ポカリ=百円 [★★]
[初出誌] 『イシャ料しはらい機』、「小学四年生」1980年6月号、10頁、69コマ
[単行本] 『ポカリ=百円』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第28巻」1983年8月25日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
[大全集] 『ポカリ=百円』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 10」2010年10月30日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『イシャ料しはらい機』が『ポカリ=百円』に変更
「六十円と百二十円」が「七十円と百二十円」に変更[48(9)]
「やややっ」コマ挿入[340(7)]
「ジャラ ジャラ」挿入[341(2)]
「ぼくがこうしてるあいだにも、みんなはせっせとなぐられて」、「お金をかせいでいるんだ」コマ挿入[341(8)]
[梗概] のび太が頭にコブを作り、「フラ~」と部屋の中に入ってきても、ドラえもんは『ドラヤキ百科』に夢中で、応対もつれなかった。のび太が腹を立て、「ぼくがなぐられても平気なの!?」と怒鳴ると、ドラえもんも「しょっちゅうだもの。
いちいちきにしてられないよ!」と応戦している。のび太が「どうしてぼくはこんなに運が悪いんだろ」としょげ込むので、ドラえもんもかわいそうになり、ひみつ道具『イシャ料しはらい機』を取り出している。
この機械のアンテナをジャイアンに一度向けると、ずっと狙い続けてくれる。土管の上に座っているジャイアンのところへ、のび太がドラえもんから「いつなぐられてもいい」と送り出されると、案の定、「むしゃくしゃしてたところだ。一発なぐらせろ。ゴツン」と殴られた。
ゲンコツ一発百円と値段をきめ、殴られた人がこの機械のボタンを「ポン」と押すと、「チャリン」と百円玉がイシャ料として出てきた。そのため、ジャイアンの持ち物から百円分の値うちだけ、何か消える仕組みになっていた。
殴られ方も上・中・並で、二百円・百円・五十円に、蹴飛ばされたり、はり倒された場合は七十円と百二十円と決められていた。ドラえもんが町内の男の子に、この機械を庭においておくので、使うようにと奨励している。
ジャイアンの周りに男の子がウロウロと集まったが、手を出す様子も見られなかった。すると、スネ夫が「ジャイアン。こないだぼくからとってったまんが返せよ」と
怒鳴りながら駈けてきた。
スネ夫はジャイアンからゲンコツをもらうことができた。それを見て、安雄もはる夫もマネをして、めでたく、たくさんのゲンコツをもらうことができた。
不愉快な思いをしたジャイアンが心静かに家でまんがを読み始めた。その時、スネ夫が七十円、派手に殴られた安雄とはる夫はふたりで千三百四十円もイシャ料を獲得することができた。ジャイアンの読んでいたまんがも最初、終わりのほうの五分の一が消え、しばらくすると、まだ読んでいないまんがが突如四冊も消えてしまった。
みんなはジャイアンに殴られようと、先を競って走り出した。しかし、のび太はママにつかまり、「勉強もしないで遊んじゃだめっ」とひとり、お金を稼ぎに行くことができなかった。
ジャイアンが「おもしろくない!! だれかぶんなぐってやろう」と外に出ると、「なぐってほしい」というみんなのリクエストに応えて、「ボカ ボカ」なぐりまくっている。外では、みんなが「ワイワイガヤガヤ」と騒いでいるので、のび太は窓から「いいなあ」と眺めていた。
スネ夫はこの機械のダイヤルを調節して、ゲンコツ一発を千円にしている。そのため、町内の見知らぬ男の子たちもやってきたので、さすがのジャイアンも「なぐりつかれた」と言いながら退散し出した。家に帰る途中、ジャイアンのくつ、ズボン、シャツが次から次ぎへと消えだした。
のび太が宿題を終わって、外に出ると、スッポンポンのジャイアンは顔を赤らめ、両手で前を隠しながら、懸命に家に走って帰ろうとしていた。その光景を見て、ドラえもんは「ジャイアンが全財産をなくしたらしいから。もうおしまい」とのび太に告げている。
[S1039・A2805・048006]