超大作特撮映画「宇宙大魔神」 [★★★]

[初出誌] 『イージー特撮カメラ』、「小学四年生」197911月号、19頁、129コマ

[単行本]  『超大作特撮映画「宇宙大魔神」』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第20巻」1981125日 初版第1刷発行、22頁、137コマ

[大全集] 『超大作特撮映画「宇宙大魔神」』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、22頁、137コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『イージー特撮カメラ』が『超大作特撮映画「宇宙大魔神」』に変更

 「ム!なかまのピンチ!!」コマ挿入[380(1)]

「すごい すごい」コマ挿入[380(5)]

「きみはいいの」コマ挿入[382(1)]

 

「場面がかわって城の中」、「しずちゃんがつかまっている」コマ挿入[382(2)]

「うんとこわがって!」、「そこへおれがかけつける」、「かけつけない!!」コマ挿入[382(3)]

「ないしょで試写会はじめようぜ」コマ挿入[384(1)]

 

「ジャジャジャーン」、「宇宙大魔神」、「パチ パチ パチ」、「ピー ピー」コマ挿入[384(2)]

「かっこいい!!」、「おもしろい映画だねえ」コマ挿入[384(3)]

 

[梗概]  ドラえもんはひみつ道具である『イージー特撮カメラ』を使って、巨大などら焼きの上で、フォークとナイフを持って飛び跳ねているという自らの夢を特撮映画ふうに撮影していた。このカメラで誰でも手軽に特撮映画を作れるので、面白い映画を作ることで二人の意見は一致した。

 

二人が主役をやると言い張ったが、ひとまず、しずちゃんに専属女優になってもらい、出木杉にはシナリオと監督をお願いすることになった。出木杉はすでに八ミリアニメのために、宇宙大魔神と少年レンジャー部隊との大冒険に関するシナリオを書き上げていた。

 ドラえもんはセットには『ポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ』、動くミニチュアには『ラジコンねん土』、衣装には『着せかえカメラ』、スタジオには『ポップ地下室』といったひみつ道具を取り出して、用意万端といった状態である。

 

 のび太は俳優、しずちゃんはミニチュア、出木杉はねんど細工の係りにそれぞれ割り当てられた。

 

 のび太が俳優の交渉に行くと、スネ夫も安雄もはる夫も快諾してくれた。問題はジャイアンであったが、ひとまず、ジャイアンは誘わない方がいいというみんなの結論になった。しずちゃんもセットを完成し、出木杉もねんど細工で、迫力満点の大魔王の宇宙戦艦を作り上げている。


 地下室のセットでは、ホリゾンに星空などを写して、本格的な撮影が始まった。学校の裏山では、小高い丘にのがれた少年たちが、燃える町を眺める場面をロケしたりもした。撮影も佳境に入り、正義の味方ウルドラマンが登場するシーンになった。

 

 ドラえもんがウルドラマンをやると強引に主張し、「いやだというならカメラもセットもかさない!!」と大人げないことを言い出した。みんな不承不承「しょうがないな」ということになった。

 

 ドラえもんは「タケコプター」を付けて颯爽と飛翔しながら、「パンパカパーン」とかっこよく画面に登場している。さらに、丘の上では「くじけてはいけない! 地球の危機をすくうのはきみたちなのだ!!」と檄を飛ばしている。

 

 さらに、ウルドラマンがさっと手を振ると、少年レンジャー部隊のみんながかっこいい制服に替わるシーンも用意されていた。衣装の担当はスネ夫の役であった。しずちゃんの制服はおへそ丸出しルックで男の子には人気絶大であったが、しずちゃんの猛反発でおじゃんとなってしまった。
 

 丘の上で、「行こう!! 魔王の星へ!!」といったシーンを撮影していると、突如、ジャイアンがヌッと現れた。すると、スネ夫が例の調子で、「やあ、さがしてたんだよ。…、ぜひ主演をしてもらいたいと思って」と言い出した。

 

 残っている役はただひとつ、宇宙大魔王のみであったが、ひとまずなんとかだまして、最後のスタジオの撮影に入ることになった。


『立体映写機』を使って本物みたいなジャングルを作り出し、少年レンジャー部隊が大魔王の城を目指し、大魔王のけらいの怪物と激しい戦いを繰り広げることになった。敵を撃破して大魔王の城の乗り込むことになった。

 

 その戦いでしずちゃんが捕まって城に閉じこめられてしまった。ジャイアンはいくら待っても出番がないので、ドラえもんに「きょうは、家に用事があるんだ。はやく帰らないと、かあちゃんに叱られるんだ!!」と激しく脅迫している。

 

 出木杉の提案で、大スターの出るところだけを先にとって、残りはあとでゆっくり撮るということになった。スネ夫のつくった衣装を着たジャイアンが最初に、大喜びしている顔、次に、ご飯を食べているところ、さらに、悪者をやっつけているところを撮影した。

 

 最後に、やられるところを撮ることになった。ジャイアンから「なんでおれが負けるんだよ!!」と猛反発を食らったが、出木杉は「正義の味方だって一度ぐらいピンチにならないとおもしろくないよ」と説得している。そして、ドラえもんが「ついに悪者をたおしてひるねをしてるところ」と言いながら撮影を終えている。


 ジャイアンは「映画ができたらよんでくれ、楽しみにしてるぞ」と快機嫌で帰っていった。みんなは見せたら殺されると思ったので、試写会はないしょで行われた。面白い映画であるとみんなで喜んで見ていると、「こらあ。なんでおれを試写会によばなかった」と怒鳴りながら、ジャイアンが窓から入ってきた。

 

最初はジャイアンのクローズアップしたシーンが出てきたので、舌を大きく出してご機嫌な様子で見ていた。最後の段階ではウルドラマンの強烈なパンチを受けて、完全にノックアウトされたシーンが映し出された。

 

「おわり」のマークの映っているスクリーンの前で、ジャイアンが「ころしてやる!」と怒りまくっていた時、部屋には座布団のみで、誰一人そこにはいなかった。
[S0945A2019047911]