未来の町にただひとり[★★★]

 [初出誌] 『のび太、タイムマシンで行く…』、「小学四年生」19797月号、17頁、102コマ

[単行本]  『未来の町にただひとり』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第21巻」1981525日 初版第1刷発行、19頁、117コマ

[大全集] 『未来の町にただひとり』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、19頁、117コマ

 

[梗概] 「ミイン ミイン ミイン」とセミの鳴く真夏に、しずちゃんは家族そろって一週間の北海道旅行、スネ夫はハワイ旅行、ジャイアンも中元大売り出しのクジに当たってグアム旅行を計画していた。

 

 しかし、のび太ひとりどこへも行く計画を持っていなかった。ドラえもんに頼むと、「それどころじゃないっ!!」と怒鳴り散らして、理由もいわないで「タイムマシン」で未来の世界へ行ってしまった。

 

 のび太は子孫のセワシやドラミちゃんに会うため、二一二五年の野比家に行くことに決心した。「夏休みに未来旅行する子なんて、ぼくのほかいないだろ」と意気揚々と「タイムマシン」に乗って出かけた。

 

 到着した場所が、タワーのてっぺんであったので、高所恐怖症ののび太は近くと飛んでいたUFOに助けを求めたが、気づかれず、その上、バランスを崩して地上に墜落するところだった。

 

 しかし、さすが二十二世紀にもなると、地上にひみつ道具『反重力安全装置』なんかがセットされていて、「フワリ フワリ」と漂いながら、地上に着陸することができた。

 

 地上を歩いていても誰一人目にすることができず、ある店に入ると、そこは「自動衣類販売店」であった。「プシュ プシュ」とガスで新しい服を作ってもらった。さらに、レストランに入っても、お客はひとりもいないが、店員の代わりにコンピューターが注文した料理を作って出してくれた。

 

食事をしていると、空中公園のほうで、空中に何か「フワ フワ」するものを見つけたので、走って移動すると、十メートルぐらいのジャンプはのび太にもいとも簡単にできた。空中に漂うものはインベーダーで、のび太は「ピュピュ ピュ ガアン ガアン」と激しい攻撃に晒された。

 

 のび太は宇宙人の攻撃と確信し、二十二世紀のトーキョーにはもう一人も人間がいないと考えてしまった。二十世紀へ帰ろうと急いでいると、偶然セワシと出くわした。

 

 セワシによると、突然大群のUFOが襲ってきて、「生きのこったのはぼくだけなんだよ、おじいちゃん」という話であり、UFOは世界中におりたらしく、「やつらの光線銃に当たると、人間はチリヂリになって消えてしまう」ということである。

 

 セワシから「もうぼくらだけかもしれないが、最後までたたかおう」と言われると、のび太は「人類最後の日が、こんななあっけないものだとは…。信じられない」と思った。

 

 インベーダーの攻撃に対して、セワシから「なかなかやるじゃない、おじいちゃん」と言われるほどの大奮闘であった。しかし、巨大なUFOに「ズバ」と攻撃されると、二人はぶっ飛んで大地に叩きつけられてしまった。

 

 二人はしばらく完全に気を失ってしまったが、セワシは噴火口めぐりの月旅行から帰ってきたジャンボに起こされた。さらに、しずちゃんとスネ夫そっくりの二人が火星旅行と太陽系一周の旅行から帰ってきたところであった。

 

 しずちゃん似の女の子から「セワシさんはどこへ行ってきたの」と質問された。すると、ジャンボが「人気のない公園でさびしく立体インベーダーゲームをやっていた」と代わりに応えてくれた。

 

 のび太はこの時始めて、すべてゲームであることを知った。セワシは「本気でやったほうがおもしろいじゃない」と応えた後、「夏休みにどこへも行かないなんて、うちぐらいのもんだよ。おじいちゃんがしっかりしないとぼくら子孫が…」とのび太に矛先が向けられてきた。

 

 セワシの家でドラミちゃんからジュースやケーキのもてなしを受けているところへ、原子炉の古い部品を取り替えてきたドラえもんが帰ってきた。「タイムマシン」で帰った後、夏休みで誰もいないので、のび太はさびしく立体インベーダーゲームをドラえもんと庭でしていた。

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