のび太も天才になれる? [★★]

[初出誌] 『宇宙救命ボート』、「小学四年生」198212月号、10頁、68コマ

[単行本]  『のび太も天才になれる?』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第32巻」1985125日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

[大全集] 『のび太も天才になれる?』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 122011330日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『宇宙救命ボート』が『のび太も天才になれる?』に変更

 「この家よ!」コマ挿入[457(2)]

 

「のび太さんていうの」、「すっごい天才なんですって」コマ挿入[457(4)]

「ウロ ウロ」コマ挿入[457(6)]

 

[梗概] のび太はママから「頭はね、つかえばつかうほどよくなるの! ほったらかしておくと、サビついて動かなくなっちゃうのよ!!」といった説教をいつもより長く、二時間十五分五十九秒受けることになった。

 

  ドラえもんはひみつ道具『宇宙救命ボート』を「ほったらかしにしておくとサビつくからね」と言いながら、せっせと手入れをしていた。手入れが終わったのでドラえもんは寝ることにした。

 

 のび太は家出しょうかなと思って、半ば冗談のつもりで、「宇宙救命ボート」のスイッチボタンを「パチ」と押すと、ほんとうに人間の住める星へ行くことになってしまった。今度の星は前より地球そっくりであった。のび太はたとえどんな星でも、地球よりくらしやすいだろうと思って、覚悟を決めた。

 

 自分の家に行くと、ママから「こんなにおそくまでどこへいってたの!!」と怒鳴られ、「なんのこっちゃ!! 地球へもどったじゃないか」と腹を立て、「ドラえもん!! あの機械インチキだぞ!!」と怒鳴り込んだが、ドラえもんは押し入れの中にはいなかった。

 

 次の朝、「おきなさい!! 学校におくれるわよ!!」と言われながら、学校へ出掛けると、スネ夫がジャイアンに「きょうのテスト、まるっきり自信がない。のび太よりはましだと思えば気がらくさ」と話しかけていた。

 

  テストの時間では、先生から「きょうのはとくにむつかしいぞ」と言われたので、のび太が「先生、まちがえて一年生の問題をだしたな」と思った。

 

  「これでいいんですか?」と提出すると、「野比くん!! きみのそういうたいどはひじょうによろしくない。たとえわからなくても、一題でもやってみようと…。ぜんぶやったァ!? 満点です!!」となった。

 

 しずちゃんからは「よっぽどがんばって勉強したのね」、スネ夫からは「まぐれだよ、まぐれ」と言われた。国語の時間でものび太ひとりが「はなさく、ことりがうたう」とスラスラ読めたので、クラスメートから「えーっ」と驚きの声があがった。

 

  家に帰ると、ママから「きょうのテストみせなさい! また0点!! なまけてばかりいるからです!!」と怒鳴られたが、テストの結果をじっくり見ると百点であったので、ママは感激して涙を流していた。

 

 机に座って、「みんなでぼくをからかってるのでもなさそうだ。どういうことかしら…」と考えていると、「この家よ! のび太さんていうの。すっごい天才なんですって」という声が聞こえてきた。「生まれてはじめて尊敬された。気持ちがいいなあ」と思って外をふと見ると、もうひとりのぼくが「ウロ ウロ」していた。

 

 外へ出ると、「きのう家出したんだけど、おなかがすいたからもどってきた」と言うので、もうひとりのぼくであると判明した。「地球ににてるけど、やっぱり別の星へついたんだ!!」と再確認した。

 

  二人のぼくの間では次のような会話が「この星では小学校で、たし算ひき算、中学でかけ算、高校でわり算ならうの」、「ええっ、きみの地球ではぜんぶ小学校でならっちゃうの!?」、「きっと天才の星なんだね」

 

 「いや、まあ…、それほどでも…。頭なんてつかえばつくほどよくなるもんだよ。あきらめずに勉強すれば、きみもぼくぐらいにはなれるさ」、「ぼくがきみみたいに? とてもむりだよ」、「むりなことあるもんか。おんなじぼくじゃないか!!」、「なんだかやる気がでてきたよ」、「ぼくががんばる!!」と続いていた。

 

 そうした会話を交わしてのび太は地球にもどってきた。ドラえもんは「きみもその星ののび太くんに負けないよう、しっかり勉強を…」と励ますと、寝っ転がったのび太は「ぼくは天才だからいいんだよ」というので、ドラえもんは「それはその星にいればだろ。ちっともわかっていない!!」と懸命に説得していた。

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