび太も肩に乗っていたロボットを地面に叩き付けてしまった。

 

 外に出て裸であると気づいたしずちゃんは「キャーッ」と絶叫して、「どこでもドア」に逃げ帰った。「ウロ ウロ」とのび太を探している、ジャイアン、ママ、しずちゃんの姿を見て、ドラえもんはドカンの後ろに小さくなって隠れているのび太に対して、「とうぶんうちへ帰れないね」と忠告している。

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