アトカラホントスピーカー [★★]
[初出誌] 『「アトカラホント」スピーカー』、「小学四年生」1985年11月号、10頁、69コマ
[単行本] 『アトカラホントスピーカー』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第37巻」1986年8月25日 初版第1刷発行、10頁、69コマ
[大全集] 『アトカラホントスピーカー』、「藤子・Ｆ・不二雄大全集 ドラえもん 15」2011年9月27日 初版第1刷発行、10頁、69コマ
【初出誌vs.大全集】
「どーぞ、どーぞ」が「どうぞどうぞ」に変更[356(2)]
[梗概] 先生から「きみの今度のテストは、あまりにもひどかった！！」と告げられると、スネ夫は「じつは…母が病気で…。夜も寝ないで看病したので、つい勉強が…」、「それはいかんねえ、おだいじに」となった。のび太は「スネ夫のママがピンピンして。毎日ジョッギングをしている」ことを知っていた。
家で、ママからテストのことを聞かれると、「答案用紙くばってる最中に、先生がぶったおれて、救急車がくるやら大さわぎ」と報告して、外に遊びに出かけている。
土管のある広場でジャイアンは安雄とはる夫に友だちの撮影したつばさちゃんの生写真を見せていた。スネ夫は「ぼくとあの子は、スネちゃんつうちゃんとよびあう仲なのさ。プロダクションの社長とパパが友だちでね。ちょいちょいくるんだよ、うちへ。きょうあたりくるんじゃないかなあ」とペラペラしゃべってしまった。
すると、ジャイアンが「ほんとか！？ おれ、カメラもっていくからな。いやいや、あわせろなんて、ずうずうしいこといわない。遠くからとらせてもらうでけでもしあわせなんだ」となった。
スネ夫はドラえもんに「ついなりゆきで…。今さらうそだなんていったら、殺される～」と泣いて訴えていた。のび太は「うそつくから悪いんだ」、しかし、ドラえもんは「ま、ほっとくわけにもいくまい」と言いながら、ひみつ道具『アトカラホント』というスピーカーを取り出した。
「これでしゃべったうそは、あとからほんとになるの。小さいから口の中にいれとくんだ」というものであった。
スネ夫がこの道具を「パク」と口の中へいれ、「オオカミがきたぞ！！」と叫ぶと、目の前で、「ドタ ドタ ガル・・ バン」と麻酔銃が撃たれ、「おさわがせしました。動物園のシベリアオオカミが逃げだしたんです」というものであった。
スネ夫はこの道具の威力を確認したので、「つばさちゃんがうちへくるぞ。きょうこれからすぐにくるぞ～」と叫んでいると、ジャイアンが「いつくるの」と尋ねるので、「もうすぐ！ つばさちゃんが気にするから、庭にかくれてて」と注意している。
つばさちゃんのマネージャーが「テレビ局へいく途中、お宅の前で車が故障しちゃって…。かわりの車をよぶので、電話をおかりしたいのですが…」とやってきた。お茶を出している間、ジャイアンは窓の外から「カシャ カシャ」と写真を取りまくった。
「いっしょに写真をとろうとおっしゃってる」と告げると、ジャイアンは「キャ！！ ルンルン」の気分で写真を撮ってもらって、帰っている。
ドラえもんがスピーカーを返してとスネ夫に頼むと、「これを口に入れておけば、明るくのびのびとうそがつけるもんね」というので、「力ずくでもとりかえすぞ！」、「それはやめたほうがいい。
中学生の番長グループとぼくなかよしでね。ぼくに手をだすと、あいつらだまっていないよ」と脅すので、ドラえもんは「うそでもほんとになるぞ、逃げろ！！」ということになった。
スネ夫が「さあ、今度はどんなうそをつこうかな」と考えていると、先生がお母さまのぐあいはどうかね。徹夜で看病しているから、おみまいにきたんだ」、「今面会謝絶で…」、「そんなに悪いのかね！？ くれぐれもおだいじに」と帰っていった。
「ウ～ン……ウ～ン」とうなっている声が聞こえたので行ってみると、スネ夫のママが「寒気がして目がまわって頭がグラグラして、今にも死のそうざます！！」と、スネ夫は「ほんとに病気になちゃった。ドラえも～ん」と出掛けた。
すると、番長グループにつかまって、「おまえんとこへ遊びにいくとこなんだ。おれたちゃ友だちだもんな。やいこら！ なんでにげる！！」となった。
スネ夫が無事ドラえもんの家に着くと、ママがほんとの病気になり、「あやまるからたすけて！！」懸命に頼んでいた。ドラえもんが「スピーカーのキャンセルボタンをおさなくちゃ、はやく口からだして！！」と命じたが、スネ夫は「ペッペ…。あれ？ でないぞ。虫歯の穴にもぐりこんじゃった」となった。
歯科医院から、スネ夫の「ギャ～ ギエ～」の悲鳴が聞こえてきた。のび太は耳を押さえながら、「やっぱりうそつくと、ろくなことないんだね」とドラえもんに語りかけている。
[S1544・A3710・048511]