あしたの新聞 [★★]

[初出誌] 『新聞日づけ変更ポスト』、「小学四年生」19817月号、10頁、65コマ

[単行本]  『あしたの新聞』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第25巻」1982825日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

[大全集] 『あしたの新聞』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『新聞日づけ変更ポスト』が『あしたの新聞』に変更

 「いまおとなりにはだあれもいない」コマ挿入[383(6)]

「も、もし空き巣が来たらどうする?」、「この「特大ドロボーたたき」でひっぱたく」コマ挿入[384(1)]

 

「文字なし」コマ挿入[384(2)]

「だからあすの新聞なんかだすなといったんだ」が「だからあしたの新聞なんか出すなといったんだ」に変更[385(5)]

 

[梗概] のび太が珍しく新聞を読むと、「へ~っ、田原聖子と河合真彦が婚約したって!?」という驚くべき記事が出ていたので、スネ夫やジャイアンらに「お~い、大ニュース、大ニュース」と大声で知らせに走った。

 

 スネ夫は「しってるよ。おととい発表したんだ」、ジャイアンも「きのうの新聞にでてたじゃなえか」と軽蔑された。のび太も「そうか…。いまよんだのが、きのうの新聞だったんだ」と知って大恥をかいた。

 

 家に帰るとのび太はドラえもんに「パパが悪いんだ! 毎朝、新聞を会社へもっていくから、ぼくはいつも古新聞しかよめないんだ」と訴えた。すると、ドラえもんは「夜にはパパがもって帰るからその日のうちによめばいいじゃないか」と逆にたしなめられた。

 

 のび太が「夜はテレビや宿題やらでいそがしいんだよ。あーあ、いっぺんくばりたての新聞をよみたい」とため息をつくと、ドラえもんは「そんなにいうなら…」と言いながら、ひみつ道具『新聞日づけ変更ポスト』を取り出してくれた。

 

 このひみつ道具に昨日の新聞を入れて、ダイヤルを一目盛り進めると、今日の新聞が出てくるという代物であった。今日の新聞を広げて読むと、のび太は「ふうん、沢田ひろみが新曲をだすのか。新作アニメ『怪えもん』上映中!! 新しい新聞は気持ちいいな」としきりに感心していた。

 

 しかし、よく考えてみると、のび太も「きょうの新聞はみんなもよんでるわけだ」と気づいた。そこで、のび太はいつものようにない知恵を絞り出して、「めもり一つできのうの新聞がきょうのになるならば、めもり二つで…」といったアイディアを考え出した。

 

 のび太が「あしたの新聞をよもう」とこのアイディアを実行しようとすると、ドラえもんは「またかってなことを! だめ~っ」と強烈にしかりつけた。

 

 こうしたときののび太のひらめきには天才的なものがあり、ドラえもんに新聞を見せながら、「甘井屋でドラやきの大安売りだって」と大声で読み上げ、「急がないとうりきれるぞ」とせき立てるのであった。ドラえもんを追い払うと、のび太はひみつ道具から明日の新聞を取り出すことに成功した。

 

 明日の新聞で、「人気トリオチョコレイツが解散!!」という記事を読み、のび太は「大ニュース!!」と叫びながら、表に飛び出した。「チョコレイツが解散?」と告げると、しずちゃんは「うそばっかり」

 

 スネ夫は「そんなうわさきいたこともないね。きょう武道館でコンサートをやってんだぞ」、ジャイアンからは「ねぼけやがって」と大笑いされてしまった。

 

 四人揃って、スネ夫の家でコンサートのテレビ中継を見ることになった。「ワー ワー キャー」と大騒ぎの画面を見ながら、スネ夫が「だれが引退したんだって、え?」と念を押されると、のび太はとても不安になってきた。

 

 しかし、画面では、突然「ここでみなさんにおしらせがあります。私たち解散します。ファンのみなさんにはすまないと思いますけど、私たち決心したんです」といった引退声明が発表された。

 

 四人は唖然としてテレビの画面に釘付けになり、のび太ひとり「それみろ!!」と勝ち誇り、みんなから「どうしてわかったの!?」という質問に、悠然と「なに、たいしたことないよ。きみたちのほうがおくれてるってこと」と答えながら、スネ夫の家を出ている。

 

 帰り道、往来で「ワーイ、いい気持ち」と歓声を上げていると、怒り心頭に来たドラえもんが彼と遭遇して、「ドラやき安売りなんかしてなかった!」と激しくののしった。

 

 のび太が「おこるな。あしたの新聞は、おもしろいよ。人の知らないニュースが一杯のってる」とドラえもんに話ながら帰宅すると、その新聞がのび太の部屋からなくなっていた。

 

 隣の部屋で、ママがそのなくなった新聞を見ながら、「まあっ、たいへん。ゆうべおとなりに空き巣がはいったんですって。おみまいにいかなくちゃ」と、隣の奥さんに「ちっとも気がつきませんで。なにをぬすまれたんですの?」と尋ねた。

 

 すると、奥さんはキョトンとした表情で、「いいえ、空き巣なんか入りませんのよ」との返事。ママは真っ赤になりながら、「だ、だって新聞に…。もってきてごらんにいれます」と言いながら、駆け足で家に戻った。

 

 ママは「へんねえ、あの新聞どこへいったのかしら」と大騒ぎになった。のび太がコッソリその新聞を手に入れて、隠してしまっていた。

 

 ドラえもんから「みろみろ、ややこしいことになった」と非難されたが、のび太は悠然と、「ほっとけば思いちがいだと思って、忘れるよ」と応答していた。のび太は「それより今夜おとなりに空き巣がくるんだよ」と心配すると、ドラえもんも「わかっててほっとくわけにもいかないね」といった結論になった。

 

 気になって、ドラえもんとのび太が窓からお隣の家を監視していると、夫婦揃って外出する所だった。お隣が留守になって、誰もいないことが明らかになったので、二人で留守番することにし、『通り抜けフープ』を使って隣の家の中に入っていった。

 

 のび太が「も、もし空き巣がきたらどうするの?」と震えながら尋ねると、ドラえもんは「この『特大ドロボーたたき』でひっぱたく」とキッパリと言い切った。

 

 のび太が「ほんとに空き巣はくるのかなあ」とつぶやくと、ドラえもんも「くるんだろ新聞にちゃんとでてるんだから」と頼りない判断。窓の外ではドロボウが「この家はるすのはずなんだがな。おかしいなあ」と訝しがり、空き巣を断念して帰ってしまった。

 

 いつまでたっても空き巣が現れないので、二人は疲れて、隣の家でグッスリ寝込んでしまった。そこへ夫婦が帰ってきて二人の姿を見てビックリ。

 

 ドラえもんたちは今夜空き巣が入るから留守番をしていたと説明したが、主人から「空き巣なんか入らなかったんじゃない」かと問い詰められた。ドラえもんは脂汗を流し、「で、でも新聞にちゃんと…」と言いながら新聞を差し出して分かってもらおうとした。

 

 しかし、その新聞には「空き巣の記事なんかどこにもない!!」ことが判明した。ドラえもんも、「ぼくらがるす番にきたから未来がかわっちゃったんだ」と悟るのであった。

 

 お隣の主人は、「二度と夜中にしのびこんだりしないよう、ご両親に注意してもらおう」と言い張った。家へ帰ると、両親から厳しいお説教をくらうことになった。ドラえもんも弁解しながら、「だから、あすの新聞なんかだすなといったんだ」と反省の弁を述べた。

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