腹ぺこのつらさ知ってるかい [★★]

[初出誌] 『無題』、「小学五年生」197711月号、8頁、54コマ

[単行本]  『腹ペコのつらさ知ってるかい』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第44巻」1993525日 初版第1刷発行、8頁、56コマ

[大全集] 『腹ペコのつらさ知ってるかい』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 62010330日 初版第1刷発行、8頁、56コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『腹ペコのつらさ知ってるかい』に変更

 「日本は世界中を相手に戦っていた」が「日本は戦争に負けたばかりのビンボーな国で……」に変更[395(5)]

 「へーえ、いいなあ」が「へえ~っ、いいなあ」に変更[396(2)]

 

 「いーえ、食べなくてけっこう」が「いいえ、食べなくてけっこう」に変更[400(7)]

 「ワーイ昼ごはんのしたくができたところだ」、「ラーメン大好き!!」コマ挿入[401(3)]

「だれか来た、かくれろ」コマ挿入[401(4)]

 

[梗概] のび太はごはんもおかずも残して、テレビを見にいってしまった。パパは「食べ物をそまつにするなと、一度いってきかせなくちゃ」と考えた。

 

 ボクシング中継を見ているのび太に、「おとうさんが子どものころはな、日本は戦争に負けたばかりのビンボーな国で…。食べる物がなんにもなくて、バッタや野草まで、とってきて食べたもんだ」、「へえ~っいいな」、「なにがいいもんか。みんな腹ぺこで、やせこけてフラフラしていたもんだ」

 

 「相手はフラフラだぞ! そこだ! やっちまえ!」、「人の話をきいてるのか!」とパパは思わず怒鳴ってしまった。

 

 パパは「腹ぺこのおそろしさを知らない者には、なにをいってもむだだ」と思い、ドラえもんも「いわれてみればそのとおりだ。食べ物は生きていくためになくてはならない物だ。大事にすべきだ」と同意した。

 

 「一度腹ぺこのつらさを、味わっておくのも悪くない」と考え、ひみつ道具『ヤセール』を取り出している。これは「太りすぎて、食事を減らしたい人のための薬だ。一粒飲めば、一食、ごはんが食べられなくなる」ものである。

 

 ドラえもんから一粒飲むように言われたが、ボクシング観戦でそれどころではなかった。試合が終わると、かたわらに薬のビンが置いてあったので、「うまい」と言いながら「パクパク」飲んでしまった。

 

 次の朝、のび太は「わ~、寝すぎた! 学校におくれる。そんなもんたべてるひまはないよっ」と学校に出掛けた。ドラえもんが「一粒飲んだんだからけさ一食たべられなかったんだ。きっと、お昼の給食はうまいよ。食べることのよろこびがわかるだろう」と思った。

 

 のび太が帰ってくると、給食前にトイレにいったところ、カギがこわれてて一時間とじ込められていたことが判明した。

 

 「ママー、なんでもいいから食べさせて~」と頼んだが、出掛けて夕方まで帰らなかった。おやつもなく、ラーメンを食べようとしたら、ドラえもんが最後のひとつを食べてしまっていた。パンでも買いに行こうとしたら、商店街は一斉休業であった。

 

 「ヨロ ヨロ」歩いていたら、ジャイアンに将棋の相手をしろと呼び止められた。のび太の調子がよくて何回やっても勝ってしまった。暗くなってきたので、帰ろうとしたら、「勝ち逃げしようってのか」と脅され、わざと負けようとしても勝ってしまった。

 

 のび太が夜遅く帰ると、ママから「かたづけました! こんなおそくまでどこへいってたの! いいえ食べなくてけっこう。どうせ残すんだから」と言われてしまった。

 

 ドラえもんが心配になって、「ヤセール」をいくつ飲んだかと尋ねると、「十近く飲んだけど」という返事を聞いて、「じゃ、きみは三日間ぜったいに食べ物を口に入れられないぞ」と怒鳴ってしまった。のび太が「死ぬ~、人殺しい~」と泣き喚くので、タイムマシンで、「四日後の世界へ盗み食いにいくことになった」

 

 のび太は「ワーイ朝ごはんのしたくができたところだ。ラーメン大好き!!」、ドラえもんが「だれかきた、かくれろ」となった。

 

 家の中での「ぼく盗み食いなんてしていないったら。ヒ~」と叫び声を聞きながら、窓の下ではのび太は「四日後のぼくが叱られてる」、ドラえもんからは「あとの心配よりさっさとたべて逃げようぜ」と言われていた。

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