弟をつくろう[★★]

[初出誌] 『無題』、「小学五年生」19761月号、8頁、53コマ

[単行本]  『弟をつくろう』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第10巻」1976425日 初版第1刷発行、8頁、53コマ

[大全集] 『弟をつくろう』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、8頁、53コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『弟をつくろう』に変更

「ママー、へんなおにいたんが」が「ママぁ、へんなおにいたんが!」に変更[449(5)]

 

 「何もかもわすれる病気があるんですよ」が「なにもかもわすれることがあるんですよ」に変更[450(4)]

 

[梗概] お客さんのお兄ちゃんはとても優しくて、弟を馬乗りにして遊んでやっていた。のび太はママから、ひとりっ子で、わがままであまえんぼうでいくじなしとお客さんに紹介された挙句、みならわなくちゃと言われてしまった。

 

  部屋に戻り、のび太はドラえもんに、「むりをいうなってんだ! ぼくがたのんで、ひとりっこになってるわけじゃあるまいし! そんなにいうなら弟をつれてこいってんだ! いくらでもかわいがってやるから」と不満をぶちまけていた。

 

 興奮していて、のび太が突然、「そうだったのか! 長い間のなぞが、やっととけたぞ」と快哉を叫んでいる。のび太は小さいころ、「だれかにつれられて、くらいトンネルをとおって…、どこかへつれていかれたことがある」というふしぎな思い出を持っていた。

 

  のび太によると、ひとさらいはのび太自身であり、タイムマシンでこの部屋につれてこられたという話であった。

 

 のび太は「小さかったころのぼくをつれてきて、弟をもった気分になってみよう」と思いついて、タイムマシンで出掛けることにした。

 

  すると、三歳ぐらいののび太がひとりで遊んでいたので、かわいがってやろうと思って抱きかかえると、「ママあ、へんなおにいたんが!」と叫ぶので、「キャンデーあげる」と誘うと、「キャンデー、じゃ、いく!」となった。帰りのタイムマシンに乗りながら、「このころからいやしかったんだね」とドラえもんに言われてしまった。

 

 家ではママが財布をなくし、近ごろ物忘れがひどくなったとつぶやいていると、テレビの記憶喪失の番組で、専門家が何もかも忘れることがあるんですよと解説していた。

 

  あらいやだと思いながら、「ママのさいふしらない?」とのび太に尋ねると、のび太は小さな子と、「ゲンコツ山のタヌキさん、おっぱいのんでねんねして…」と一緒に歌いながら、体を動かしていた。

 

 ママが部屋に戻って、どこの子かをなんとかして思い出そうとしたが、どうしても思い出せず、ドラえもんを呼んで聞いてみると、「自分の子どもの顔忘れたの?」と言われてしまった。

 

  ふたりの遊んでいる部屋で、「いいかげんにしてよ。にいちゃんはもうくったくた…」という声を聞いて、ママは「ガーン」と衝撃を受けていた。

 

  わが家はパパとママとのび太の三人家族であり、のび太に弟がいたなんて全く信ずることができないので、そのことを電話でパパに聞くと、「なにいってんだ、うちは四人じゃないか」と言われたので、ママは真っ青になって、電話の受話器を落としてしまった。パパの「きみだろ、ぼくだろ、のび太だろ、ドラえもん」という返事を聞く前に。

 

弟が遊んでいるといたずらばかりするので、のび太が頭をこつんとたたくと、「ギャア」と泣きだし、「ママあ、おにいたんがいじめる」とママの所へ飛んで行った。

 

ママのひざの上で「エーン エーン」泣きじゃくるので、ママは「おう、よちよち。ごめんなちゃいね。あんたのこと忘れるなんて、悪いママね」と、あやしながら抱き寄せている。

 

 のび太が「ひとりっ子のほうが気楽でいいや」と言いだしたので、タイムマシンで弟を送りかえすことにした。夕食の時、パパが食卓を見て、五人分が用意されていたので、「だれかお客さん?」とママに尋ねると、ママは「子どもの数を忘れるなんて、あなたはそれども親ですか!」とパパを叱りつけている。

 

  食事をしているドラえもんとのび太は、われ関せずの態度を取りながら、黙々と食べていた。

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