ハワイがやってくる [★★]

[初出誌] 『年月圧縮ガン』、「小学四年生」19908月号、10頁、75コマ

[単行本]  『ハワイがやってくる』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第44巻」1993525日 初版第1刷発行、11頁、81コマ

[大全集] 『ハワイがやってくる』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 172012229日 初版第1刷発行、11頁、81コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『年月圧縮ガン』が『ハワイがやってくる』に変更

 「おれが折ったのは……」コマ挿入[363(2)]

「ポタ……」コマ挿入[363(4)]

 

「地下水のしずくにふくまれるほんのわずかな炭酸カルシュウムがかたまって鍾乳石になる」、「気の遠くなるような年月をかけてのびていくんだよ」コマ挿入[363(5)]

「光を当てるだけでいい」が「年月圧縮光線をあてると……」に変更[363(6)]

 

「石灰岩をとかした地下水が、炭酸カルシウムを残して固まるんだ」削除[363(7)]

「何百年もかかる現象をわずかな時間内に進行させるんだ」コマ挿入[363(8)]

「この海の向こうにハワイがあるんだよ」、「ザ・ザア…」コマ挿入[364(1)]

「ハワイの方角はこっちだな」が「方角はこっちだよな」に変更[364(2)]

 

「それで?」、「……………」、「ザザザア…」コマ挿入[364(3)]

「だって、すぐそこだもの」が「ハワイもこっちへむかってるんだよ」、「もうそのへんまで来てるはずだ」に変更[365(6)]

「つまりね、ハワイ諸島は太平洋プレートにのっていて、それが東のほうへ年に数センチずつ近づいてきてるから……」、「?」、「?」コマ削除[105(9)]

 

「地球の表面はプレートといっていくつかのかたいからに包まれてる」、「ハワイ諸島は太平洋プレートの上に乗っかっていて、これが西へ一年に数センチずつ動いているんだ」、「だから長い年月を圧縮すれば、ハワイは日本にグングン近づいてきて…」コマ挿入[365(7)]

 

「こんやはおもしろかった。また、いつかやろう」が「マイナスボタンで時間をもどすこともできるよ」に変更[366(5)]

「月の軌道も少しずつ地球に近づいてると、聞いたから…」が「月の軌道も少しずつ地球から離れてると聞いたから……」に変更[366(7)]

 

【単行本vs.大全集】

 「ハワイ諸島は太平洋プレートの上に乗っかっていてこれが東へ一年に数センチずつ動いているんだ」が「ハワイ諸島は太平洋プレートの上にのっかっていて、これが西へ一年に数センチずつ動いているんだ」に変更[365(7)]

 

[梗概] スネ夫からのび太宛てに写真などどっさり入った航空便が届いた。手紙には「ぼくみたいに海外旅行のベテランになると、ハワイなんて今さらと思うけど、きてみるとけっこう気楽で楽しいよ。この楽しさを、きみにわけてあげたくて写真を送る。たぶん、どこへもいけなくてみじめな夏休みをすごしているだろうから…」と書かれてあった。

 

 のび太が「よけいなお世話だ!!」と写真などをばらまいていると、ママから「ちらかしちゃいけません!」と注意されてしまった。のび太が「うちはどうしてハワイとかいかないの」、ママは「夏休みは日本人だらけで、大混雑だって」

 

  「じゃ、休みでない時に…」、「学校はどうするのよ。パパの会社は?」、「どこでもいいからいこう!!」、「つまんないわよ、わざわざお金を使って、くたびれにいくなんて」と話しはいつまでも平行して続いた。

 

 のび太は「旅行ぎらいの両親をもってぼくは不幸だなあ…」と思いながら、「ぼくらだけでいい、どこでもドアでハワイへ行こう」とドラえもんを誘った。

 

  ドラえもんは「とつぜんなにをいいだすんだ。そりゃ、もちろんいこうと思えばいけるけど…。つまんないだろ。海外旅行は、やはり飛行機か船ではるばる海をわたらなくちゃ」、「じゃ、飛行機か船をだして」、「もっていない」となった。

 

 しずちゃんの家に遊びにいくと、ジャイアンと出木杉としずちゃんが、夏休みをどう楽しんでいるかの中間発表をするところだった。出木杉は「せっかくの休みだから毎晩夜ふかしして、月や星の写真を取っている」という報告であった。

 

  しずちゃんは北海道へ行って、阿寒湖の水草の一種であるマリモを買ってきたと報告した。出木杉が「マリモ!? まずいよ、もってきちゃ。この大きさに育つには何十年もかかるんだよ。たしか、天然記念物に…」とめずらしく興奮して話すと、しずちゃんのこれはおみやげ用の作り物と聞いてほっとしていた。

 

 ジャイアンは「おれのはそんなにせものじゃないぞ。現地でとってきた本物だぞ」と言いながら、「山口県の秋芳洞の鍾乳石の先っぽ」であると自慢した。すると、出木杉が「な、なんてことをするんだ!!」と立ち上がり、「地下水のわずかなしたたりが、何百年、何千年かけて作ったんだよ」と猛烈に叱責した。

 

  のび太も調子に乗って、「そうだよ。何万年もかかったんだぞ!! いってやろ、いってやろ。おまわりさんにつかまって死刑になるぞ!!」と問い詰めてしまった。すると、ジャイアンが「うるせえ!! のび太のくせに!!」とすごい形相で追いかけられることになった。

 

 家に帰って、ドラえもんに「みんないいなあ。夏休みが楽しくて…」と訴えると、ひみつ道具『年月圧縮ガン』を出してくれた。このガンは「長い年月がかかる現象を手っ取り早く完成させてくれる道具」である。

 

  「かわいそうだから、ハワイへつれてってあげようかと思って」、「ほんと? どうやって?」、「まて、まて。夜になってからだ。どうやるかはその時までのお楽しみ」となった。

 

 ジャイアンが夜になって、「おれ、とり返しのつかないことしちゃった。なんとか元に…」と相談にやってきた。ドラえもんは引き受け、買ってきたばかりのガンを使用することにした。どこドモドアで、秋芳洞へ行き、目の前にみごとな鍾乳石と石筍を見ることができた。

 

  ジャイアンが鍾乳石を折った場所に行き、このガンの年月圧縮光線をあてると…。「ポタ ポタ ジャー」となり、何百年かかる現象をわずかな時間内に進行させることができ、元より大きく育てることができた。

 

 のび太もこのガンをテストしてみたくなり、北海道の阿寒湖へ行って、小さなマリモよ大きく育てと言いながらガンを発射すると、「ザバー」と巨大なマリモになったので、ドラえもんは人さわがせはよくないので、『逆光線』で元のサイズにもどしている。

 

 ハワイに行くために「どこでもドア」で、まず海岸へ出て、ハワイの方角を定めて、このガンを「チュン」と発射した。ドラえもんは「もういいだろ。そろそろハワイへ行こう」、ボートを漕ぎながら「ハワイもこっちへ向かってるんだよ。もうそのへんまできてるはずだ」となった。

 

  「地球の表面はプレートといっていくつかのかたいからに包まれている。ハワイ諸島は太平洋プレートの上に乗っかっていてこれが東へ一年に数センチずつ動いているんだ。だから長い年月を圧縮すれば、ハワイも日本にグングン近づいてきて…」というのが根拠であった。

 

 スネ夫が「夜明け前…、人気のないビーチはぼくのかし切りみたいだ」と考えていると、沖合で「パチャ…ポチャ… あっ、スネ夫がいるよ」と聞こえてきた。

 

  「やあ、ハワイは楽しいかい? ぼくたち? 日本からかしボートで…」と声をかけると、「こ、こ、こ、こんな…、ば、ば、ば、ばかな!!」と満足な言葉にならなかった。

 

 のび太が家に帰って、マイナスボタンで時間をもどすことができると聞いたので、このガンで月を「チュン」と撃つと、「月の軌道は少しずつ地球から離れてるときいたから…」どんどんと月が地球に接近してきた。

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