きせかえカメラ[★★]
[初出誌] 『無題』、「小学五年生」1974年8月号、8頁、52コマ
[単行本] 『きせかえカメラ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第3巻」1974年10月1日 初版第1刷発行、8頁、54コマ
[大全集] 『きせかえカメラ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 3」2009年10月28日 初版第1刷発行、8頁、54コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『きせかえカメラ』に変更
「だれかにいい服着せてやろ」、「NOBI」コマ挿入[456(8)]
「文字なし」コマ挿入[457(6)]
「デザインをぬきとっておいたからカメラはからっぽ」が「デザインをぬきとっておいたから、カメラはからっぽなのさ」に変更[459(4)]
[梗概] のび太が野球の練習で汚れて家に帰ってくると、ママが雑誌『マダム』 に出ている洋服を作ろうとパパに頼むと、お金がないからまたにしなさいと言われてしまっていた。「ギロ」とのび太をにらみ、「また、シャツよごしたのね。……、こんどよごしたら、はだかでいなさい」と叱られてしまった。
のび太が不満をもらしながら歩いていると、廊下のバケツをひっくり返して、「グッショリ」とずぶぬれになってしまった。着替えたばかりであったので、心配したドラえもんはひみつ道具『きせかえカメラ』を出してくれた。
描いた服の絵をカメラに入れ、カメラをのぞきこみながらピントをのび太に合わせ、シャッターを切ると、のび太はその服を着ることになった。ドラえもんに言わせると、カメラの原理は積み木を組み合わせるように、「着物をつくってる分子をばらばらにほぐして組み立て直す」というものである。
どんなデザインのものでもできるので、のび太はママの作りたがっていた雑誌の服をカメラに「スポ」と入れ、ママに向けてシャッターを「カシャ」と切った。この服を着てママが洗濯物を干している時、パパが気付き、「ぼくにことわりもなく!」と腹を立てていたが、ママは「キョトン」としていた。
往来でのび太はジャイアンとスネ夫に、このカメラでかわいらしい女の子の服を着せている。お互いに「プーツ ハハハハ」と笑いこげていたが、二人が気付くと赤面し、のび太のカメラを強引に奪っている。
このカメラの前で、スネ夫は将来デザイナーになるために勉強していて、このカメラが「ぼくのゆめを実現するために大きな力になるだろう」と話していた。
すると、ジャイアンがスネ夫の耳元で「じつは、おれ、ファッションモデルになるのがゆめなんだ」と言い出した。スネ夫は指でお尻を何度も「ギュ ギュ」とつねり、笑いをこらえるのにとても苦労した。
二人は女の子の目の前でファッションショーをすることに決めた。しずちゃんを始めかわいい女の子四人の「パチ パチ パチ パチ」の声援を受けて、四つの大きな木の箱の舞台で立ったまま次から次に衣装を披露する予定であった。
スネ夫の「パン パカ パーン」の合図で、すましてポーズをとっているジャイアンをカメラで「カシャ」と写した。
その瞬間、女の子は「キャー キャー」と嬌声をあげて退散している。舞台では、すっぽんぽんのジャイアンが顔を真っ赤にして、今にも、真っ青な顔をして震えているスネ夫に殴りかかろうとしていた。舞台裏で、ドラえもんはのび太に、「デザインをぬきとっておいたから、カメラはからっぽなのさ」と説明していた。
[S0353・A0311・057408]